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検体番号35 <O-X-O>

35 今回解析するのは、「渡辺香津美・RESONANCE VOX(レゾナンス・ボックス)」の<O-X-O>(1992年発表)です。

いきなりですが、このCDの題名<O-X-O>皆さんはどのように読みますか?
香津美さん曰く、「マル・バツ・マル」「イエス・ノー・イエス」と記号的に捉えているようです。しかし・・・東原力哉さんは「高級なブランデー」・・・だそうです。流石は師匠、ドラミング同様素晴らしい感性です。

01.Unlucky Heaven  (渡辺香津美)
02.Dream Invader  (渡辺香津美)
03.Wise Up  (渡辺香津美)
04.Renu  (バカボン鈴木,渡辺香津美)
05.Saicoro  (渡辺香津美)
06.O-X-O  (渡辺香津美)
07.Amapola Negra  (渡辺香津美)
08.Ya tokot Ya  (八尋知洋,渡辺香津美)
09.Cyber Pipeline  (渡辺香津美)
10.牡丹の花  (バカボン鈴木)

「RESONANCE VOX」
(g)渡辺香津美   (b,pf,mandolin,recorder)バカボン鈴木  (d)東原力哉   (per)八尋知洋

with
(vo)三橋美香子 on02、(accordion)小林靖宏 on07、(t-sax)峰 厚介 on08、(str)Aska strings on10
しかし、よくぞこれだけ個性溢れるメンバーが集まったなと感心しますよ。

01.Unlucky Heaven 

印象的なギター・アルペジオのイントロが不思議なテンションを醸し出しています。7/8拍子なのですが、C・D・E♭・F・G・B♭の6音を8分音符アルペジオに乗せ、しかも4つのギターで音が極力ぶつからないように組み合わせ、一台は8分休符を挟み4/4拍子的に聴かせるポリリズムアンサンブルになっています。尚且つそれらを左右チャンネルから2パートずつ聴かせる言った拘りを見せています。そこにバカボン鈴木さんのチョッパーベースと香津美さんのパワーコードが絡んできます。ギターソロはレスポール・カスタムだそうですが、ロックスピリット溢れる彼独特の強靭で自由奔放なギターがクールです。
中盤のギターカティングでの上昇パターンがスリリングです。
曲名の由来は、7/8拍子で変拍子のためアンラッキーセブン、しかし、その後の打上が待っているためUnlucky Heaven・・・いやはや(笑)。

02.Dream Invader

八尋知洋さんの奏でるマイナー調のスティール・ドラムが印象的なナンバーです。
香津美さんのリラックスした曲調の中にも厳しさと緊張感を感じるダイナミックなソロと、後半のオクターブ奏法を効果的に聴かせたJAZZフィーリング溢れる演奏との対比が実に興味深いですね。
三橋美香子さんの声がこの曲に不思議なバランス感覚をもたらしている事も忘れてはいけません。

03.Wise Up

モデュレーション処理されたラウンド・パンニングにより、不安定感と独特の気だるさを支配するシーケンスパターンが癖になるイントロです。
メロディーは一転して安堵感がある素朴なメロディーになります。この香津美流パラドックス的マジックに対する軽微なストレスをコーピングしようとした時のジレンマが快感にさえ思えてきます。

04.Renu

バカボンさんのおおらかだけれど、冷たいほどに透通る様な美しい旋律が素敵です。そして、その世界観を「ギリギリのバランス」で壊すことなく丸みがあって柔らかいギターで歌い上げるギターと、ダイナミックスをコントロールしたドラムに熟練の匠を感じます。

05.Saicoro

この曲は変則チューニングで、6弦-B 、5弦-F♯の様です。ジェイコブソン・アコースティックギターで演奏されています。
出だしは冷静なクラシカルフレーズですが、中盤からはジャズとラテンとスパニッシュと民謡と○×※△?☆・・・様々な音楽スタイルを見事に融合した瞬発力のあるギタープレイは見事。
パーカッションのアプローチもユニークで「Hoppe Drum」が”技あり”です(笑)
何故に題名が「サイコロ」なのでしょうか?

06.O-X-O

「RESONANCE VOX」の曲中では一番リズムを感じさせるタイトルナンバーです。イントロの軽快なコードカッティングに騙されてはいけません。その中身たるやダイナミックかつ爽快なサウンドの中にもドライブしまっくってロック色が濃く、それでいてどこまでもファンキーです。兎にも角にも、メロディーとリズムのバランス感覚が絶妙な、極上のファンキーグルーヴが体感できる曲です。大好き。
(気のせいかも知れませんが、東原さん、途中で曲の頭を見失っているのか・・・スリップビートか・・・どちらでしょうか?)

07.Amapola Negra

題名が「黒いケシの花」・・・なんだか怖いですよね。曲調も情熱的で官能的で、それでいてどこか怪奇な香津美流スパニッシュギターですね。
この曲にのみに参加している小林靖宏さんのアコーディオンは,香津美さんを凌ぐほどの存在感と臨場感をこの作品に刻み込んでいます。ギターとアコーディオンが理想的な形で融合したこのデュオは凄いですよ。

08.Ya tokot Ya

題名の如く「ヤットコヤヤットコ」といった掛け声的なリズムをそのまま曲にした作品です。
印象としては峰厚介さんと香津美さんのユニゾンフレーズは完全なインプロビゼーション的な作風ですが、是が彼らの持ち味ですよね。
バックは単調とも言えるシーケンス・パターンですが、これによってトランス状態を作り出し偏執的ともいえる音楽を創造し、尚且つその存在を許してしまうところは流石。

09.Cyber Pipeline

メタリックな感覚に力強さと説得力を兼備えた演奏と疾走感は「RESONANCE VOX」だけのものです。異様な程にワイルドで生々しい一曲です。
それにしても「おいおい、香津美おじさん危ないよ(笑)」と言いたくなる位に過激で猪突猛進形の演奏は驚異的ですらあります。大好き。

10.牡丹の花

どこか懐かしい異国の雄大な大地を感じさせる素朴ですが壮大な曲です。
香津美さんの奏でるフレットレス・ギターとチャランゴがノスタルジックな雰囲気をより一層感慨深い物にしています。それに八尋さんのアジアンテイスト溢れるパーカションが加わることによりリスナーを虚空の世界へ引き込んでくれます。
最後のAska stringsが奏でる優美な音に涙してカタルシスを感じてください。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

このバンドのコンセプトは「胆はRock、精神はJazz、Funkな心に、頭Brazil」だそうですが、まさに核心を衝いていますね。(Brazilかどうかは疑問ですが)

このバンドを聴いて思うのは、この個性的で有能なミュージシャンの集合体はやはり凄いなということです、当たり前なんですけど(笑)。
こんな不思議で力強くて、既成の価値観に囚われる事のないバンドを他に知りません。どの曲をとっても先入観を物の見事に裏切ってくれるそんな期待感(笑)が常に在ります。そして、各々の楽曲が個別に主張した理知的でさえあるコンフリクトが新鮮です。

こアルバムを含め、いずれも素晴らしい独創性を感じる4作品を残したまま活動停止(解散?)してしまったのは非常に残念でなりません。これだけのオリジナリティーが在れば世界的に認められて然るべきバンドだと思うのですが。本当に残念です。復活を切に願います。

私のそれまで抱いていたフュージョンの認識を変えられた程の、衝撃的作品です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

*** 1992年のヒット曲 *** 涙のキッス、悲しみは雪のように 、 僕はこの瞳で嘘をつく 、 少年時代

それじゃ。また。

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コメント

まず最初に「おっ!」と思ったのがINDEX。(笑)
どうもありがとうございます。

さて、このレゾナンス・ボックス、
聞き込んでません。(^_^ゞ
好みのサウンドしているんですけどね。

Cobaさんが参加していたこともすっかり忘れていましたが、Cobaさんのアルバムに香津美さんが参加していたのはこの頃だったかな。

投稿: WESING | 2006/01/31 17:09

WESINGさん。コメント感謝します。

INDEXの件、こちらこそ有難う御座います。カレンダーを消したいが為の苦し紛れの策です。(笑)

この「O-X-O」も良いですが「自業自得・LIVE」も凄いですよね。そのうち是も取り上げたいと思っています。

cobaさんの話ですが「シチリアの月の下で」に収録されている「スペイン階段の誘惑」での香津美さんとのデュオも凄いですね。

投稿: FUSION | 2006/01/31 18:17

久々の登場です(笑)
僕もこれ持ってます。1曲目の重い7拍子が好きです。
このバンドにキーボードが入る余地はないですね。「自業自得」には入っていたと思いますが、ハッキリ言って浮いてます(笑)

投稿: major_keys | 2006/02/02 21:39

major_keysさん。コメント感謝します。

言われて「はっ」としました。キーボードがいなかったんですよね(笑)。でも、まじめに気づきませんでした。

私の場合、ありきたりのフュージョンに飽きたとき、必ず是と「自業自得」を聴いちゃうんですよね。

…<1曲目の重い7拍子が好きです。>…major_keysさんならではのコメント、有難う御座います。

投稿: FUSION | 2006/02/02 21:46

こんばんわ。

私も聞いてみたいです・・ううっ。(泣)
香津美師匠後発隊の私は中古屋で探しまわってるんですが、Pandraしか手に入りません。いつでも買えるやろ・・と高をくくってたのがいけなかった・・残念!

投稿: elmar35 | 2006/02/02 22:28

elmar35さん。コメント感謝します。

実は私、4枚のうち「Pandra」だけがカセット音源で所有です。ですから逆に「Pandraだけが手に入りません」です(笑)

好き嫌いが分かれると思いますが、elmar35さん好みの作品には間違いないと確信しております(笑)

投稿: FUSION | 2006/02/03 13:05

両方とも持ってますよ~ん(笑)
話は変わって「ブログランキング」に一票入れておきました。みんなで上位に行きましょう。

投稿: major_keys | 2006/02/03 21:51

major_keysさんへ。

ランキング感謝します。了解しました。
お互いがんばりましょう。

投稿: FUSION | 2006/02/03 22:11

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