今回紹介するのは「W.I.N.S(ウィンズ)」の<A Sound Lump~Official Bootleg~>(2008年発表)です。
「え!このアルバムはまだ発売されていないのでは???」
※2008年8月12日に発売されました。
はい!その通りです。しかし、訳あって一足先に音源が聴けるチャンスを与えて頂く事が出来まして・・・実は私が尊敬する「和田アキラさん」から今回紹介する<A Sound Lump~Official Bootleg~>の音源を直接頂いたと言う、何とも夢の様な事が起こってしまった訳です!!!!狂喜乱舞してしまいましたよ!・・・そして、私が強引にも「レヴューさせて下さい」と無謀で身の程を知らないお願いをしたところ・・・和田さんから「好きに書いていいよ!」というこれまた有り難いお言葉が・・・本当に恐縮するばかりです。有難う御座います。
そんなこんなで発売前にレヴューしてしまおうと言う、何とも掟破りで我侭な暴挙に及んだ次第です。でも、音楽関連のブログを書いていてこんなに嬉しい事はないですよ・・・本当に貴重な体験をさせて頂きます。
<A Sound Lump~Official Bootleg~>
01.DELUSION AREA
02.EARTH DANCE
03.COOL IN
04.BEAT KIDS
05.SIREN'S VOICE
06.DANCE OF THE HARLEQUIN
07.ALCHEMIC SMILE
08.MOONSTRUCK
<W.I.N.S>和田アキラ(g) 、石黒彰(key)、永井敏己(b)、菅沼孝三(d)
さて、何故に12年も前の貴重な音源が世に出されることとなったのか・・・それは・・・私がここで語るより、その功労者(首謀者)でもあります「石原忍 さん」のブログをご覧下さい。そこにはこの「W.I.N.S(ウィンズ)」の件ばかりか「和田アキラ&山木秀夫 DUO」の件も・・・兎に角凄い方です!ファンは必見かと存じます。
音楽人~音楽レーベル“shiosai”プロデューサーの日記~
http://shiosai.cocolog-nifty.com/ongakujin/2008/04/index.html
http://shiosai.cocolog-nifty.com/ongakujin/2008/08/a_sound_lump.html
ZiZo(有限会社しおさい)
http://www.shiosai.com/
また、HMVのサイトでこの作品を紹介されていますが・・・是も実に的を得たコメントです。紹介させて頂きます。
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「90年代、和田アキラ、永井敏己、石黒彰、菅沼孝三というプログレッシブ・ジャズ界のトップ・プレイヤー4人によって結成され、今なお語り継がれる激しい演奏を繰り広げた伝説のバンドW.I.N.S。本作は、メンバーの和田アキラ&永井敏己自らが、残された音源から京都(95年)、名古屋(96年)、東京(96年)における壮絶なライブテイクを厳選した、大発掘リリース。極限まで弾きまくり、叩きまくった圧巻の演奏を!」
以上<HMVレヴュー>より転載させて頂きました。ご了承下さい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2765821
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でも、今回発表されたこのアルバムは是非にも多くの方々に聴いて頂きたいのです。是非!!!
もし、宜しければ以前にレヴューしました、こちらの1stアルバムも併せてご覧下さい。
http://fusion.cocolog-nifty.com/fusionmusic/2005/12/24_d1bc.html
01.DELUSION AREA
W.I.N.Sの1stアルバムにも収録された私のお気に入りの作品です。先のアルバムに収録されたものと比較すると、やはり幾分かゆとりと言うか余裕の様なものを感じますが、基本的には今回のバージョンも最初に聴いた時の鮮烈な印象そのままですネ。
実に難解でリスナーの心を抉る様な鋭角的なそのリズムとサウンドは彼達の独壇場と言ったところです。未だにどう拍子をとっていいのか迷うのですが・・・なんとなくタイトルの「DELUSION」と言う単語の様にまんまと「騙されている」のではないか?と感じる今日この頃です(笑)。兎にも角にもダイナミックかつエモーショナルなサウンドで、尚且つ確かな実力が背景になければ演じきれない楽曲です。この曲をいとも簡単そうに演奏し聴かせてしまうのですから、まさにこのW.I.N.Sの真骨頂といったところでしょうか。また、この作品を根底から支える永井さんの実力に脱帽です。演奏が全然ヨレていないのでこの変拍子でも安心感があって、この種の曲にありがちな不安定さとかが一切ありません。お見事!!!!
02.EARTH DANCE
前曲同様、W.I.N.Sの1stアルバムにも収録された作品です。哀愁を帯びた旋律が印象的なメロディーを和田さんの音像際立つディストーションサウンドで奏でることによって聴く者に生命力といった威厳的の様なものすら感じさせます。この和田さんが取った手法によって、この楽曲が本来持つ肌寒い空気感にも似た美しい旋律に対して、巧妙にそのサウンドに変化を与え俄に色めいたものえと昇華させています。後半のギターソロではそれと対比させるかの様に熱く鮮烈な和田サウンドが力強く響き渡っています。
メロディーとリズムが絶妙に溶け合い、ストイックで叙情的なサウンドに確かな力強さを感じるそのバランス感覚は傑出したものと言えるでしょう。パワフルながら自己抑制された冷静なプレイから創り出された典麗とも言えるそのサウンドにはひたすら感嘆するばかりです。
03.COOL IN
今回、初めてアルバムに収録された新曲(?)です。永井さんの美しく鳴る低域が心地よいフレットレス・ベースから紡ぎ出される感傷的とも言えるナイーブなフレーズが実に印象的なオープニングです。それは宛も夜明け前の澄んだ空気感にも似た情景をリスナーの描かせます。しかし、それも束の間・・・和田さんのツブの粗いディストーション・サウンドによる印象的なメロディーが飛び込んできます。そのパワフルでスケールの大きなプレイが実に刺激的に響き渡ります。それとは対照的に後半のソロは一変して独特の浮遊感を漂わせたこの曲の美しさを損なう事の無い精悍で流麗なフレーズを注ぎ込んでいます。
また、菅沼さんのシンプルながらも瞬発力が高く繊細なプレイを披露していますが、それは自信に満ちて、このエキセントリックなサウンドに安心感を与えてくれますね。また、石黒さんのウィンド・シンセを模したサウンドによるソロが美しく響き、しなやかで聡明な世界をこの楽曲に築き上げています。
この一曲は、光と影または静と動を感じさせ、それはまるでW.I.N.Sのメンバーそれぞれがこの作品をモチーフとしてオプティカル・アートを繰り広げているかの様ですらあります。そして何より特筆すべきは総合的に調和のとれた非常に美麗な作品として存在していると言うことです。
04.BEAT KIDS
菅沼孝三さんの作品らしい何処か楽天的で躍動感あふれる基本となるメロディーを、伸びやかで透明感溢れる永井さんのベースと、スティール・パンのサウンドを微かに含んだ独特の石黒さんのシンセサウンドで、そして和田さんのスプレッド感が心地良い明るいオーバードライブ・サウンドによって奏でてます。そして、各々の適材適所とも言えるサウンド・メイキングがこのメロディー自体が持っている魅力を充分に引出している最大の要因ですね。
そして、ソロは一転し、この明るいメロディーをモチーフとしてメンバーそれぞれが独自の解釈によって発展させた独特のインプロヴィゼーションが最も傾聴すべき点です。自由度を高くして、ミュージシャン各々が楽曲に対して如何にアプローチするのか・・・そんな試金石とも言える一曲かと存じます。兎にも角にも、メンバー全員の熱いプレイの応酬を充分ご堪能下さい。
余談ですが、この作品は、1997年に発表された菅沼さんが所属するFRAGILE(フラジャイル)の1st、そして2001年に発表されたソロアルバム「KOZO」にも収録されています。このアルバムに収録されたものは全て1995年から1996年に収録されたものですから、もしかするとこのW.I.N.Sでの演奏が初出という事になるのでしょうか・・・?
05.SIREN'S VOICE
深さと陰りを感じるそのナイーブなサウンドから創り出される空間に身を委ねていると、何処かあの黄昏時の愁いにも似た風景を呼び覚まさせます。ストイックでもの悲しい旋律はまるで時間が静かにゆっくりと流れて徐々に闇夜に変わっていくかの如き・・・そんな深い憂愁を見事に表現しています。美しい情感を醸し出したまさに叙情的とも言えるフレーズが深く胸に残ります。
そして、それを更に印象深くしている和田さんのウェット感が魅力的な泣きのギターは流石の一言!!!艶やかなサスティーンのディストーション・サウンドから放たれた溢れる歌心が心に染み入る演奏とフレーズは絶品ですね。楽曲を愛惜するかの様なそのプレイは、この楽曲を理解しきっていなければ演じきれないと言うほどに曲にマッチしています。素晴らしいギタリストです!!!
また、この曲の作曲者でもある永井さんの音の輪郭がはっきりと浮出てた美しい音色のフレットレス・ベースがよく歌っています。ボトムとメロディーを自然に行き来するところはバンドとしてアンサンブルをよく理解した本来こうあるべき理想的ベーシストであると言えます。本当に玄人好みの素晴らしいベーシストですね。
W.I.N.Sの楽曲群の中に有っては決して自己主張の強いサウンドを持った作品では無いかも知れませんが、聴き終えた後、心地良い余韻を充分に楽しめるとともに、彼たちの美的感覚を強烈に誇示した素晴らしい一曲です。
06.DANCE OF THE HARLEQUIN
でました!でました!やはりこの曲がですよ!!!!「W.I.N.S(ウィンズ)」を代表する名曲ですネ。高速ユニゾンで難解な音の洪水は圧倒的な迫力でリスナーを飲み込んで行きます。その瞬発性の高いスピード感溢れるプレイは絶句!
また、和田さんと永井さんそして石黒さんの誰にも真似できない個性的で驚異的なソロも実に刺激的で傑出したものと言えるでしょう。そして何より、フリーでフレキシブルと表現したい菅沼さんのエキセントリックなドラミングがあるからこそ、この作品をここまで興起させていると信じて疑いません。この曲は幾ら文章で説明しようと思っても出来ません。やはり直に聴いて頂くしか有りません。
とにかく演奏がハード、アレンジがハード、楽曲がハード、アドリブがハード、です。それをギミックなしでライブ盤として発表するのですから尚更「超ハード」ですよ。類い希な名演とはまさにこの事を言うのでしょうね!
このバンドの実力と方向性を示す重要な曲です。彼達に与えられた空間を自由自在に操り創り出された魔法の様なサウンドを是非にもご堪能下さい。勿論、高度な演奏技術を聴くのも楽しみのひとつです。
因みに、この曲・・・いわき市にある「サウンドハウス・ブリティッシュ」で催された「和田アキラさん、永井敏己さん、小森啓資さん」によるライブでなんとPA無しの生音でダイレクトに聴きました。それもキーボードレスの3ピースで・・・やはり凄いの一言!!!!プロはどんな状況でも自分たちのサウンドとプレイを確実に披露出来るのだと実感した次第です。恐ろしい事です(汗)。
07.ALCHEMIC SMILE
実にブルース然としたナンバーです。W.I.N.Sのサウンド・カラーから考えると少しばかり異質な印象を受けますが・・・しかしながら、百戦錬磨の凄腕ミュージシャンが繰り広げるコンテンポラリー・ハイパー・ブルース(?)とも呼べる作品に仕上がっています。コード進行もトラディショナルで典型的なモノから徐々にテンションを取り入れたりと、一筋縄では行かずひねくれまくっています(笑)。
また和田さんのブルース・フィーリングも実に素晴らしく、テクニカルな技巧派ギタリストと言う先入観を払拭するには有り余る作品でもあります。しかしながら1970年代初期のロックをルーツに持つ和田さんですから、こう言ったプレイも当然の姿と言えば当然・・・と言えるのではないでしょうか?ただ、和田さんは一般的にこう言ったブルース・フレーバ溢れるナンバーが音源として残されている事自体あまり無く、ある意味で貴重なサンプルともいえますね。でも、ギタリストならば誰しもが直接的・間接的問わずブルースの影響を受けている筈ですし、同様に和田さん自身の内面から滲み出るブルース・フィーリングはやはり魅力的に響きます。パワフルで音圧のあるサウンドから放たれる激しさと野性味溢れる力強さを完璧にコントロールした和田さんの洗練されたブルース・ギターのサウンドが心に響きます。
この「A Sound Lump」という作品群の中においては地味かも知れませんが、聴けば聴くほど味が出る作品です。そして何よりもブルース・ナンバーらしいセッション的な雰囲気を味わえるのもライブ盤ならではですね。
因みに、この「ALCHEMIC SMILE」は1998年に発表された「ヴィンテージ・ギター・ファイル Vol.01」にも収録されています。こちらも必聴かと存じます。
08.MOONSTRUCK
ミドルテンポで引きずるような重さを持った重量感溢れるベースとドラムの絶妙コンビネーションが生み出す独特のグルーヴが実に印象的なイントロですが、是がこの楽曲の骨格と個性になっています。微妙なアーチキュレーションによって重た過ぎず尚且つ泥臭過ぎずといった、この曲に対してのリズムアプローチとプレイヤーとしての卓越したセンシビリティーに並々ならぬ才能を痛感させられます。そして何より、楽曲をむやみに複雑化させないで、その曲の本質を聴かせる術を心得ている永井さんと菅沼さんが創り出すこの粘度が高くグルーヴィーなリズムだからこそ、ソリストの表現力と熱さがより一層に明確化されるのでしょうね。
そんなハイアヴィリティーなリズム隊をバックに繰り広げられる石黒さんと和田さんの傍若無人とも言える心の趣くままに自己を投影したかのような力強いソロに圧倒されるのでした。特に和田さんの天衣無縫ともいえるソロは凄まじいの一言!!!自己の感性を直接描写したかの如きサウンドは聴く者の心を激しく揺さぶります。感情の起伏の激しさをダイレクトに表現した生々しい感情のバイヴレーションを感じ取ってください。和田さんファンは必聴のプレイです。
☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆
私のブログは「FUSION(フュージョン)」を主体としたブログですが・・・今回紹介したこの<A Sound Lump~Official Bootleg~>は様々なジャンルと言った壁を越境したそのサウンドと唯一無比な存在感を誇示したアルバムです。「W.I.N.S(ウィンズ)」・・・FUSIONと言う範疇には到底収めきれない超越的な存在です。この強力なメンバーが創り出すサウンドは空前絶後の一言。これは決して誇張などではないと断言致します。
この「W.I.N.S(ウィンズ)」というグループが創り出すそのサウンドは、ジャズの持つ自由さとインテリジェンス、ロックの熱さとパワー、プログレッシブ・ロックの持つ前衛的でモノマニー(不適切な表現かもしれませんが御許し下さい)とも言える特異性を併せ持ち、そして夫々の楽曲が巧みなフレーズとリズムの組立てによるアーキテクトとも言える美的感覚を感じます。それらが実に見事に融合されて「W.I.N.Sサウンド」として昇華されています。そしてそれを彼達に与えられた「ライブ」と言う空間を自由自在に操り、独自の確立された純然たるW.I.N.Sサウンドとして存在させています。また、コマーシャリズムを極力排除した音作りに対しても実にミュージシャンとしての拘りの様な面をも伺い知れます。
和田アキラさん、石黒彰さん、永井敏己さん、菅沼孝三さん、この4人が織り成すエモーショナルだが決して理性を失う事の無いダイナミックなインプロヴィゼーションの応酬はやはり圧巻です。お互いのサウンドに敬意を払いながらも確固たる自己主張を失わず自らの存在感を誇示しています。そして、全ての作品に共通して見て取れるパワフルながらも自己抑制された知的で冷静なプレイを聴くにつれ、出てくる音全てに全神経を集中させる職人的気質を実感します。そこから導き出された答えの1つとして、インプロビゼーション、インタープレイ、コラボレーションとは一人で勝手に演る物ではなく、一緒に演奏する他のミュージシャンに触発されて創られるものなのだと強烈に思い知らされます。そしてそれは各々自分の音楽で対話出来るほんの一握りの人(ミュージシャン)にのみ許される事なのだと痛感するのでした。
このバンドの魅力でもあるテクニカルでパワフルでリアリスティックなサウンドはリスナーを圧倒し物凄い迫力で向かって来ます。それだけにリスナーにも緊張感を強いられるサウンドだと言えるでしょう。しかし、この演奏技術の高さが創り出す余裕と言ったものが楽曲本来の持つ美しさを充分に引き出し、尚且つメンバーの類まれな表現力によって一曲一曲に確かなヴィジョンが描かれリスナーに深い感銘を与えることでしょう。
彼達の創り出すサウンドはマニアックな異端性と複雑で難解な曲が多い為か、その世界に足を踏み入れる事は難しいかもしれません。しかし一度彼達の音楽に真正面に向かい合ってみて下さい。きっと新しい何かが見えてくると信じています。
掛け値なしの名演が堪能できる名盤です。12年と言う時を隔てた今この演奏とサウンドをライヴ盤として体感できる事は幸福である!と断言します。
☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆
追伸:この度は和田アキラ様には並々ならぬ御配慮を頂きまして感謝するばかりです。最後になりましたが心より御礼申し上げます。
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