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検体番号29 <Getting Even(ゲッティング・イーブン)>

29 今回解析するのは、「Dennis Chambers(デニス・チェンバース)」の<Getting Even(ゲッティング・イーブン)>(1992年発表)です。

デニス・チェンバース(通称デニ・チェン)・・・なんかカッコいい名前ですよね。いかにも「重たいドラム叩きます」といった感じですよね。

この方、結構日本人に人気のドラーマーで桜井哲夫さん(デニサク)や、浪速エキスプレス等でジャパニーズ・フュージョン界でも有名人ですよね。

私がこの方を知ったのはジョン・スコフィールド・バンドでのプレイが最初でした。信じられないくらい重いビートで、これまた信じられないくらい正確無比でマシンガンの様なドラミングを披露してくれました。一聴してすぐに大好きになったのでした。そして待望のソロアルバムが発表されたのでした。

1.Fortune Dance
2.The Opener
3.Keep Walking
4.Red Eyes
5.Getting Even
6.Window's Peak
7.Boo
8.Unitl We Return

(d)Dennis Chambers  (b)Anthony Jackson/Gary Grainger  (g)John Scofield/Jimi Tunnell   (Key)Jim Beard  (SAX).Bob Berg  (Per)Victor Willimas

しかし・・・このアルバムで彼のドラミングは「ウソ~」というくらいシンプルなものになっているのでした(あくまでもジョン・スコでのそれと比較しての話ですよ、念のため)。
しかし、その分グルーブ重視の魅力的なアルバムとなっていたのです。

1.Fortune Dance
(d)D.Chambers (b)G.Grainger (g)J. Tunnell (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
いきなり重たいバスドラが印象的な8ビートから始まります。ボブ・バーグのSAXがキャチャーなメロディーを奏でます。ギターは最初聴いたときはジョン・スコかな思ったのですが、彼よりロックぽいフレーズです。クレジット見たらジミ・タネルでした。
ドラムおとなしいと思っていたら、途中のソロでチョッとだけあの華麗なスティクさばきが抜群のタイミングで入ってきます。

2.The Opener
(d)D.Chambers (b)G.Grainger (g)J. Tunnell (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
サスティーンの無い低めにチューニングされたフロアータムの音とギターの音が妙にマッチするイントロです。ゲイリー・グレンジャーのチョッパーベースがアクセントになりボブ・バーグの奏でるメローディーを引き立てています。終盤のドラムにデニ・チェンらしさがしっかり出ています。

3.Keep Walking
(d)D.Chambers (b)A.Jackson (g)J. Scofield (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
ドラムソロはデニ・チェンお得意のモーラー奏法を効果的に聴かせる高速タム回しとさり気無い片手ロール。聴くと演るのじゃ大違いの有難いドラムソロでした。この複雑なソロにも係わらずバスドラがベースとキーボードのキメにピッタリ合ったそのコンビネッションと正確なタイム感は流石。

4.Red Eyes
(d)D.Chambers (b)A.Jackson (g)J. Scofield (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
そこはかとなくアジアンテイストが感じられる印象的な曲です。デニ・チェンには失礼ですが、スティーブ・ガットが叩いてるのかと錯覚しました(笑)。それ程フレーズの作りとノリがデニ・チェンらしくなく、それがかえって、彼の懐の深さを証明した様な気がします。

5.Getting Even
d)D.Chambers (b)A.Jackson (g)J. Scofield (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
イントロのフレーズが耳から離れません。そして、いったい誰のアルバムなんだ・・・という位、ジョン・スコのギターがうなっていますが・・・アウトしすぎず安心しましたが(笑)。ジョンスコ大好きなんですよね私。しかし、アンソニー・ジャクソンのベースは本当に安心できます。この緊張感一杯の曲を目立たず騒がず、しっかり支える力量。今更ながら脱帽です。ドラムも同様に、やはり曲をタイトにまとめ、でしゃばる事の無いグルーヴ重視の演奏に徹しているのでした。ジム・ベアートのスイングしたピアノソロもgood(この人は研究の余地多分にアリです)。この曲は「長年一緒に演奏したバンド」を感じさせる貴重な一曲です。

6.Window's Peak
(d)D.Chambers (b)G.Grainger (g)J. Tunnell (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
このアルバム中で一番ファンキーな曲です。でもこの曲でダンスは踊れませんけどね(笑)。この曲でのゲイリー・グレンジャーのベースは素晴らしいの一言。チョッパーと指弾きのバランスとフレージング等、注目すべき点が多々あります。特に、途中のルバート気味な演奏が面白いですね。必聴です。蛇足ですが、後半ギターがミスっていてフェイクでごまかした様に聴こえるのですが、気のせいでしょうか(笑)

7.Boo
(d)D.Chambers (b)G.Grainger (g)J. Tunnell (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
キーボドの無国籍的フレーズが印象的な不思議な曲です。タイトルも「ブー」ですよ。意味は「デニ・チェンの息子のニックネーム」だそうです。しかし、ボブ・バーグの今まで聴いたことの無い様なアドリブフレーズが新鮮です。ボブ・バーグファンはお早めに聴いてください。

8.Unitl We Return
(d)D.Chambers (b)A.Jackson (g)J. Scofield (key)J.Beard (per)V.Willimas (sax)B.Berg
最後を飾るのは、題名の如く夕日の帰り道みたいにチョッとセンチメンタルを感じさせる曲です。7/8拍子ですが3/8+4/8で採ったほうが切なさがグッと増します(完全に私の気分的問題ですのでサラリと流してください)。ジョン・スコとボブ・バーグのソロも心に切なく響きます。大好きな一曲です。特に・・・「ジョン・スコもこんなギター弾くんですね」(笑)

・・・さて、ここが私的FUSION(フュージョン)・・・

ジョン・スコの「Pick Hits Live(ピック・ヒッツ・ライブ)」のドラムにびっくりしてデニ・チェンのファンになったのですが、そのイメージでこの「Getting Even(ゲッティング・イーブン)」を聴くといわゆる「肩透かし」をくらうと思います。それは「超絶ドラマーとして彼」の音楽に接しようするからでしょう。勿論、私もそうでした。当り前ですよね。しかし、それではこのアルバムを聴く意味が無いんじゃないか・・・と思います。勿体無いですよ。そんな先入観でせっかくの好アルバムの価値が半減してしまいます。

ドラマーとしてのソロアルバムといった事を忘れてこのアルバムに向かい合った方が「見えない音」が聴こえてきます。タイトルナンバー「Getting Even」でコメントした様に「長年一緒に演奏したバンド」と思って聴くと楽しめます。

彼のドラミングについて一言。デニ・チェンはよくモーラー奏法の権化的にコメントされる事が多いと思われますが、あくまでも完璧なパラティドルによるルーディメントを習得して、そこにさらに強力なモーラー奏法が合わさったのが彼の特徴だと思います。だから16分音符や32分音符による高速連打でもダンゴにならず、一音一音がはっきりと聴き取れるのでしょう。実際、それらを曲に溶け込ませて、難無く聴かせてしまうんですから凄いの一言です。無論グルーヴもリズム感も並みのプロドラマーとの比じゃないのは明らかですよね。

また、このアルバムではもう一つの楽しみとしてはボブ・バーグが全編にフューチャーされている点も忘れてはなりません。惜しくも他界してしまいましたが、彼のソロアルバムとしてもいいんじゃないか(失礼)というくらい、極上のプレイが堪能できます。「In The Shadows」が好きな方(このアルバムもデニ・チェンです)にもお勧めします。新たな発見があると思いますから、是非。

ただ、要望(願望)としては、先のコメントを否定する事にもなってしまいますが、もっと多くのミュージシャンとコラボレーションできたなら、もう少しバラエティーに富んだ作品になり、そう言うのもアリだったんじゃないかなと思います。

ドラマーのソロアルバムは神保彰さん、オマー・ハキム、デイヴ・ウェックルにしても、必ず「超絶ドラマーとしてのアルバム」として期待される点、その影が付きまとい、時としてそれがアルバムの評価として「マイナスの方向に働く」のは仕方が無いんでしょうか?。

ドラマーだけでなく多くの方に是非聴いて頂きたい作品です。

さて「OUTBREAK(アウトブレイク)」も買ってこよう(笑)

・・・以上が私的FUSION(フュージョン)

***1992年のヒット曲*** 悲しみは雪のように 、Choo Choo TRAIN 、冬がはじまるよ 、クリスマスキャロルの頃には

それじゃ。また。

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コメント

こんちわ!こっちは大雪がつもってサムいっす・・おまけに二日酔いです。
デニチェンは名前は良くきくけど実は良く聞いたことがないんですよね。最近ならNiacinや浪速Exp.の再結成Liveなんかで名前を見かけて気にはなってるんですよね。
貴殿の記事読んでて、急に聞きたくなっちゃいましたよ。
先日、Stuffの新品を激安でゲットしたので、早速デニチェンものを買ってGaddと聞き比べてみますね。

投稿: elmar35 | 2005/12/23 16:21

elmar35さん、こんにちは。強烈に寒さが身に凍みますね。

デニチェンはやっぱりジョンスコと一緒が最高です。もし、デニチェンの真髄を聴くとしたらジョン・スコの「Pick Hits Live(ピック・ヒッツ・ライブ)」がお勧めです。

しかし、スティーブガットといいデニチェンといい、ソロアルバムになると別人になりますよね。不思議です。でも、もしかするとそれが本来の姿なのかも・・・。

忘れていました・・・仰る様にナイアシンもそうでしたね。私はこちらを聴いてみたいです。

投稿: FUSION | 2005/12/23 18:06

こんばんは。
デニスさん、知らないなぁって思っていたら、
ナイアシンのドラマーの方だったんですね。
失礼しました^^
ハモンドオルガンが好きなので、ナイアシン・サウンドも
大好きなんです。

投稿: よっこ | 2005/12/23 21:40

よっこさん。コメント感謝します。

・・・<ハモンドオルガンが好きなので、ナイアシン・サウンドも
大好きなんです。>・・・ナイアシンが大好きとは結構の音楽通と見ました。何だかとっても嬉しいですね。ナイアシンも結構マニアックなバンドですから(笑)

投稿: FUSION | 2005/12/23 21:53

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