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検体番号46 <JING CHI LIVE(ジンチ・ライブ)>

46 今回解析するのは「JING CHI(ジンチ) 」の<JING CHI LIVE(ジンチ・ライブ)>(2003年発表)です。

以前より交流のありました 「elmar35 さん」 (この方のアラン・ホールズワース情報とレビューは最強です。必見!!!)より、リクエスト頂いておりました「JING CHI」が今回のサンプルです。
このところ「3ピースバンド・シリーズ」が続いておりましたが・・・そうなんですね・・・このグループもトリオでした。問題は発表されている3作品の、どれをレビューするかと言う事になりますが、これだけの最強メンバーですからやはりライブが一番と思いました。よって強引に決定します(笑)・・・でもゲストがいたりして3ピースじゃないのですが・・・。

01.That Road
02.Going Nowhere
03.The Hong Kong Incident
04.Stan Key
05.What goes Around
06.Crazy House
07.Cold Iron Bound
08.Bluse MD

・・・JING CHI・・・
Vinnie Colaiuta(d) Robben Ford(g,vo) Jimmy Haslip(b)

・・・Spcial Guest Musicians・・・
Otmaro Ruiz(key) Marc Russo(Sax on "Bluse MD")

ジンチ・・・改めて口にしてみると妙なバンド名(失礼)ですね。しかし、命名はロベン・フォードで、中国語の「生命力、活力、精気」と言ったニュアンスの言葉らしいです。私、中国語は全く分かりませんので、これまた無責任ながら・・・未確認情報と言う事で御許し下さい。
でも、チベット教徒のロベンらしいネーミング・・・と言う事になるのでしょうか?

個人的には「仁智」がいいな。(意味は大辞林より)
1 仁愛にして知恵の優れていること。いつくしみ深く賢いこと。
2 雅楽の箏(そう)の異名。

01.That Road

このアルバムのみに収録されているロベンのオリジナルです。
バンドサウンドの骨格を再確認するようなタイトでワイルドなヴィニーとジミーのリズム隊は素晴らしいの一言!。無駄な装飾を省きシンプルで味わい深いサウンドでのグルーヴ感抜群の8ビートは癖になりますよ。ビートのツボをおさえた演奏とはまさにこの様なプレイを示すのでしょうね。特にジミーの冷静でCoolなプレイはベーシスト本来の姿を再認識させてくれますね。
ロベンのギターはといえば、ブルースとロック魂溢れる熱く襲いかかるようなサウンドが味わえます。この潔さは彼の持ち味ですね。どんな状況でも彼が身上とするブルースフィーリングを基にした自分のスタイルを貫く姿勢は素晴らしいですね。そして何より、シンプルなフレーズをよく歌わせる術を心得ている数少ないギタリストですね。
ゲストのオトマロ・ルイーズとロベンの臨場感溢れるスリリングなインタープレイは絶品です。
また、オトマロのJAZZYなフレージングに彼のルーツを発見できますね。
何よりも曲の終わり方が・・・カッコイイ!!!

02.Going Nowhere

ファーストアルバムからのボーカルナンバーです。
シンプルながら怪しげな雰囲気を漂わせるサウンドですが、ツボを得たサウンド・メイキングは興味深いものがあります。
よく聴くと凄まじいの一言。特にヴィニーのドラミングは特筆すべき点が多すぎますね。とにかく手数が多いのですが・・・決して邪魔にならないんですよね。空間を感じさせる曲調に彼のドラムが徐々に満たされていく様を是非お聴き下さい。ドラムが歌う・・・こんな演奏、そう聴けるモノじゃありませんよ。リスナーを圧倒し、言葉すら見つかりません・・・必聴です。(ライドシンバルのイントネーションに注意して聴くと面白いかもしれません。)
演奏面でのテクニックとは、曲を表現する為の重要なファクターの一つである事を再認識させられた素晴らしい楽曲です。やはり・・・恐るべし「ヴィニー・カリウタ」。

03.The Hong Kong Incident

ファーストアルバムより,ロベンとジミーの共作によるナンバーです。
先ず、スタジオバージョンより数段良いですよ、これは。グルーブの塊が洪水の様に押寄せてくる様は聴く者を圧倒します。
退廃的なイントロに、シンプルな8ビートが徐々に絡んできます。それから先はもうヴィニー・ワールドですね。ハードロック風の重たいグルーヴを叩き出すしたかと思えば、フレキシブルでラジカルなドラムサウンドの洪水に押し流されそうになったり・・・兎にも角にも圧巻!!!
ロベンのギターといえば、彼お得意のディミニッシュ・アプローチを上手く使ったソロはスリリングでクールの一言。
そして、シンコペイトした躍動感のあるベースラインは、この曲に独特のグルーヴ感と安心感を作り出していますね。
実力者同士の高度ながらも、実に息の合ったインタープレイを聴かせてくれます。

04.Stan Key

前2曲同様ファーストアルバムから。
空間を漂うかの様なロベンのワウ・ギターが印象的な作品です。ダーティーで無骨な感じつつも浮遊感の有る怪しげなギターサウンドは面白いアプローチですね。
この作品では彼達に与えられた空間でスリリングなインタープレイを楽しんでいるかの様でいて、尚且つ偏執的ともいえる独自の世界観を創り上げています。その為かリスナーに距離感を感じてしまいますが・・・。やはり私の様な凡人には入り込めない孤高の世界なのでしょうか。

05.What goes Around

この曲はゲストミュージシャンでもあるオルトマ・ルイーズの作品です。ジンチの首謀者でもあるジミーは彼の事を相当高く評価している様で「ジンチを4人にしてもいい」とまで発言していました。
確かにキーボードが前面にフューチャーされた楽曲ですね。特にキーボードソロは難解なフレーズながらリスナーにそれを感じさせないのは、高度なテクニックとメロディー重視を複合させたサウンドメイキングといったポリシーが在るからかも知れませんね。また、彼のシンプルながらもツボを心得たバッキングは良いですね。
アルバムの中ではシックで落着いたと言うか、曲線的なメロディーと当り前すぎるアレンジが物足りないかも知れませんが、ある意味この作品群に在ってはシンプルで流麗なサウンドは至極重要なファクターかもしれませんね。5曲目という位置からしてもそう思いますよ。

06.Crazy House

感情を押し殺したプレイから紡ぎ出された音は、聴くものに息苦しくなるほどの緊張感をも強いられます。それはまるで求心的な程に自己を見つめるかの様にさえも感じますね。
サウンドにはプログレッシブロック的なスリリングさとワイルドなインプロビゼーションが一体となり、彼の内面から滲み出るそのサウンドは凝縮感があります。
ファーストアルバムにも収録されていますが、ラフスケッチ的で彼達の素顔を垣間見るには最適な楽曲ですね。

07.Cold Iron Bound

何処かで聴いた事があると思ったら・・・ボブ・ディランのカバーですね。ライナーにも書いてありましたが・・・この曲はロベンのチョイスでしょうね。私もそう思います。彼のルーツであるブルースフィーリング溢れるギターソロが爆発してますからね。やはりシンプルなペンタトニック一発のロベンが奏でるブルージーなソロは最強です・・・良いですね(笑)。
この曲で特筆すべき点は、オルトマのキーボードソロです。ギターサウンドを模したそのサウンドとフレージングは唖然とさせられました。ニュアンスなんかまんまロベンそのものだったりします。

08.Bluse MD

この曲は彼達にとって特別な作品の様ですね。MDは言わずと知れた「Miles Davis」ですね。
題名のようにBluseですが、ロベンが共演したマイルス・デイヴィスを「call to mind 」した様ですね。サウンドの隙間を存在意義の有るフレーズのみで埋めて行く様は、まさにマイルス独特の手法ですね。言わば、空間に各々のプレイを映し出すかの様な手法と、独特の間は、まさに彼の世界観を上手く再現させていますね。
またこの曲のみにイエロー・ジャケッツの元メンバー「マーク・ルッソ」がSAXで参加しています。実はこの作品、ジミーにとっては惜しくも他界されたボブ・バーグへのトリビュートソングでもあるようですね。一時期ジミーとボブはイエロー・ジャケッツで一緒にプレイしていましたし、何より奇しくもボブはマイルスの門下生の一人でしたね。
何れにせよ、彼達にとっては掛け替えのないミュージシャンに対する想いを表した貴重な作品である事は事実以外の何物でもないのです。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

今回のレヴューはとにかく「難題でした。
何故なら、この「JING CHI(ジンチ)」というバンドは比較対象すべきモノが無いのです。通常なら「×□#の影響を感じる」とか「○◇※の様に」といった対比や比喩が一切出来ないのです。

彼達の強烈な個性は相変らずで、他を寄付けないまでの「ジンチワールド」を展開しています。彼達にしか成しえないそのサウンドはどちらかと言うと内省的でモノマニーな「孤高の存在感」をも感じます。その為か自己陶酔的な面も見え隠れしますが・・・これも彼達の魅力の一つでしょう。今回は流石に「Tengoku」の様なエスニックでムーディーな怪しい曲調の作品は収録されていませんが(笑)

このライブアルバムは、そんなジンチの冷静さとハイボルテージの演奏が見事なバランスで存在した作品です。テクニックは勿論、リスナーを圧倒し、強引なまでの説得力をも感じさせるその存在感たるや圧巻です。彼達のセンシビリティーの高さはやはり驚異的としか表現出来ません。

一聴すると難解で複雑怪奇な曲も根本的にはシンプルなコード進行や、古典的な様式の曲展開だったりします。しかし、シンプルなフレーズをよく歌わせる術を心得ている数少ないギタリスト、ロベンのフレーズに、ヴィニーの驚異的に難解なフレーズとリックが雪崩の様に押寄せ、ジミーのボトムをしっかりとキープしたグルーヴィーなサウンドが渾然一体となる事によって、えも言われぬ今までに経験した事の無い、そして、テクニックだけに支配された音楽などでは決して無い「ジンチワールド」が存在するのです。彼らの創り出すサウンドには常に圧迫感を感じます。この凄まじいサウンドは何なのでしょうか?本当に不思議なバンドです。

しかし何より最大の疑問はトラディショナルなフレーズがこうも難解に、そして新鮮に聴こえるのは何故なのか?と言う事です。

アルバム全体が濃厚で、重苦しい程に権威的なサウンドが堪能できます。彼達のライブ空間に無理矢理引きずり込まれてしまう、臨場感溢れるライブ盤の名作です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***2003年のヒット曲*** さくら(独唱)、涙そうそう、銀の龍の背に乗って、世界に一つだけの花

それじゃ。また。  

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コメント

こんにちわ。

リクエストにお答え頂き、あまつさえ当方の宣伝まで・・恐悦至極に御座います・・最強ちゃうけど・・。(恥)
・・やられましたね!(笑)ライブと来ましたか。
私が彼らを知った頃に出てた‘3D Live’だったかな・・多分2ndのあとぐらいに出たやつとは違うみたいですね。
しばらくノーマークだったので・・ご披露頂き感謝です。

ロベンのギターはいつ聴いてもハートにグッと来るものがありますよね。
おまけに、ありがたいビニーのバチ捌きとジミーの読経のような滑らかなベースが加わり、バンドにまるで後光がかかってるかのよう・・そうか、これが奴等のマジックだったのか・・。
チベット仏教がキーポイントだったんですね・・なるほど・・。

難しいレビューご苦労様でした。
いつもながらすばらしい分析でしたね。
このレビュー参考にしながらもっと良く聞きこんでみます。
ありがとうございました。

投稿: elmar35 | 2006/04/29 18:45

elmar35さんへ。コメント感謝致します。

先ず、約束のレヴュー遅れてごめんなさい。やはり「超難題」でした(笑)。

>ロベンのギターはいつ聴いてもハートにグッと来るものがありますよね。
そのとおりですね。彼のストレートなギターは胸にグッと来ますよね。因みに北島健二さんもロベンがファイバリット・ギタリストの一人だそうです。(以前紹介した「ギターに愛を」をベスト3に挙げていましたから)

実際にライブを見たいのですが・・・。

投稿: FUSION | 2006/04/29 19:37

度々失礼します・・↑の訂正です。
私の思い違いで、‘3DLIVE’と思い込んでたのがこのアルバムでした・・是非入手せねば・・。
結局この後リリースが止まっているようですね。
活動してるのかな?

Otmaro Ruiz(key)って面白い名前だな・・オッとマリオ?ルイジ?なんて・・?

投稿: elmar35 | 2006/04/30 10:12

elmar35さんへ。コメント感謝します。

訂正の件、了解です。
実は3DLIVEとあったので4枚目かDVDが発売されたのかと思ってチョッと焦りましたが(笑)・・・やはりライブが見たいですね。

仰るように続編が出ませんね・・・やはりセールス的問題なのでしょうか?それとも個々忙しいのでしょうか?こういった音楽はなかなか存続自体が困難なのでしょうかね・・・残念です。

>Otmaro Ruiz(key)って面白い名前だな・・オッとマリオ?ルイジ?なんて・・?

・・・座布団はあげられません(笑)

投稿: FUSION | 2006/04/30 16:53

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