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検体番号50 <HUBBARDS CUBBARD(おしゃれ革命)>

50_1501_1今回解析するのは、「HUBBARDS CUBBARD(ハバーズ・カバード)」の、<HUBBARDS CUBBARD(おしゃれ革命)>(1985年発表)です。

力が抜けるような邦題ですね。何でこんなタイトルになってしまうのか疑問ですね。
ジャケット写真が結構面白くて、こちらも邦題に負けない位なかなか・・・ですね。
問題は写真右側のCD裏面なのですが・・・いったいどうしたというのでしょうか(笑)。
それでも購入してしまった私はいったい・・・?

しかし・・・サウンドは全く別物ですジャズとファンクが融合した先鋭的な楽曲が満載です。

01.ALLIGATOR STOMP
02.RELAXIN' SOMEWHERE ELSE
03.NEWS REAL
04.DOLPHY DANCING
05.MAKAHA SUNSET
06.SONG FROM THE HEART OF A BOY

Joe Hubbard(b) Chris Hunter(as) Guy Barker(tp) Mitch Dalton(g) Damon Butcher(syn) Jess Bailey(p) Neil Wilkinson(ds)

この「HUBBARDS CUBBARD(ハバーズ・カバード)」はベースのジョー・ハバードを中心に英国で結成されたブリティッシュ・ジャズ・ファンクグループです。こう言うと思い出されるのが「シャカタク」「レヴェル42」ですね。
この2グループと比較するのもおかしな話ですが、目安とするなら「シャカタク」よりもJAZZらしく、「レヴェル42」よりもシリアスなファンキー・サウンドで、なかなかリスナーを飽きさせません。

01.ALLIGATOR STOMP
クリス・ハンターとガイ・バーカーの織り成す軽快なグルーヴが心地良いファンキーなコンテンポラリー・ミュージックです。トランペットとSAXのアンサンブルがこれ程に気持ち良いとは・・・ブレッカー・ブラザースとは一味違った魅力を感じます。
ヘビーになり過ぎず、ライトでまろやかなファンキー・ビートに乗ったミッチのリズミックなギターソロも気持ちが良く爽快ですね。
リズム隊はと言えば無駄な装飾を排したシンプルな演奏で、あくまでもアンサンブルに徹しています。
何より特筆すべき点は、モダンな4ビートをアクセントに取り入れ、躍動感溢れるアレンジがこの曲をより力強くしています。
全体に冴え渡るJAZZに則したスタイルを取り入れたアンサンブルの隅々に見てとれるアーキテクトなアレンジ手法は見事の一言!

02.RELAXIN' SOMEWHERE ELSE
スタジオライブ的な臨場感をも感じさせるタイトで引き締まったミドルテンポの作品です。程よい緊張感が心地良くブレンドされ、リスナーにスリリングな感触といったものを与えてくれています。
パワフルながら自己抑制された冷静なプレイが随所に垣間見れる興味深いナンバーですね。
ライトでナチュラルなオーバードライブ・サウンドでのスライドギターが、この楽曲に更なる臨場感を演出しています。またワウとフェイザーを巧みに使ったバッキングは職人的な技を感じます。歌伴を相当経験した事は充分に推測できますね。
クリスのエモーショナルで力強い獰猛なSAXSソロもこの曲に確かな存在感を確立させています。

03.NEWS REAL
メンバー各々のセクションを絶妙に組合せたサウンドが充分に楽しめる楽曲です。
疾走感と緊張感と期待感を身近に感じられる躍動感溢れたアレンジがこの曲をより力強くしていますね。
各々のインプロヴィゼーションを聴けますが楽曲を壊す事の無いアンサンブル重視の姿勢がこの曲にも見て取れます。メンバーそれぞれが卓越した演奏技術を持っているのですが、アンサンブル重視のサウンド構築を主としている為、決して演奏だけが突出しないところ等は好感が持てます。
ベースの金属的なチョッパーサウンドをバックにトランペットとSAXのインタープレイが豊潤な響きを醸し出しています。

04.DOLPHY DANCING
個人的にこの楽曲が一番のお気に入りです。タイトなファンキーグルーヴと、流れるように小気味よいスウィング感とが体感できる秀作です。
また、ビッグバンド的なアンサンブルの手法を取り入れたアレンジが功を奏し、実に奥行きと厚みの有る演奏を堪能できます。また、よく練られたフレーズ群の充実度は見事ですね。
この曲でのガイ・バーカーは実に滑らかで美麗なソロを展開していますが、彼の演奏にはウィントン・マルサリスの影響を隠せません。

05.MAKAHA SUNSET
彼らの偏執的ともいえるアンサンブル重視の音楽はここでもやはり光っています。リスナーの心を抉る様な鋭角的なリズムと、ギター・SAX・トランペットの絶妙なユニゾンによるアンサンブルはブラスサウンドのそれに肉迫する程にリアルな存在感を誇示した楽曲です。
時に荒々しく、時に繊細なフレーズを聴かせてくれるクリスのSAXが暴れまくっています。
ガイ・バーカーの明快な高音をフルに活かしたソロも豪快そのものです。

06.SONG FROM THE HEART OF A BOY
ガイ・バーカーのトランペットが情感豊かに歌い上げる何処か懐かしく、そして切ない胸を刺すロマンティックなフレーズが涙を誘います。ありふれた素朴なバラードですが、彼の奏でるフレーズは何故か哀感一杯で胸に染みます。
しかし、途中から一変して精緻なインプロヴゼーション中心のサウンドに変化していきます。このギャップがリスナーを虚空の世界へ引き込み概念化された思考にトラップを仕掛けています。このアプローチは結構新鮮ですね。ユニークな視点でのアプローチが興味深いですね。
比較的JAZZ・FUNKをイメージさせる曲が多いこのアルバムにおいて、この作品は異様とも思える存在感を覚えます。
でも・・・やはりテーマとエンディングの切ないメロディーはいつまでも耳に残ります。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

私がこのバンドを知ったのは「シャカタク」「レヴェル42」「ブランドX」等のブリティッシュ・フュージョングループに興味を持った事で出会えたのですが、なかなか面白いグループです。

「シャカタク」ほどの都会的感覚は無く、「レヴェル42」ほどのポップさは感じられません。ましてや「ブランドX」ほどの難解さを持っているわけでもありません。
しかし、彼らの確かなテクニックと卓越したアレンジの上に成り立っている英国的な深さと理知的情操を感じるサウンドは魅力的です。また、予測するに英国のスタジオミュージシャンの集合体であろう彼達の緻密なサウンド構築技法は、当時としては理路整然とした統一感があり知的であると言っても良いでしょう。

とにかくバンドアンサンブルが絶妙でアレンジがしっかりしている為、特に覚えやすいメロディーでも無いのですが非常に聴きやすいアルバムになっています。
今更ながらにバンドにとってアンサンブルが如何に重要か再認識させられた次第です。

また、儀礼的ではあるものの、全体に漂うコンテンポラリーなサウンドにモダンな感覚が融合した作品群はやはり特記すべき点です。
しかしながら、、全体的にサウンドメイキングが些かチープという印象を拭えません。個々のミュージシャンの力量が高いのですが、それが埋もれてしまっているのが非常に残念でなりません。

この作品でもう一つ特記すべきはクリス・ハンターとガイ・バーカーのインタープレイ。これがなかなか良いですよ。この二人の覇気が有るプレイを聴くだけでもその価値がありますね

私の勉強不足もありますが、この作品以前にもう一枚発表されているらしいですが聴いた事がありません。またこの作品以降に発表されたかどうかも分かりません。密かに続編を期待していたのですが・・・残念です。

この作品は決して「超」が付く名盤ではありません。しかし1980年代のブリティッシュ・フュージョンシーンを語るには欠かせない貴重な作品です。もし見つけたなら是非聴いてみて下さい。ジャケット写真の先入観は捨てて下さい・・・ネ(笑)

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1985年のヒット曲***  翼の折れたエンジェル、 夏ざかりほの字組、六本木心中 、ガラスのPALM TREE

それじゃ。また。

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コメント

50検体目おめでとうございます。いつも見事な分析で関心します、精度的に98点をつねにキープされている分析能力と知識ですね、ヒュージョンとは別ですが いちご白書をもう一度をリードギターで弾いている方について知っていますか。

投稿: アルデステロンⅠ号 | 2006/05/25 19:28

アルデステロンⅠ号さん。コメント感謝致します。

お褒めの言葉恐縮するばかりです。50検体目・・・そうでしたね、気が付きませんでした(笑)これを一つの節目にこれからもがんばりますので応援よろしくお願いいたします。

>いちご白書をもう一度をリードギターで弾いている方について知っていますか。
ゴメンナサイ、わかりません(涙)アコースティック・ギターは石川鷹彦さんなのですが、EGはチョッと・・・?
でも、鈴木茂さんだったらいいのにと思っています(笑)
多分、今井ひろしさんではないと思います(根拠は特にありませんが・・・多分)

投稿: FUSION | 2006/05/25 22:51

カセットテープでは持っていて、CDを探していてこのブログにきました。1曲目のALLIGATOR STOMPはバンドでよくやってました。私はGuiterをやってるんですが、Mitch Daltonのトーンは大好きです。

投稿: たか | 2006/11/07 15:32

たかさんへ。コメント感謝いたします。

はじめまして。お立寄り有難う御座います。

このアルバムにコメント頂いた事、非常に嬉しい限りです。
「ALLIGATOR STOMP」をバンドで演奏していた事に驚きです。この曲はアンサンブルが重要ですよね。この曲をプレイできると言う事は優れたバンドだ言う事が解ります。
Mitch Daltonに関しては全く情報が無いので比較できませんが、私も好きです。他のアルバムも聴いてみたいですね。

今後も宜しくお付合い下さい。

投稿: FUSION | 2006/11/07 15:58

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