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検体番号40 <Views Collection(ビューズ・コレクション)>

40 今回解析するのは、「堀井勝美Project 」の<Views Collection(ビューズ・コレクション)>(1992年発表)です。

この、堀井勝美さんなる人物は・・・・しらない人が多いかもしれません。私も10数年前まではそうでした(笑い)。

しかし、ドラえもんの映画サントラや、みんなのうた、お母さんといっしょ、・・・などを手がけた、言わば異色のアーチストと言えるでしょう。

以上から分かるように、TV・映画・CMソング・舞台音楽の作曲プロデュース等、その活動は多岐に及んでいる方です。(正直勉強不足で足取りが今ひとつです・・・ゴメンナサイ)

しかし、不思議な事に自ら演奏する事はまったく無いそうです。東京音楽大学作曲科卒業の経歴を持っていますので作曲能力とアレンジ能力、音楽知識は推して知るべきところです。(オーケストラのスコアーとかもスラスラと書いてしまうんでしょうね。)

多分ピアノは抜群に上手く弾けるのでしょうが、作品にミュージシャンとして参加する事は無いようですね。

そんな天才「堀井勝美Project」の8作目!(シングル1作は除く)の作品がこれです。

01.On wings of our love
02.Act 713
03.Lazy clouds
04.Alone at last,Under the last quarter
05.Risky lipstick
06.Dancing shadows
07.Missing story
08.Spiral flight

Produce,Compose,Arrange 堀井勝美

アルバムのキャッチ・コピーは「夏の景色をプロデュースする、ポップ・フュージョン」・・・ごめんなさい、忘れていました・・たしか・・・今・・・3月でした・・・ネ。

01.On wings of our love
ANNA(vo・cho) 石川雅春(d) 鳴瀬善博(b) 梶原順(g) 野力奏一(key,pf) カルロス菅野(per) 土岐英史(sax) 篠崎正嗣グループ(str)

ファンタスティックで美しく優雅な響きのストリングスに、野力さんののささやくようなキーボードとピアノが溶け込み、ANNA の洗練された柔らかで心地よいシルクのような滑らかな歌声が見事に同調した逸品です。
前半の暖かく包み込んでくれる様なサウンドと対比するかの様な、後半の激情的ともいえるパワフルな歌声に、彼女の弾力性の有るしなやかさを感じます。
キーボードの煌く様な音色と、スネアのアクセントを2小節ワンセットで微妙にずらしたドラムスが絶妙で、それに絡むストリングスとフレットレス・ベースの流れるようなラインはアレンジの妙ですね。
それにしてもANNA(Anna Gholston)のボーカルは凄い!約3オクターブの音域を自在に使いこなし、そしてこの表現力。何故に知名度が低いのか?おかしいですよね。不思議ですよね。そう思いませんか・・・皆さん。
黒木麻衣さんのアルバム「Reach for the sky」の<What I fell>にコーラスとして参加している様ですが・・・ソロアルバムとか無いのでしょうか?

02.Act 713
石川雅春(d) 鳴瀬善博(b) 梶原順(g) 野力奏一(key,pf) カルロス菅野(per) Ericグループ(tp) Aiji Araiグループ(tb)

ゴージャスとも言えるサウンドをバックに、梶原さんの持味である骨太さと疾走感溢れるギター・サウンドが気持ちよく響くナンバーです。この力強いギタープレイがバックに埋もれる事無く、メロディーを際立たせている最大の要因でしょうか。
このメンバーが織りなす自信に満ちたエキセントリックなサウンドには安心感といったものを感じます。

03.Lazy clouds
石川雅春(d) 鳴瀬善博(b) 梶原順(e・g) 田代耕一郎(a・g) 野力奏一(key,pf) 林有三(key) カルロス菅野(per) 

この曲の持つ深夜の都会をイメージさせる音像を、田代さんの奏でるアコースティック・ギターが何処か物悲しく、そして繊細なメロディーを感情溢れるプレイで上手く表現しています。
レゲエ調?のリズムと、哀愁漂うメロディーのコラボレーションが新鮮ですね。
後半の田代さん感情移入を感じるドラマチックなインタープレイは秀逸です。アコースティック・ギターの叙情的な響きと、情操的なそのメロディーはいつまでも心に残ります。

04.Alone at last,Under the last quarter
石川雅春(d) 青木智仁(b) 梶原順(g) 佐山雅弘(key) 野力奏一(pf) 林有三(key) 鳴島英治(per) 平原まこと(sax)

朝の光と爽やかな風を感じるかの如くサウンドで満たされた、曲全体からふくよかな優しさを感じる素敵なナンバーです。
平原さんの奏でるソプラノSAXはハリと艶があり、楽器本来の持つ生音を大切にしたウォームなサウンドが優しいメロディーをより一層明確にしています。
癒されますね、この曲には。

05.Risky lipstick
石川雅春(d) 鳴瀬善博(b) 梶原順(g) 野力奏一(key,pf) 林有三(key) 八木のぶお(jazz・harp)

イントロの典型的(陳腐?)なフュージョンタイプのキメが何故かカッコよく、そして新鮮に響きます。リズム隊がタイトだからでしょうね。
梶原さんのブライトで抜けの良いカティングが全体を刺激的な楽曲にしています。
メロディーを奏でる八木さんのjazz・harpは、ファンキーでワン・アンド・オンリーの独創性を感じるプレイは秀逸です。このアプローチには新鮮な刺激を受けました。
「大胆な(危険な?)口紅」の題名と曲調がチョッとミスマッチかな?
(一箇所だけ聴ける鳴瀬さんの「ハーモニックス飛ばし」が何故か印象的です)

06.Dancing shadows
石川雅春(d) 青木智仁(b) 梶原順(g) 難波弘之(rhodes-p) 佐山雅弘(key,pf)  野力奏一(key)  鳴島英治(per)  土岐英史(sax) 

軽快で馴染み易いシーケンシャルなメロディーが耳に残るチョッとスリリングでdancy なナンバーです。
単調な旋律ですが、メロディー自体が持っている魅力を充分に引出している土岐さんのSAXの音色とプレイは絶品です。そしてそのメロディーをモチーフにしたフェイクから、徐々に自分の世界へ引きずり込んでいくインプロビゼーションはアーキテクト的な美しさも実感できます。彼の淀みなく流れる様なフレージングを堪能してください。
山下達郎さんを始め、多くのミュージシャンがこの方を絶賛するのがよく理解できますよ。勿論、私も・・・大好き!

07.Missing story
石川雅春(d)  青木智仁(b)  梶原順(g)  佐山雅弘(key,pf)  カルロス菅野(per)  中西俊博(violin)

青木さんらしいミッドレンジ豊かなチョパーサウンドが刺激的な、ミドルテンポでライトなファンキーナンバーです。
パワフルにドライブするリズム隊の生出すグルーブ感は心地良く、安心して身を委ねられますね。
そんなバックを強力な味方に付け、力を抜いておおらかに歌い上げる中西さんの男性的なバイオリンが好きです。彼の強烈な個性と相まって、他のバイオリニストとは一線を画くする歌心が最大の魅力ですね。
佐山さんのピアノの中低音域をフルに使ったチョッとブルージーなソロは相変わらず無敵ですね。

08.Spiral flight
石川雅春(d) 青木智仁(b) 梶原順(g) 難波弘之(rhodes-p) 佐山雅弘(key,pf) 小林隆一(key)

梶原さんのブライトで抜けの良い音ギターサウンドが自由奔放な開放感を見事に演出しています。飛び立つような爽快感を感じさせるギタ-ソロは名演ですね。
それを支えるかの様な青木さんのベースは絶品です。特に彼の持味を最大限に生かしたシンプルだが独特のグルーブ感溢れるチョパーと、指弾きでの歌うようなフレーズの対比は見事ですね。シンプルな楽曲ですが、これにより単調に陥る事無くリスナーを飽きさせません。
飛翔感と臨場感が有って、尚且つ美しい楽曲です。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

まず、やはり堀井勝美さんのアレンジ能力は凄いですね。
細部まで計算し尽くされたアーキテクトなアレンジと共に、一音一音のニュアンスを大切にしているのが伝わってきます。
その音を大切にしている処などは選抜されたミュージシャンからも窺い知れますね。適材適所にミュージシャンを配する事で、それぞれの楽曲の持つ魅力を最大限に引き出しています。

そんな中、全曲に参加している石川雅春さんのドラムが素晴らしい演奏で、アルバム全に統一感とタイトなグルーブをもたらしてくれています。

また、鳴瀬さんは非常に興味深い演奏を聴かせてくれます。例えば♪を弾くとき、曲やフレーズ、他の楽器のフレーズによってその一音の長さやアタック感を微妙に変化させ、同じ♪でもその長さを長めにしたり短めにする事によって曲に表情を微妙にコントロールしています。一音一音の気合の入れ方がとにかく凄いですね。上手く表現出来ませんが、カシオペアではテクニカルに、野獣王国ではパワフルに、そしてこのアルバムでは繊細に・・・と言った感じでしょうか。

アルバムとしては、実に多彩な映像が浮かんでくる様なサウンドが散りばめられ、アルバム全体が一つのドラマの如く、様々なシーンが見事に融合し、それぞれの楽曲が確固に存在し協調し合う事で、一つのストーリーが浮かんできます。

一聴すると安易でスムースなアルバムかも知れませんが、印象深い楽曲と演奏水準の高さが同期した、トータル的に多彩なストーリ性を実でき、曲調とは裏腹に神経質なくらい丁寧に創られたアルバムです。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1992年のヒット曲***  涙のキッス 、それが大事 、君がいるだけで 、決戦は金曜日

それじゃ。また。

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コメント

こんにちは。
堀井勝美Projectは、好きで「HOT IS COOL」や「OCEAN DRIVE」等数枚所有してます。
面白いのは、堀井さん自身が楽器を演奏せず、作曲、編曲、プロデュースに徹していることと、バンドではなくプロジェクトという形をとっていることでしょうね。

メンバーを固定しないで、ある程度自由度を高くして曲にあったミュージシャンを器用するみたいな感じでしょうか。
ミュージシャンの個性を活かしたアレンジをするなといつも感心します。

あとジャケットが、鈴木英人さんのイラストというのも80年代フリークにはたまりませんね(笑)

投稿: kaz-shin | 2006/03/12 15:50

kaz-shinさん。コメント感謝します。

>堀井勝美Projectは、好きで「HOT IS COOL」や「OCEAN DRIVE」等数枚所有してます。

やはりそうでしたか。そんな予感がしていました(笑)。

kaz-shinさんのコメントにある様にミュージシャンの個性を活かしたアレンジ・・・はまさにそのとおりですね。

>あとジャケットが、鈴木英人さんのイラスト・・・
知りませんでした(恥)。情報有難う御座います。

投稿: FUSION | 2006/03/12 16:03

えっ!シングルなんてあったんですか?
と、一言だけ。また書きます。

投稿: WESING | 2006/03/12 18:34

WESINGさんへ。コメント感謝します。

「OCEAN DRIVE」の1曲目「CRUISING BOY」がシングルとして同時発売されたはずです。
実は是方さんと土岐さん繋がりで「OCEAN DRIVE」から堀井勝美さんの存在を知ったのですが、「OCEAN DRIVE」を店頭購入した時にシングルを確かに見た記憶があります。多分1988年の夏頃だった記憶があります。ですからそのシングルは所有もしていませんし、同じアレンジなのかすらも分かりません(汗)。

余談ですが、「OCEAN DRIVE」のライナーに「CRUISING BOY」がライオン・シャンプーのCMに使われていると書かれていますので、もしかするとタイアップ的な販売だったのかも知れませんが・・・

もし私の記憶違いでしたら非常にお恥ずかしい限りです。

投稿: FUSION | 2006/03/12 19:01

調べたらシングルありましたね。←持っているという意味じゃありません。
アルバムと同じ曲でありますように。(笑)

もう一つ、ボーカル曲ってあったの?
というくらいボーカル曲の存在を忘れてます。Anna Gholstonさんというんですか。
同じ人かどうか知らないけど、角松敏生さんプロデュースのVOCALANDでANNAさんが歌ってますよ。

堀井勝美プロジェクトの登場は、カシオペアはマンネリ感があったし、僕の好きな松岡さんは「ハートカクテル」の頃で、打ち込みが多かったから多少物足りなくて、スクェアは「TRUTH」が出る直前だったから、「待ってました!」という感じでしたね。

メンバーが違うのにどのアルバムも堀井勝美プロジェクトのサウンド・カラーがありますよね。
楽曲も良いし、どのアルバムも好きです。

特に土岐さんのサックスが好きなんですけど、4は平原さんなんですね。
良い音色だと思ったから、最初は土岐さんかと思ったんですけど、ずっと聞いていたら微妙に違うような気がしました。

「ベスト・サウンド」に堀井さんと是方さん、鳴瀬さん、難波さんで出演したのかな。
堀井さんの演奏シーンが映っていたかどうか覚えてません。

投稿: WESING | 2006/03/12 21:50

WESINGさんへ。コメント感謝します。

>角松敏生さんプロデュースのVOCALANDでANNAさんが歌ってますよ。
実は私もそう思って「ANNA」(1997年発表)のCDを購入したのですが・・・まったくの別人でした。チョッと残念でしたが、彼女もなかなかGOODですね。

>「ベスト・サウンド」に堀井さんと是方さん、鳴瀬さん、難波さんで出演したのかな。堀井さんの演奏シーンが映っていたかどうか覚えてません。

当時はNHKの仕事が結構多かったようですね。でも是はまったく知りませんでした。

またもや貴重な情報感謝致します。

投稿: FUSION | 2006/03/12 22:51

別人でしたか。
ANNAだけでは分かりませんね。
そんなばかなと思うかもしれませんが、ANNA BANANA という人もいたようだし。(笑)

ベスト・サウンドは松岡さんの司会でしたが、
是方さんが「松岡直也グループはますますよくなりましたね」と言ったら、ナルチョが「おまえがいなくなったから良くなったんだよ」と突っ込んでました。(笑)

投稿: WESING | 2006/03/12 23:26

↑ 人と書いたけど、ANNA BANANAってグループ?

投稿: WESING | 2006/03/12 23:29

WESINGさんへ。コメント感謝します。

ANNA BANANA・・・初めて耳にしました、勉強します。


ナルチョの件、彼らしい豪快なツッコミですね(笑)

投稿: FUSION | 2006/03/13 11:11

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