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検体番号25 <Smash The Glass(スマッシュ・ザ・グラス)>

25  今回解析するのは「土方隆行」の、<Smash The Glass(スマッシュ・ザ・グラス)>(1980年発表)です。

土方さんは私の様に40歳代の方には「MARIAH(マライア)」のギタリスト、チョッとマニアックな方は「NAZCA(ナスカ)」といったイメージでしょうか。最近の世代ではスピッツ、河村隆一、Sads、上原多香子、ゴスペラーズ、エレファント・カシマシ、TOKIO・・・等のアレンジャー、プロデューサーとして有名ですね。今や日本音楽界の大御所となっています。

1.Smash The Glass
  (作詞・作曲:MARIAH Project 編曲:清水靖晃、笹路正徳)
2.A Ryhme for Illusion
  (作詞・作曲:MARIAH Project 編曲:清水靖晃、笹路正徳)
3.Serious More Serious
  (作曲:土方隆行、清水靖晃 編曲:清水靖晃、笹路正徳)
4.The Other Side Of Logic
  (作詞・作曲:MARIAH Project 編曲:清水靖晃、笹路正徳)
5.Let Your Love Grow 
  (作詞:村川聡 作曲:土方隆行、清水靖晃 編曲:清水靖晃、笹路正徳)
6.Finds The Stars In Your Eyes 
  (作詞:村川聡 作曲:土方隆行、清水靖晃 編曲:清水靖晃)
7.Dance This Night Away 
  (作詞:村川聡作曲:笹路正徳 編曲:笹路正徳) 
8.A Farewell
  (作曲・編曲:清水靖晃)

(g,vo,cho)土方隆行 (key,pf)笹路正徳 (sax)清水靖晃 (vo)村川聡 (b)渡辺モリオ,冨倉靖雄 (d)渡嘉敷祐一 (vo,cho)村田有美、織田哲朗 (per)穴井忠臣、木村誠  (horn)マライア・スーパー・ホーンセクション

この「スマッシュ・ザ・グラス」はそんな土方さんが24歳の時に「マライア・プロジェクト」のバックアップの元、作成されたアルバムです。

1.Smash The Glass
フェードインしながらの絡みつくギターカッティングと「When you feel down c'mon don't hesitate smash the glass」のコーラスが絶妙に溶合い、そして「突然グラスの割れる音」・・・そこから先はもうファンキーワールド突入です。村田有美さんのボーカルはハスキーでタイトでグルーヴ感抜群。しかし、土方さんのカッティングは本当に凄い。びっくりするぐらい正確でタイトそしてファンキー。これだけでも並みのギタリストではないと分りますよね。トーキングモジュレーターの使用にセンスを感じます。大好きな曲です。

2.A Ryhme for Illusion
村川聡さんのボーカルが叙情的であり、そしてどことなく幻想的に歌い上げるミディアムナンバーです。この曲での最大の聴き所はやはり土方さん自身がで8回ダビングしてバロック調に仕立てられたギターフレーズでしょう。しかし、このフレーズはただ単にギターを誇示させる為だけでなく、続くギターソロを充分に引き立てるための必然的で必要不可欠なギターオーケストレーションです。このアレンジとテクニック、そしてアイディアに脱帽です。

3.Serious More Serious
3曲目にしてインストナンバーの登場です。粘りのあるギターの音が印象的です。あまり目立ちませんが途中、多分2本(3本か?)のギターを重ねたユニゾンがしっかりとギタリスト土方を主張しています。カウベルの音が耳から離れません(笑)。
タイトルが意味深です。

4.The Other Side Of Logic
やはりギタリストのソロアルバム。この様な曲が一曲ないとね(笑)。難解なイントロがリスナーを惹きつけます。プレイヤー個々の演奏能力が高いだけでなく、ミュージシャン同士の呼吸が全く同期しないと演奏できないそんな楽曲です。2分46秒に是だけのテクニックと表現力、プレイヤーとしての主張を盛込んでしかもハイクオリティーの楽曲を私たちに提供して頂けるのですから恐ろしい人たちですよ。本当に。でも当人たちにしたら「当り前の事」なのでしょうね。

5.Let Your Love Grow
でました!土方さんのボーカル。上手いじゃないですか(失礼)。実は一時期このメロディーが耳から離れなくなり自然と口ずさんだいました(今も時々)。しかし、この曲でのギターカッティングも二重丸です。素朴なボーカルとリズミックな曲調が相まって結構はまりますよ。

6.Finds The Stars In Your Eyes
アコースティックギターとマライア・スーパー・ホーンセクションそして何より村田有美さんのボーカルが印象的な素敵なナンバーです。題名を直訳すると「君の瞳に星を見つけた」といったところでしょうか。気障な台詞ですけど、曲は何だか聴いているだけで目頭が熱くなるほどです。一曲目の「Smash The Glass」と本当に同じボーカリストなのと疑います。それ位、歌に対しての解釈と表現方法と声域までが全く違います。凄いボーカリストですよ。

7.Dance This Night Away
織田哲郎さんのボーカルがカッコいいナンバーです。多分シングルカットでもして日本語で歌わせたらヒットしそうなそんなナンバーです。ですからこのアルバムでは少々「異質」な感じは否めません。でも、やっぱり好きになってしまうんですよ、最終的に。それにしてもやはりカッティングの切れ味抜群です。

8.A Farewell
「別れを告げる」という題名如く、悲しきかな切なきナンバーです。イントロのガットギターのアルペジオが古いモノクロ映画でみたヨーロッパ的な風景を感じさせます。ドラマチックな恋人との別れの様な、そんな劇的情景さえ浮かんできます。お見事。

・・・さて、ここが私的FUSION(フュージョン)・・・

このアルバムを聴き終える度にギタリストのソロアルバムという事を忘れさせてくれます。これはある種凄いことだと思います。土方さんほどのテクニックとセンスと経験があり、そして是だけの凄腕ミュージシャンの集合体です。当時流行っていたもっと楽器主体のテックニックを聴かせるギターアルバムにも出来たはずです。しかし、提供された作品は楽曲、アレンジ、演奏、歌、等の総合力重視的なアルバムになっています。しかも、全てにおいて陳腐な表現ですが「ハイクオリティー」です。結果、25年経った今でも鑑賞に堪えられるアルバムとなっています。音もいいですしね。

また、このアルバムのプロデューサー「長戸大幸さん」ですが、ご存知「ビーイング(Being Music Factory)」の設立者です。ビーイングは1978年に設立されたとの事ですので、織田さん、村田さんがボーカルとして参加していたのも理解出来ます。
また、個人的に得た未確認の知識ですが、当時のビーイングに携わったスタジオ・ミュージシャンで結成されたのがマライアだと考えられます。広い意味でそのレコーディングに携った人たちをマライア・プロジェクトと称していた模様です。確かに曲作りにおいて幾つか「MARIAH Project」(MARIAHと限定しない所がポイントです)といったクレジットがあります。よって、ミュージシャンだけではなく、当り前の事なのでしょうが、この作品の作成全てに関係した総合的なコンセプトが後のマライアの名盤「YEN TRICKS(エン・トリックス)」にも引き継がれる事になるのでしょう。

・・・以上が私的FUSION(フュージョン)・・・

***1980年のヒット曲*** 哀愁でいと、昴、ロックンロール・ウィドウ、恋人よ

それじゃ。また。

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コメント

出ました土方!
私はこの方のソロ作は、まだ未体験なんですが、インタビュー記事なんかでギターアルバムはやだ!なんてのを良く見かけたものです。
Being関係で私もこの方を知りました。
私の尊敬する北島健ちゃんもひそかに尊敬してるそうですよ。実際仲いいみたいですしね。
今後の研究課題がまた増えちゃった。(笑)

投稿: elmar35 | 2005/12/05 22:34

elmar35 さん。早速のコメント感謝します。
このアルバムは是非お勧めします。噛めば噛むほど味が出てきます(笑)。これと土方さんのギターを純粋に堪能したいのなら「Full Moon」もお勧めします。ギターの音が絶品です。本当に素晴らしいのです。

・・・<私の尊敬する北島健ちゃん>・・・嬉しいですね、実は私もなんです。ソロ、F・O・D殆ど揃えてしまっている位好きです。北島さんのギターの音とフレーズが大好きなんですよね。近々解析予定しますので、その際はまたお立寄り下さい。

投稿: FUSION | 2005/12/05 22:58

1.Smash The Glass
「最後に出てくるベース・ソロはなんとキーボード奏者の笹路なのです」
かっこ良い曲ですよね。

2.A Ryhme for Illusion
「ソロの前があまりにすごいので、あおられてしまって、ソロだけで4時間かかってしまいました」

3.Serious More Serious
「気の合った仲間でパーティーを開き、盛り上がって、そろそろわけがわからなくなってきたというイメージ」

5.Let Your Love Grow
土方さんのボーカル、なかなかいけますね。

6.Finds The Stars In Your Eyes
「いいかげん曲作りに煮詰まって、気分転換にコインランドリーに洗濯に行った時ふと夜空を見上げると、星がキラキラ光っていて、突然この曲が浮かんできたのです。」

> 「Smash The Glass」と本当に同じボーカリストなのと疑います。それ位、歌に対しての解釈と表現方法と声域までが全く違います。凄いボーカリストですよ。

 ソロ・アルバムを聞いていても感じますね。ウィスパー・ボイスと迫力あるボーカル。村田さんは今どうしているんでしょうね。大空はるみさんもそういうボーカリストだったので、松岡直也&ウィシングでボーカルをやってほしいです。
僕は彼女のデビュー・アルバムから聞いています。ふと、ボーカル物が聞きたくなって、レコード店でバックに土方隆行、笹路正徳、清水靖晃、清水信之、土岐英史、渡嘉敷祐一、などの名前のある「Mr.ロマンス」というアルバムが目に止まったんです。

8.A Farewell
「ちょっと聴くとハーモニカのように聴こえますが、あれは実はピアニカなんです」

※「 」内は土方さんの言葉

> 当時のビーイングに携わったスタジオ・ミュージシャンで結成されたのがマライアだと考えられます。

そうだったのか、という感じです。
事務所のことまで考えたことないですからね。
山木さんはビーイングとは違うみたいですが、他の人はそうみたいですね。

「Full Moon」も良かったですね。聴くべきものがいっぱいあるから2度くらいしか聴いてないんですけど。
松岡直也&ウィシングのモントゥルー・ライブのギタリストが土方さんですけど、聴いてますか?

投稿: WESING | 2005/12/06 18:42

WESINGさんへ。コメント有難う御座います。
強力なフォロー感謝します。これで充実したスマッシュザグラスの解析が出来ました。もう何処にも負けないくらいのブログが完成しました(笑)。後は曲ごとに使用したギターのリストがあれば完璧です。いろいろ調べていただいてご苦労様でした。因みにインタビュー記事はどこを参照されたのでしょうか?

・・・<松岡直也&ウィシングのモントゥルー・ライブのギタリストが土方さんですけど、聴いてますか?>・・・はい、勿論。しかしカセット音源しかありません(涙)
 

投稿: FUSION | 2005/12/06 20:00

> 因みにインタビュー記事はどこを参照されたのでしょうか?

僕が参照するといったら、アドリブ誌以外ないですよ。ジャズライフ誌は'90年あたりから少しずつで、楽器系の雑誌はまったくです。
当時はアドリブ誌で「ミュージシャン自らのアルバム解説」という記事があって、たまに、アルバムにも同じ物が載っていたことがありました。僕みたいな楽器を演奏しないリスナーにはありがたい記事でした。

> しかしカセット音源しかありません(涙)

CDがANTより発売されているので是非買いましょう。

投稿: | 2005/12/06 22:30

・・・<アドリブ誌で「ミュージシャン自らのアルバム解説」という記事>・・・それはいい企画でしたね。本人が解説することがやっぱり一番ですよ(笑)。私が解析するのは本当に思い込みで憶測の域を脱していませんから。だからこの様なインタビュー情報を頂けると間違いやら誤解が解決できます。ありがたいことです。

・・・<CDがANTより発売されているので是非買いましょう。>・・・わかっているのですが、そう思って何年経つ事やら・・・トホホ

投稿: FUSION | 2005/12/06 23:21

こんばんは。
コメントとTBありがとうございました。
いつもFUSIONさんのレビューには感心させられます。
その度に自分の拙いレビューが悲しくなります(笑)
これはもうボキャブラリーの差なのかも知れませんね。もっと勉強しなければ・・・(笑)

投稿: kaz-shin | 2007/02/04 03:36

kaz-shinさんへ。コメント感謝致します。

私の方こそkaz-shinさんのジャンルと言う言葉を超えた多彩な音楽観とその知識の豊富さに何時も驚かされています。
私などまだ自分のカテゴリーの狭い範疇でしか音楽を語る事が出来ません・・・私こそもっと勉強しなければと貴兄のブログを読む度に痛感させられます。

投稿: FUSION | 2007/02/04 11:43

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先鋭的な音楽集団"マライア"のメンバーで、スタジオ・セッションでも活躍していたギタリスト・土方 隆行が1980年にリリースした初リーダー・アルバム『SMASH THE GLASS』を紹介します。 私自身はあまりマライアの音楽を聴いていた訳ではありません。どちらかと言えば、スタジオ・セッションでのプレイ、特にカッティングの上手さに注目していたギタリストでした。私はカッティングの上手いギタリストが何故か大好きなもので・・・(笑) FUNKYなナンバーでの土方のカッティングは、本当に格好良いプレイ... [続きを読む]

受信: 2007/02/04 03:38

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