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検体番号38 <Double Vision (ダブル・ビジョン)>

38 今回解析するのは、「Bob James and David Sanborn(ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーン)」の<Double Vision (ダブル・ビジョン)>(1986年発表)です。

今や解説不要、フュージョン界の大御所二人が共演し、そして誕生したのがこの「ダブル・ビジョン」です。

当時のジャズ・フュージョンアルバムでは驚異的にミリオンセラーを記録し、グラミーも獲得しています。・・・が、私この作品を長い間、愛聴していましたが、今回その事実を初めて知りました(苦笑)

この作品を文字で表すなら「メロウ&スィートな芸術作品」とでも言いますでしょうか・・・作品の隅々までに美意識が感じられる・・・そんな高貴なアルバムです。

それと、アルバム名「Double Vision」とジャケットの絵画に様々な意味あいを感じ取れます。  
複視、二人一緒の想像力、二人一緒の考え方、二人一緒の構想、二人一緒の画像、二人一緒の幻、二人一緒の展望、二人一緒の先見、二人一緒の映像、二人一緒の空想、
意外と、二人の美人だったりして・・・ネ。

01.Maputo
02.More Than Friends
03.Moon Tune
04.Since I Fell for You
05.It's You
06.Never Enough
07.You Don't Know Me

Bob James(key)  David Sanborn(as)  Marcus Miller(b)  Steve Gadd(ds)  Paul Jackson.Jr/Eric Gale(g)  Al Jarreau(vo)  Paullinho Da Costa(per)

やはり参加ミュージシャンも納得の面子ですね。

01.Maputo

美しく安堵感のあるメロディーを、サンボーンのサックスが流麗に歌い上げる、素朴だけれども上品で洗練された味わい深い作品です。
乾いた大地に恵みの雨が降り、全てを潤してくれるかの如く曲は、様に私の心にもしみ込んで来ます。
以前に紹介した様に、この曲を最初に聴いたときの衝撃は忘れません。サックスが切なく歌い、参加ミュージシャンとの融合のレベルも高く、そして何よりもボブ・ジェームスとデビッド・サンボーンの共通した美意識を感じました。ずっとこの曲の雰囲気に浸っていたいと今でも聴く毎に思います。本当に名曲です。
作曲はマーカス・ミラーによるもので、今でもマーカス、サンボーン共に演奏しているとか・・・。

02.More Than Friends

曲名が泣かせますね(笑)。豊潤で温もりが伝わってくるサウンドにぴったりのタイトルです。
レイドバックしたサウンドが安定感としてリスナーに伝わり、心身共にリラックスできる・・・そんなナンバーです。
バックを流れるキラ星の如くシンセ・サウンドと、単調なリズムを飽きさせる事なく聴かせるガッドのドラミングが、この曲の持つ繊細さと躍動感をより鮮明なものにしてくれています。
また、あくまでもアンサンブルに徹しながらも自己主張しているマーカスの存在感溢れるプレイもgood(この曲もマーカスの作品です)。

03.Moon Tune

哀愁漂い、肌寒さみたいなリアリティーを感じる作品です。
悠然と流れるボブのピアノが転調と相まって不思議な空間にリスナーを引きずり込んで行きます。冷たいほどに美しい旋律を是非、御堪能下さい。

04.Since I Fell for You

アル・ジャロウのウェット感一杯で溜息の出る様なバラードに聴惚れてしまいます。
彼の持つまろやかな渋みと、バントが奏でるブルージーで心地よい空間が調和して広がってゆく様は絶品!特にサンボーンのブルースフィーリング溢れるソロは必聴です。
しかし、ガッド・ギャングやスタッフでもそうですが、ガッドがこの手の演奏をした時は・・・鳥肌ものですよ。エリック・ゲイルの目立ちませんが、あの独特のサウンドでのフェイクとオブリガートも渋い!
この曲のオリジナルはBuddy Johnsonで、多くのミュージシャンがカバーしていますね。私の知りうる処では Laura Lee、Lee Morgan、Kenny Burrell、アン・サリー、山下達郎・・・等。

05.It's You

主張を抑えたボブ・ジェームスの奏でるキーボードが、知的な雰囲気と上品さを醸し出しています。それをサンボーンが暖かく包み込むようにブロウしていますね。
サウンドの隙間を埋めて行く Paullinho Da Costa のパーカションは、この曲に不思議な躍動感と生命力を与えています。それと調和するかの様なPaul Jackson.Jrのスライドをアクセントに使ったコードワークが絶妙。多分ギターとパーカションのトラックだけ聴いても面白いと思いますよ(笑)

06.Never Enough

イントロとか星空をイメージする綺麗なメロディーだな~と思っていると・・・油断禁物です。だんだんそのリズム隊が熱くなってきます。シンプルさの中にもパワフルでワイルドを感じるストレートなナンバーです。
しかし、ガッドのクローズドリムショットの入れ方とかライドシンバルのカップの使い方とか聴くと、この人は曲の流れとかダイナミックスさとかを理解して神経質な程、繊細に演奏してるんだと、今更ながらに改めて驚嘆します。この曲は、聴き込む程にその凄さが実感できるはずです。

07.You Don't Know Me

彼達の美的センスを充分に堪能できる切ないR&Bナンバーです。まさに歌心とはミュージシャンにとって最大のテーマだと再認識させらた一曲です。これ程までにパワフルでスケールの大きなをインストナンバーでのバラードを他に私は知りません。
マーカスの奏でるフレットレスベースが歌いますね。
作曲はCindy Walker だそうですが、一度Michael Boltonがカバーしたのを聴いた事がありますが・・・このオリジナルを聴いた事がありません。是非聴きたいものです。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

この作品は冒頭でも紹介した様に、ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーンのダブル・ネーミングによる作品ですが、きっとそんな事(失礼!)はこのアルバムを聴いている約45分間は忘れさせてくれるはずです。私がそうであったように。

ここに存在するのは、静と動が見事に調和した芸術的とも言える音楽です。

先に記したように、参加ミュージシャンは本当に凄いですね。特にスティーブ・ガッドとマーカス・ミラーのリズム隊は味わい深いグルーヴを醸し出しています。
しかし、プレイヤーとしての力量が高いだけで、この様な作品は絶対に作れないでしょう。彼達の培ってきミュージシャンとしてのテクニック、プライド、センス、そして音楽に対する愛情がなければ成しえない作品がここにあります。

このアルバムはそんな意味でも、参加ミュージシャンに背効果を印象付ける危なさも秘めていますが(笑)・・・それもよしとしましょう。

R&Bナンバーのコントラストがより明瞭になっているところ等は、彼達のR&Bへの愛情がひしひしと伝わってきますね。オーソドックスだが高品質の作品です。奥が深いですね、R&Bは。

このアルバムのサウンドはどこまでも美しく、オーソドックスな楽曲をアレンジが上手くフォローし、アルバム全体に美しい揺らめきを醸しだしています。曲に生命を吹き込み、その曲をどう表現するか・・・そこにこの作品の醍醐味を感じます。そこが楽器を演奏しない方々にも好まれる最大の要因である事は間違いないでしょう。

この種の音楽を聴く時は豊富な人生経験と幅広い音楽知識が必要なのでしょうか。だとしたら、まだまだその価値を教えてもらえそうですね。これからも一生聴き続けられるであろう作品に出会えた事に感謝します。

芸術的で良質なサウンドを堪能したい方には是非にもお勧めします。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1986年のヒット曲***  1986年のマリリン 、ガラス越しに消えた夏 、 夏の終りのハーモニー 、 雪國

それじゃ。また。

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コメント

コメントは久しぶりです。
数あるCDの中でも好きな一枚です。
このアルバムはフュージョンを聴き始めて間もない頃に手にしたもので、結構思い出深い一枚でありますね。

・・・近々レヴューしよう・・・・と。

投稿: でんた | 2006/02/24 19:33

でんたさん。コメント感謝します。

でんたさんもやはり好きでしたか。そうでしょうね。貴殿のブログからもそんな感じをうかがい知れますね。
いいですよね。多分10人聴いたら10人それぞれ違ったVisionを感じるでしょうね。レビュー期待しています。

A Touch Of David Foster/David Foster・・・私も何時かレビューしようと思っています。いいアルバムですよね。

投稿: FUSION | 2006/02/24 20:18

こんばんわ。
また見当違いのコメントになるかも(笑)しれませんが、貴殿はGadd好きなんですね。
Guitaristはグルーブ重視なところがあるんで、好きなDrummerのタイプが分かれば、逆にその人のスタイルが何となく分かるようです。
だから貴殿はカッチリしたギターを弾くタイプとみました!
どおすか?

投稿: elmar35 | 2006/02/24 22:15

elmar35 さん。
面白いコメント感謝します(笑)

はい、お察しの様にガッド大好きです。何故か好きな曲の多くがガッド絡みなんですよね・・・不思議と・・・なんででしょう?

あ!カリウタも大好きです・・・ジンチのレビューもう少し先送りにします。難しいですよ、あれは(笑)

ギターの件ですが、私、現在ギターを弾いておりません・・が・・タイプとしては是方さんの様なギター引きだと勝手に思い込んでいます(妄想かも知れません)。

>カッチリしたギターを弾くタイプとみました
どちらかと言うと一音入魂で弾くタイプです
(本当に今はただのリスナー化していますので・・・悲)

elmar35 さんのブログのイメージからすると貴殿は・・・まだ登場してませんが・・・バケット・ヘッドの様なギターを弾きなさるのでは・・・どうでしょう?

投稿: FUSION | 2006/02/24 22:39

BucketHeadってあのGuns'n'Rosesの新作に参加してる人ですか?今度聞いてみます・・未体験なもんで。(笑)
自分のGuitarStyleって意外と分からないものですね。
ちょっとピッチがずれてるあたりTheAlfeeの高見沢さんなんか他人とは思えない感じが昔してました・・ルックスは別として。(爆)
なんとか音だけでも北島健二さんに追いつきたいなとは思ってますよ。(涙)

投稿: elmar35 | 2006/02/25 16:30

elmar35さんへ。

>音だけでも北島健二さんに追いつきたいなとは思ってますよ。・・・

あ!そうでしたよね。以前、そんな話してましたよね。
北島さんのあのニキニキとしたチョッとブリッジよりで弾いた硬い音色はいいですよね。
私的にはレッド・オン・リードのサウンドが大好きです。あのサウンドにはいまだに憧れています。

バケッド・ヘッドは常人(私)には理解出来ないサウンドとプレイがウリでとにかくヴァイが壊れたような?サウンドを出してます。チョッとノイジーですが・・・

投稿: FUSION | 2006/02/25 17:09

毎度どーもヾ( ^O^)ノ゛

このアルバムのレヴューを書いてみました。
お時間があれば拝見していただければ・・・

投稿: でんた | 2006/03/04 22:27

でんたさんへ。コメント感謝します。


早速貴殿のブログ拝見しました
>芸術性があって、円熟味のある、一つ上の大人な音をお楽しみあれ!
いい表現ですよね。このアルバムをうまく象徴したコメントですね。

結構でんたさんと私は年が離れているようですが趣味が一緒のようですね。嬉しいです。
今後も宜しく御願いいたします。

投稿: FUSION | 2006/03/05 10:35

まあ、インスト曲が好きでしてね。
私くらいの年齢だと、楽器弾きでもない限り
こっち系統の音楽はあまり聴かないみたいで。
友人数人に勧めてみたんですけど、
悪くはないけど・・・ねぇ、と曖昧な返事。

それとジャズを聴いているというと、
センスいいね、とか「お高い」音楽を聴いているという意見を
持つ人が多いみたいです。
悪くはない反応ですが、ジャズも大衆音楽の一つ。
そんな感覚なしにでも楽しんで欲しいものなのですが・・・

こちらこそ、今後も宜しく御願い致しますm(_ _)mペコリ

投稿: でんた | 2006/03/05 15:07

はじめまして。
私もこれは好きなんです。LPは輸入盤の発売時にすぐ買いました。
CDも買いましたけど。
最後の曲は、ジェイムスがプロデュースしたケニー・ロギンスのアルバムでやってますね。

投稿: Sken | 2006/03/24 13:05

Skenさん。はじめまして。
コメント感謝いたします。

このアルバムはやはりファンが多いようですね。何だか嬉しい限りです。

>LPは輸入盤の発売時にすぐ買いました。
凄いですね。私の場合、最初はレンタルでした(苦笑)それからしばらくたってCD購入というありさまです。

07.You Don't Know Meの件ですが、早速調べました。Celebrate Me Home というアルバムですね。私、アメリカンポップス等は不得手でして、こう言った貴重な情報は本当に助かります。機会を作って聴いて見たいと思います。
本当に有難うございました。

今後も宜しくお付き合い下さい。


投稿: FUSION | 2006/03/24 15:39

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