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2006/05/02

検体番号47 <HALLE(ハレ)>

47 今回解析するのは、「CASIOPEA(カシオペア)」の<HALLE(ハレ)>(1985年発表)です。

五月・・・良い季節ですね。連休もあり、暖かくもあり、何より爽やかな青空は清々しくて気持ち良いですね。五月晴れとはよく言ったものです・・・晴れ・・・はれ・・・ハレ・・・HALLE。

そんな強引な展開で今回のレビューに繋がるのですが・・・・。

01. HALLE  (カシオペア)
02. HOSHIZORA  (野呂一生)
03. STREET PERFORMER  (神保彰)
04. THE TURNING BELL  (野呂一生)
05. NORTH SEA (野呂一生 )
06. MATSURIBAYASHI  (野呂一生 )
07. TOUCH THE RAINBOW  (神保彰)
08. AFTER SCHOOL  (向谷実)
09. FREESIA  (桜井哲夫)
10. MARINE BLUE  (野呂一生 )
11. PARADOX MARCH  (向谷実)

野呂一生(g)、向谷実(key)、桜井哲夫(b)、神保彰(d,per)

試聴は・・・ここで

・・・実はこのアルバムタイトル<HALLE(ハレ)>は本来、「晴れ」を意味する言葉ではなかったようです

(以下、ギターマガジンに掲載された野呂さんと桜井さんのインタビューを参照させて頂きました。)

実際の名付親である野呂さんは当初「HARE」と命名したそうです。これはサンスクリット語で「全てを奪ってしまうものに対する賛美」とか「神への賛美」といった意味がある様です(野呂さん何か宗教にでもはまっていたのかな・・・?)。しかし、この「HARE」、英語にすると・・・事もあろうか「野うさぎ」となってしまいます。これじゃいけない・・・と野呂さん、急遽、ハレルヤの「HALLE」にしたそうです。

となると・・・このジャケット写真は・・・おもいっきり後付け、と言う事になるのでしょうか?・・・野呂さん曰く「晴れ、ハレー彗星、ハレルヤ等、いろんなイメージが有り面白いんじゃないかと思います」とコメントしていました(笑)。

因みに、この「HALLE」のキャッチフレーズは 「カシオペアの元気が出るレコード」 です。おもいっきり時代を感じさせますね。

01. HALLE
カシオペアらしい実に爽やかなオープニングナンバーです。まさに「晴れ渡る青空」と言葉がピッタリな開放感溢れる曲です。
この作品は桜井さんの作ってきた曲のベースラインを基にメンバー全員で作り上げたカシオペア初の4人共作曲です。
イントロのギター・カッティングは実に面白く、Aを基音とし、その上下の音のみが動く3声のコードです。シンプルな構成ですが、演奏しようとするとワイドストレッチになり結構辛いです。このボイシングでのバッキングは基本的にキーボードも同様ですね。
野呂さんの3声でのカッティングは名演が多く、ASAYAKE、TAKE ME、そしてBOYS BE AMBITIOUS の3ギターのハーモニーも独特の3声ですね。もっと沢山ありますが・・・。
また、特筆すべき点は、サビでのギターサウンド。原音にオクターブ上のリバーブ処理されたハモナイザーサウンドを加えることにより広がりのあるスペーシーな、当時としては画期的なサウンドに衝撃を受けました。

02. HOSHIZORA
都会では見る事の出来ない満天の星空を大切な人と一緒に見上げながら幻想的でロマンチックなひと時をお楽しみください・・・そんな素敵な曲ですね。
野呂さんのフレットレスギターが優しく囁く様に歌います。彼の美的センスと言った面を知るには最高の楽曲なのではないでしょうか。淀みなく流れる優雅なメロディーは素晴らしいの一言です。キーボードソロのハーモニカの様なサウンドはこの曲に美しく程の豊潤な響きを残してくれています。
また、ドラムのリムショットとシンプルなチョッパーサウンドがこの繊細なメロディーにしなやかな躍動感を与えていますね。彼達の隠れた名曲ですね。

03. STREET PERFORMER
神保さんの作品です。彼の曲らしくドラムが踊るかの様にリズミックな楽曲です。ドラムとベースのコンビネーションは相変わらず抜群で、桜井さんのシーケンシャルなフレーズとシンコペイトしたバスドラがシンクロするパターンは癖になりますね。後半のバスドラ16分音符連打は当時話題となった事を覚えています。
この曲について神保さんのホームページには次の様にコメントされています。
「ダブルフットペダルというものを使い始めました。これは、左足でもベースドラムを踏める様にと開発され、簡単にドコドコドコドコと16分音符の連打ができる新兵器でした。彰は、このペダルを使ったリズムパターンから曲を作ってみました。リズムから曲を仕上げたのは初めてでした。当時流行っていたブレイクダンスのビートがヒントになったので、曲のタイトルは“ストリートパフォーマー”としました。」

04. THE TURNING BELL
「JIVE JIVE」の流れを汲む様な、実験心と軽くステップするかの様なダンスビートが程よくブレンドしたユニークな作品です。16分のシャッフルが演出するリズミックなJAZZYさは良いですね。そこにビバップ的な野呂さんのギターが絡むことによって新鮮で洗練されたカシオペアサウンドに仕上がっています。
この曲での桜井さんのベースライインは殆ど親指ダウンのチョッパーで演奏されていますが、リズムキープと彼独特のハネた感じのノリは流石ですね。
しかし、何よりも野呂さんのアレンジは何時もながらボキャブラリーの豊富さを感じますね。

05. NORTH SEA
波の音と海鳥の泣き声が印象的なナンバーです。題名の様に冷たく物悲しい北の海を連想させるには充分な演出です。
野呂さんの奏でるメロディーの持つ愁いと切なさは特筆すべき点です。ディストーションギターがブラスサウンドの様にさえ聴こえます。この曲において彼のアーティキュレーションは素晴らしいものを感じます。また、向谷さんのピアノが創り出す肌寒ささえ感じさせるアルペジオパターンと淀みなく流れるな透明で浮遊感溢れるラインは素晴らしいの一言。
シンプルながらも、ドラムのトラディショナルなブラシと、ウッドベースと錯覚させられる程に美しく鳴る低域が心地よいですね。
これら全てが一体となり、ペーソス溢れるナイーブなサウンドが悲しい程に美しく響きます。
「Mother Earth」同様、カシオペアにおいては不思議で、圧倒的な存在感をも漂わせる逸品です。

06. MATSURIBAYASHI
この曲はCDにのみ収録されています。よって、最初CDを聴いた時に腰が抜けるほどビックリした記憶があります(笑)
全体的に独特のノリが感じられ、祭囃子と言うよりもシニカルなコンテンポラリーサウンドで、チョッと彼達らしくない実験的なサウンドですね。意表を付く様な楽曲と言えるでしょうか?。しかしユニゾンフレーズにしっかりとカシオペアらしさを感じます。
私的にはLPの印象があまりにも強すぎて、正直この曲はこのアルバムには似合わないと思うのですが・・・?

07. TOUCH THE RAINBOW
神保さんらしいポップで万人にアピールする親しみやすいサウンドの作品です。楽器を演奏しない方でも充分に楽しめるのがポイントですね。
この曲での桜井さんのベースは個人的にカシオペアにおいてはノリ、ベースライン、サウンド、粒立ち、スピード感、構成全てにおいて「BEST TAKE」と言ってよいほどお気に入りです。何よりもシンプルな8ビートだと言う事がミソだったりしますよね。緩急を活かした歌う様なベースラインは絶品です。
神保さんの作る曲は何処か優しくてドリーミーで、そして何より心暖まるシンプルなサウンドが大好きです。

08. AFTER SCHOOL
桜井さんのトレブリーさに加えて中低域のネバリが在るサウンドでのベースラインが印象的なファンキーナンバーです。
基本的にKey・Aのベースラインが一度聴いたら耳から離れないリフとなり、それを強調する全体的にハネた16ビートが、ダンサブルな曲調をより際立たせています。
ベースライン、メンバー全員でのユニゾン、サウンドメイキング等、当時としては難易度の高いフレーズですが、それをリスナーに感じさせないのは、やはりアレンジの妙でしょうね。

09. FREESIA
レゲエ的な曲調と哀愁漂うラテン系のサウンドがコラージュされた不思議なナンバーです。桜井さんの作品ですが、当時からブラジル音楽に造詣が深かった様ですのである意味、彼にとっては必然的なナンバーとなるのでしょうか。
それまでのカシオペアには無かった迷宮へ誘われたかの様な不思議なサウンドは、このアルバムでは独特な輝きを放っています。
野呂さんのブルージーなフレーズと、フレットレスベースによるマイナー・コードでのシンプルな桜井さんのソロも、何故か新鮮に聴こえますね。

10. MARINE BLUE
今や死語となりつつある「トロピカル」と言う言葉がピッタリの、南国の海を連想させるナンバーです。
カリブ海を思い起こさせる様なスティールドラム風なサウンドはギターシンセと生のギター音をミックスさせて造られたようです。問題はキーボードとのサウンド構成です。ギター2声とキーボード2声の4ボイシングで、ギターが最上音と最下音を奏で、それに挟み込まれる様にキーボードが一緒になりテーマのメロディーを奏でています。チョッと聴いただけでは解り辛いと思いますが、ヘッドフォンで聴くと・・・納得です。
またリズム隊の、休符のタイミングを上手く利用して独特のノリを作るシンプルな手法はメロディーを壊す事無く、クールなグルーヴ感を出すのには最良の方法だと思います。
この曲はアルバムを作成する上でインスピレーションの起爆剤となった重要なナンバーだそうです。確かに爽やかなコバルトブルーの海と、青い空がイメージとして浮かんできますね。

11. PARADOX MARCH
三連頭抜きの複雑なリズムとメロディーが印象的な、それまでのカシオペアには無かった実験的な作品としては高品質の作品です。インテリジェンスで巧みなフレーズの組立ては建築家的な技をも感じます。4/4と3/4のポリリズム的なアプローチも新鮮ですね。誤解を覚悟で表現すると・・・カシオペア風プログレッシブサウンドとでも言いますでしょうか。
全体を支配するフレットレスベースでの無機的なシーケンスフレーズが、統一感と安心感を醸し出しソリッドなグルーヴ感を造り出しています。
フェードアウト寸前のリズムアレンジは興味深いものがありますね。もう少し長く聴いていたかったのですが・・・。
いずれにしても、私の持つカシオペアに対する偏見を見事に覆した1曲です。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

このアルバムはポップさとインテリジェンスが絶妙にシンクロし、そのサウンドは彼らの真髄と言ったところでしょうか。

ジャパニーズ・フュージョンの代名詞的なカシオペアらしい、一聴するとポップで聴きやすいフュージョンサウンドですね。しかし、それだけではなく、インテリジェンスでハイクオリティーのサウンドが高次元で見事に融合しています。

曲のメロディー自体はさほど難解でもなく聴きやすいオーソドックスなものですが、アレンジ次第でこれ程まで表情豊かになるものなのかと改めて実感します。演奏と同様に、このアレンジ能力がカシオペア最大の武器ですね。
アレンジとそれを活かすべきサウンドカラーと演奏技術が絶妙に融合する点においては、このアルバムに限らずカシオペア全てのアルバムに共通している必須事項ですね。

この作品を彼達の最高傑作とは言いませんが、幾度かメンバーチェンジをしても私がカシオペアに対するイメージはこの作品を最後に固定されたままです。
しかしながら、前作の「DOWN UP BEAT」と比較して、このアルバムでの変貌には意図的な・・・何らかの束縛から逃れたいような、そんな影の様なものも感じられる気がするのですが・・・。

このHALLE(ハレ)は彼らの13作目にあたるのですが、バンドとしての個性を確立させた彼らが如何にカシオペアの持ち味を損ねず、新しいアプローチを模索し、尚且つバンドとしてのモチベーションを保つのは相当苦労していたのでしょうね伸び伸びと自分自身の音楽をエンジョイしたかの様なアルバムの様に聴こえますが、そんな苦心をこの明るいアルバムから、そこはかとなく感じるのも事実です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1985年のヒット曲*** 恋の予感、セーラー服を脱がさないで、ふたりの夏物語、ふられ気分でRock'n Roll

それじゃ。また。 

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コメント

HALLE晴れとした日には、とてもよい曲ですな。
太陽風やthe skyとともに気持ちよい晴れの日にはこういった曲が、良く似合う。

投稿: DENTA | 2006/05/03 15:20

DENTAさんへ。コメント感謝致します。

>太陽風やthe skyとともに気持ちよい晴れの日にはこういった曲が、良く似合う。

おっと、そうでしたね。そう言えば結構カシオペアの曲には空をイメージさせる曲が多いですね。航空会社のコマーシャルソングとかもありましたね(笑)

投稿: FUSION | 2006/05/03 15:29

まだこのアルバムくらいまではよく聞いていたほうかな?久し振りにこのアルバムを聞いてみましたが、最初は曲の展開が予想できるのにだんだんあやふやになりました。(^_^;

> この曲はCDにのみ収録されています。よって、最初CDを聴いた時に腰が抜けるほどビックリした記憶があります(笑)

ということはレコードを買ったんですね。
僕はたしか'84年の末からCDを買うようになりましたが、このアルバムはCDが1曲多いとリリース前に知ってましたよ。

僕はアドリブ誌ばかりだったので、ギター・マガジンの話は知りません。
プロデューサーの宮住さんの話しによると、「イメージとしてはMAKE UP CITYに近いんじゃないかな」ということです。
ディレクターの高橋さんが「野呂さん曰く」のイメージでジャケ写を担当したそうです。
使われている写真は「リオデジャネイロの砂浜でテントを貼っていたところ風に吹かれた」というカットで、「我ながらスカッとしたいいイメージに仕上がったと思いますね」だそうです。

投稿: WESING | 2006/05/03 22:24

こんばんは。
若い頃、○○○バレイ野外ジャズ・フェスティバルに行った時、オープニングがカシオペアの演奏でいらして、夕日を見ながら流れるような曲を聴いて気持ちよかったのを思い出しました^^

今日THUTAYAで渡辺香津美さんのを借りようと見たら、「トチカ」も「ザ・スパイス・オブ・ライフ」もなくて「エスプリ」だけがあったので借りてきました。
少しずつ香津美さんの曲を聴いていきたいです。

投稿: まりん | 2006/05/03 23:38

"I love New York"て曲がJALに使用された事があるみたいですね。
てか、'79年の話なので生まれる前の話です、バブー

投稿: DENTA | 2006/05/04 01:14

WESINGさんへ。コメント感謝致します。

詳細な情報有難う御座います。何時もいろいろ調べて頂いて恐縮するばかりです。WESINGさんのフォローのお蔭で、より内容の濃いレヴューになりました。
ジャケット写真の件は興味深いですね。


>ということはレコードを買ったんですね
私はCD、LP両方所有していますがやはり「まつりばやし」はちょっと・・・です。
そういえば12インチシングルも発売されていますね。こちらはカセット音源で所有しています。


しかし、何時もながらWESINGさんの情報量には驚くばかりです。

投稿: FUSION | 2006/05/04 08:50

まりんさんへ。コメント感謝致します。

このところカシオペアのライブを見ていません・・・羨ましいですね。それも野外ですか・・・益々羨ましい限りです。私も何かライブに行きたいですね。

>「エスプリ」だけがあったので借りてきました。
この作品もいいですね。いつかレヴューしようと思います。でも「トチカ」は是非聴いて頂きたいです(笑)

投稿: FUSION | 2006/05/04 08:59

DENTAさんへ。返信感謝致します。

>79年の話なので生まれる前の話です、バブー

79年といえば私が高校生の頃です。・・・やはり私はおやじですね(涙)
"I love New York"この曲でカシオペアの名前が結構知られる様になったと記憶しています。ドラムはまだ神保さんじゃなかったですけれど・・・懐かしいですね(笑)これから久々に聴いてみようと思います。

投稿: FUSION | 2006/05/04 09:07

突然申し訳ありません。
ブログサーチ&コミュニティ【ぶろぐひろば】です。
http://bloghiroba.com/blog/
貴サイト様を拝見し、是非当サイトにご参加いただきたいと思いコメントさせていただきました。
できたばかりのサイトですが、皆様のアクセスアップの少しはお役に立てるよう努めてまいりますので、ご参加をご検討くださいませ

投稿: ぶろぐひろば | 2006/05/09 14:36

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