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検体番号36 < Surfing With The Alien(サーフィン・ウィズ・ジ・エイリアン)>

36 今回解析するのは「JOE SATRIANI(ジョー・サトリアーニ)」の< Surfing With The Alien(サーフィン・ウィズ・ジ・エイリアン)>(1987年発表・日本では1988年発表)です。

音楽のジャンル、それは我々オーディエンスが都合の良い様に細分化した入れ物みたいな物でしかなく、その入れ物に入れたくないと「これは○○○じゃないよ」といって拒絶反応してしまったりします。その為、素晴らしい音楽を自ら放棄してしまうのは残念ですよね。

FUSIONといった主題を掲げている私が言うのも何なんですけど(爆笑)

今回採り上げたこのアルバムは、いや、ジョー・サトリアーニはそんな視点からもコンフリフトを感じる私的に衝撃的問題作のフュージョンです。

01. Surfing With The Alien 
02. Ice 9
03. Crushing Day
04. Always With Me, Always With You
05. Satch Boogie 
06. Hill Of The Skull
07. Circles

08. Lords Of Karma
09. Midnight
10. Echo

(g,b,key,per,d-pro)JOE SATRIANI  (d-pro,per)BONGO BOB SMITH (d,per)JEFFCAMPITELLI  (per)JOHN CUNIBERTI

はっきりいて、この人の奏法とかスケールとか期待している人は以下読まないでくださいね(笑)。私のような一般人には難しすぎて説明できませんので(涙)

01. Surfing With The Alien 

疾走感抜群でキャチャーなメロディーのROCK'N'ROLLです。コード進行も結構シンプルですが、テクニカルなプレイとフィーリングが絶妙に融合し、それらはフレーズを活かすべく為だけに存在するかの様なギタリストにとっては夢のような曲ですね。
以下に紹介する曲全てにおいてそうなのですが、1曲通して何故にこれだけの緊張感を持続させた演奏ができるのでしょうか?恐るべしサトリアーニ。

02. Ice 9

重たい8ビートに小細工なしのシンプルなヘビー・パワーコードリフに、指板を自由奔放に駆巡る即興性溢れる尖鋭的な曲です。
この曲の聴き所はやはりギター・ソロでしょう。ソロ前半はフロントピックアップ的な甘い音色でタッピングやアーミングを効果的に使いスリリングな感触を作り出し、後半は一転しワウを踏み込んだ時の様なトレブリーなサウンドでノーギミックでワイルド感溢れるフレーズの連発。まるで二人のギタリストが演奏しているかと錯覚する程の多重人格的アプローチにテクニック以上の凄さを感じさせられました。

03. Crushing Day

典型的でシンプルなヘビーメタル然としたリフに、伸びやかで懐古的なメロディーが上手く噛み合わさっています。正直、もう少しサウンドメイキングに工夫がほしいところですが・・・。
しかし、この曲でのギターサウンドの粒というかピッキングの巧みさは絶品です。音の輪郭がはっきりと浮出ている為か一音一音がダイレクトに伝わってきます。但し、ギターサウンドがもう少し鋭角的ならそれらがもっと如実になったかと思うと残念です。

04. Always With Me, Always With You

前の3曲とは一転し、スローな6/8拍子でワルツを感じさせる翔飛感のある美しナンバーです。
バックがシンプルで、その分、ギターがそのスペースを埋めていく様に歌いまくるのですが、出てくるサウンドはアラン・ホールズワースあり、エリック・ジョンソンあり、スティーブ・ヴァイあり、ジェフ・ベックあり、バン・ヘイレンあり等、様々なギタリストのエッセンスを取入れたバリエーション豊かなサウンドを感じて頂きたいですね(決して真似しているとかそういった意味ではありませんので誤解の無い様)。
でも、出てくる音楽はジョー・サトリアーニその人以外の何者でもないんですよね。この既視感は不思議です。

05. Satch Boogie

このアルバムを買ったのはこの曲が聴きたいが為だったりします(笑)。
タイトルどおりブギーなのですが、ギターがリズムを思い切り引張って行ってくれています。それに、このスピード感と高度な演奏技術が一つに融合され進行されています。ドライブ感溢れるファンキーなギターとは正に是を言うんじゃないかと思います。是だけでも凄いのに途中AからDに転調させたり、ドラムと波打つようなギタータッピングだけで臨場感ある世界を聴かせたりとサービス満点です。最後のAセブンス・サーティンスをアームダウンさせハーモニックスを効果的につかったエンディングがカッコイイです。
この曲は「バンドサウンド」を感じるといったところにも注目したいですね。

06. Hill Of The Skull

雄大なオーケストレーション的作風の曲です。2本のギターが左右のチャンネルからユニゾンされています。尚且つシンセベースと深いエコー処理されたベードラが独特の重さと広大な空間を感じさせてくれます。

07. Circles

イントロの美しいアコースティックギターの様なクリーンサウンドが気持ちいいなと思って油断していたら、一変しサトリアーニ独特の粗いディストーションサウンドが大爆発してくれます。このホメオスタシスを崩した様なギャップがインパクト大ですね。
最後のガラスの風鈴を沢山鳴らした様なSEもギターで創ったと思いますが、どうやったのでしょうか。

08. Lords Of Karma

題名が意味深そうですね(笑)。エレクトリック・シタールだと思いますが、イントロの不思議なアルペジオを効果的に響かせるには最高の手法だと思います。更紗的彩色を連想させます。
ソロはとにかく面白く、インドや中近東のオリエンタル風な中にも彼独自のメカニカルな技法が冴え渡っています。実際聴いて頂くしかないのですが、当時既存したギタリストの何れもが使用しない様なスケールはとにかく新鮮です。かといってそれ程難解に聴かせないところにやはり彼のメロディーセンスを感じます。プレイヤーとリスナーにある種の距離感を感じさせられる処に、この曲の魅力を感じます

09. Midnight

美しくも悲しい悲愴感がにじみ出たギターアルペジオのみで演奏され、芸術的としか表現できない曲です。多分両手タッピングによってのみ演奏されたものでしょう。低音(ベース音)もギター1本でタッピングで出しています。その音程の正確さと安定したリズム感はやはり抜群ですね。
しかし、その驚異的なテクニック以上に、クラシカルな「ショパン・夜想曲変ロ単調」や「ベートーヴェン・ピアノソナタ第14番・月光」をもイメージさせるネオクラシカルな曲調と、それを叙情的に聴かせてしまう彼の説得力には脱帽です。
しかし、普通のロックギタリストがこの様な曲を演奏した場合、何故かディストーションサウンドで演奏しがちですが、クリーンサウンドで真向勝負したところに並々ならぬ力量を感じます。このクラシカルな曲がもつ特異的な自己主張が強すぎると全てが崩れる危険性をはらんでいますが、あえてタッピングを使ってピッキングのえぐさを排除したギターの音質でバランスを保ちつつ、コントラストを明確にしている処は流石です。

10. Echo

軽微に歪んだベース音とEm/CM7のシンプルなコード進行にフュージョンに在りがちな音色とフレーズが妙にマッチしています。Bメロでの広大な空間を感じさせる雰囲気が、続くソロをより強固なものにし、スパイスの様に使われたアーミングとピッキングハーモニックスが、彼独特の泣きのギターを更に効果的に演出されています。
この曲は他と違いストレートなサトリアーニを我々に見せてくれています。フェード・アウトあたりで聴けるブルージーなフレーズが結構新鮮だったりしますね。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

この作品をFUSION(フュージョン)と呼ぶ事に嫌悪感を覚える人は多分にいらっしゃるでしょう。しかし様々な音楽のエッセンスを取入れたバリエーション豊かなサウンドという知見から考察すると、私的FUSIONになってしまいます。

この作品が世に出たが為に、全てのギタリスト、特に日本人は相当影響された様ですし、腕に覚えの有るギタリスト達はジャンルを問わず、急にこの手のテクニック満載の必然性を感じさせないアルバムが幾つか登場した時期でもありました。善し悪しは別として何れにせよ多大な影響力をもった作品だった事は事実です。

現在、新世代のフュージョンギタリストは私たちがジェフ・ベックに感化されたと同じようにジョー・サトリアーニに影響されているようですよね(間接的も含めて)。

最初、このアルバムを聴いた時は綱渡りみたいな危なさと、その上で繰広げるられるハイテンションでハイテクニックな面にばかり視点を奪われていました。しかし、聴き込むほどにテクニックの優劣ではなく別の視点でこの曲を捉えるようになって来るのでした。

ギターインストアルバムとしてはボキャブラリー豊富な楽曲と、それを最高の形で表現するが為により幅広い表現方法とテクニックを得とくした上で、尚且つポップスさとハイテクニックのがシンクロしたサウンドが必然的に生まれたのでしょう。

たしかにアンダーグランド的でマニアックな異端性を感じ無い事もありませんが、かえってそれがこの作品をどう捕らえるか試させられるには絶好のアルバムだと思いませんか?

一見支離滅裂に映りますが、妙に統一感を感じさせる作品です。(特にギタリストにとっては・・・ネ)

何れにせよサトリアーニ本人と、リスナー(ギターリスト)にとっては記念碑的とも言えるアルバムですね。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

*** 1988年のヒット曲 *** パラダイス銀河、みだれ髪、Beach Time、風のLONELY WAY

それじゃ。また。

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コメント

こんばんわ。
分かりますよ、貴殿がこれ好きなわけ。
ギター小僧で嫌いなやつは多分変態です。(笑)
なんかちょっと安心しました。
変なコメントでごめんなさい!

投稿: elmar35 | 2006/02/05 22:30

elmar35さんへ。コメント感謝します。

…<ギター小僧で嫌いなやつは多分変態です。>…確かにそうですね(笑)。

実のところ所有しているCDは「G3 Live In Concert 」、「crystal planet」、「Dreaming #11」 、「The Extremist」とこの「Surfing With The Alien」だけだったりします。途中購入の優先順位が下がってしまい・・・の状況です。結構この作品と「Dreaming #11」が大好きで、今でもよく聴きます。

感触からしてelmar35さんアランさんだけじゃなく、結構サトリアーニにも詳しいと読みましたが・・・いかがでしょう。

投稿: FUSION | 2006/02/05 23:06

こんばんわ。

サトちゃんはいわばギター小僧の代表みたいな気がするんですよね。
確かに難しいことやってますが、VaiやPaul Gilbertみたいに絶対まねできないほどのことはやってないし・・なんか手が届きそうってな感じが好感度高い理由になるのかな・・。

私も確かに彼のギター大好きですよ。
と、言いつつ・・それほど聞き込んではいませんけどね・・。(恥)

投稿: elmar35 | 2006/02/06 21:33

僕がここに登場するのは意外でしょう?(笑)
僕は本作は持ってなくて「フライング・・・」の方を持っています。ただ何だかよく分からなくてあんまり聴いていません。トリッキーな曲よりストレートなロック曲の方が断然カッコよかった覚えがあります。
elmar35さんに怒られそうですが、サトリアーニ、ヴァイ、モーズにはついていけないです(笑)
ロックインストをこれからも取り上げてくださいね。

投稿: major_keys | 2006/02/07 23:47

major_keysさん、コメント感謝します。

私が「サーフィン・・・」が好きな理由に"メロディーが良いと"いう理由と"ストレートなロック曲"もその一つです。
このアルバムはギター・インストとしてジェフ・ベックの売上記録を更新したとか???・・・
最初レンタルしたのですが、どうしても現物が欲しくて購入しました。多分major_keysさんも気にいると思いますよ。是非。

私もelmar35さんに怒られそうですが、ヴァイについて行けません(笑)

投稿: FUSION | 2006/02/08 12:49

すんません!勝手に盛り上がらせて頂きます。(泣)

投稿: elmar35 | 2006/02/08 19:40

この方(ジョー様)全然知らないんです。
どこかで耳にしてるかもですが…
でも、まったく知らないから、どんな音楽か
とても聴いてみたいです。

投稿: よっこ | 2006/02/08 22:19

よっこさん。コメント感謝します。

・・・<どんな音楽かとても聴いてみたいです。>・・・メロディーが結構シンプルで覚えやすい点では、よっこさんにもお勧めできます。CMとかでも流れませんが、バラエティー番組の後ろで流れたのを聴いた事があります。
多分ギタリスト以外は何度も聴くタイプの音楽じゃないのでチョッと?ですね。先ずはレンタルから(笑)
いずれにせよ興味を持っていただいたのは嬉しい限りです。

投稿: FUSION | 2006/02/09 15:09

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