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検体番号53 <SURPRISE(サプライズ)>

53 今回解析するのは、「PRISM(プリズム)」の<SURPRISE(サプライズ)>(1980年発表)です。

このところ何故か自分で編集した「MISIA」の曲ばかり聴いています。歌が上手いですね。好みでは無い曲も在りますがヒットした曲はやはり良い曲ばかりですね。
以前、彼女のライブをテレビで見たのですが、何処かで見た人がドラムを演奏しているぞ・・・と思ったら・・・青山純さんでした。・・・それ以来、彼女の曲が好きになったのでした。ミーハーですね(笑)
と言う事で青山純さんと言ったら・・・プリズムのこのアルバムが自然と浮かんできました。

01.Full Moon (Masahiro Sayama)
02.Back Street Jive (Akira Wada)
03.Upside Down (Ken Watanabe)
04.Karma (Akira Wada)
05.Thoughts (Ken Watanabe)
06.I'm Telling You (Masahiro Sayama)
07.Sbatotto (Masahiro Sayama)
08.Unforgettable (Ken Watanabe)

和田アキラ(g)、渡辺建(b)、青山純(d)、佐山雅弘(k,pf)

しかし、改めて聴き直すとやはり独特のグルーヴ感がたまりませんね。
和田さん曰く「録音自体は4日で終った」「4人全体のグルーヴが出せたなかなか納得のいく仕上がりになっている」「荒削りなところはあるけど内容は濃い」と仰っていました。

実際、このコメントが全てだったりします(笑)

01.Full Moon
佐山さんの曲らしく今までのプリズムにはなかったJAZZ的アプローチの曲調が刺激的です。
イントロのシンプルで不思議なテンション感覚を感じさせるピアノでのアルペジオラインに、和田さんの豪快なパワーコードが絡み不思議な浮遊感と躍動感を刻みこんでいます。
ピアノソロも絶品で、知的で緻密なサウンドは彼独自の技法と言っても良いでしょう
後半のギターソロは流石和田さん。豪快に引き倒しています。このソロの持つパワーと疾走するかの如きスピード感抜群のギターサウンドは爽快でスリリングですね。当時「こんなに弾けたらな~」と何度思ったことか(今でもですが)
この曲は佐山さんの作曲者とプレイヤーとしての実力が良く分かる作品ですね。当時からハイレベルでハイセンスな作曲能力と演奏能力を持っていた事を証明する一曲です。この曲は「PONTA BOX」でも御馴染みですね。

02.Back Street Jive
シンプルな8ビートですが、楽曲をむやみに複雑化させないで、その曲の本質を聴かせる青山さんと渡辺さんのグルーヴ感抜群のビートのツボをおさえたリアリティー溢れる演奏は秀逸です。
また、起承転結を感じるギターソロとピアノソロには必然性と言った言葉がピッタリです。
シンプルな曲とアレンジですが、それがかえって印象深くリスナーに不思議なバランス感覚を持ったサウンドを提供してくれています。
題名の「Back Street Jive」という響きがかっこいいですよね。この曲にピッタリで素敵な題名です。
(余談ですが、ベースラインにもう少し工夫がほしかった・・・かな)

03.Upside Down
明らかに今までのプリズムとは一味変わったサウンドです。複雑なメロディーとアレンジが全体を支配する点は今までのプリズムらしさを感じますが、やはりプログレッシブ・ロックサウンドとJAZZサウンドを強烈に意識したアプローチが当時としては鮮烈でした。
和田さんのロック色が強い非常に硬くシャープなリフに、佐山さんのJAZZアプローチのエレピソロといった異なる素材を衝突させて創り出される世界はまさに「FUSION」そのものです。
青山さんのドラミングも凄いの一言。この曲で彼のテクニックの確かさと、フレージングの豊富さは勿論、タイトなグルーヴメーカーをも再認識させられました。
LIVE ALIVE (absolutely) にも収録されていますが、そちらも素晴らしいの一言!

04.Karma 
今や名曲の呼び声高い逸品ですね。
哀愁溢れ悠然と流れる風の様なメロディーと、力強さを感じるラジカルなサウンドが一体となった広がりのある音像は素晴らしいですね。
題名の如く宿命的ともいえるこのメンバーだからこそ成しえた多義的で、赤心を吐露するかの如く語り口と、この曲の持つイマジネーション豊かなサウンドが調和して広がってゆく様は絶品です。
正直、最初はその凄さを全く理解出来ていませんでした。しかし、聴き込む程にこの曲の持つエモーショナルでレジリエンスなサウンドに圧倒されるのです。
彼達の偏執的ともいえる独自の確立された音楽がここに展開されています。演奏云々といった次元を超越した、私にとってプリズムとリスナーの間にラポールといった相互関係をも体感できる貴重な楽曲です。
いまだに自然と聴く回数が多い、お気に入りの一曲です。

05.Thoughts
ミドルテンポで落着いたサウンドの中を漂う渡辺さんのボーカルが彼のベースラインと共にこの楽曲を印象深いサウンドに仕立てています。陰影とも言えるチョッと翳りのあるサウンドに渡辺さんのダンディズムと言ったものを強烈に感じますね。
全編に繰広げられる、変幻自在にサウンドカラーを変化させリスナーを楽しませてくれる手法はお見事!下手をすると散漫になりがちですが青山さんのタイトなドラムがしっかりと全体をまとめてくれています。
しかし、やはりここでも和田さんのギターが所狭しと暴れまくっています。困った人ですね(笑)

06.I'm Telling You
難解なサウンドながら、ポップスさが程よくミックスされ、確かなテクニックによって彩られた安心して聴ける明快で流れる様なフレーズ群は、やはり気持ちが良いですね。
佐山さんの楽曲ですが、彼なりにプリズムサウンドをイメージして作曲したであろうと思われるサウンドに、彼の意外な一面を垣間見る事ができる貴重な一曲ですね。
その為かどうかは定かでありませんが、各セクションを絶妙に組合せたサウンドの構築手法には多分に佐山さんの意向が反映されたのは確実ですね。
ドラムの複雑なパターンが結構癖になります。カウベルとライドシンバルに注意して“I'm Telling You”よく聴いてくださいね(笑)

07.Sbatotto
躍動感とキレ味鋭いリズムワークとJAZZフレーバー溢れるキーボード、ロックスピリット抜群のギターが一体となり、リスナーを圧倒して来ます。
複雑なメロディーとアレンジが全体を支配し、リスナーを挑発するかの如きアグレッシブなサウンドは予測できない多彩な創造性と言ったものを感じます。
様々なサウンドがイリュージョンの様に幾重にも折り重なって進行し、巧妙にそのサウンドに変化を与えています。
エキサイティングでハイボルテージな演奏の中にも冷静で緻密で複雑に、そして巧みに絡み合うメンバーの奏でるサウンドが絶対的な彼達の世界を構築していますね。
プリズムの隠れた名曲がここにも有りました(笑)

08.Unforgettable
一度聴いたら耳から離れない優しくてドリーミーで、そして何処か切ないメロディーは「プリズム」の美的センスと言ったものを充分に堪能できる逸品です。雄大な世界をこのアルバムの中に作り上げています。
静と動のコントラストを明確に打ち出したイントロは名曲「MEMORIES OF YOU」をも思い起こさせますね。
当り前すぎるシンプルなアレンジはコアなプリズムファンにとっては物足りないかも知れませんが、メロディーにスポットライトを当てた手法として、そのメロディー自体が持っている魅力を充分に引出すにはこのシンプルさが最良の方法かもしれませんね。この楽曲の持つ優しさと切なさを表現するには。
しかし、和田さんのギターはよく歌っていますね。うれし泣きの様なギターが素敵です(笑)
この曲はシングルとして発売されました。ジャケットはこの「SURPRISE」の裏面にある「小惑星群」の画像が採用され、題名は「面影の彼方」というもので、曲自体も若干短くまとめられたものだったと記憶しています。
因みに思いっきり蛇足ですが・・・私の結婚式にこの曲が・・・流れました(笑)

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

誤解・反対を覚悟でコメントします。
私はこのメンバーこそがプリズムのベストメンバーだといまだに思っています。

確かに現在のメンバーも凄いし、大好きなのですが・・・。

冒頭にも記しましたが、私が青山さんを好きな理由は、このアルバムに隠されています
当時のフュージョンは「16ビートを主体として如何に複雑なリックを演奏できるか」みたいな言わば「サーカス的サウンド」が多い中、私は彼の演奏にグルーヴを追求した姿勢に魅力を感じたのです。勿論、どんな複雑なリックでも完璧にこなせる“演奏面でのテクニック”を兼備えているのはこのアルバムが証明してくれていますが、それだけではないミュージシャンとしての青山さんを体感できるアルバムといってもいいでしょう。このアルバムで青山さんの魅力に引き込まれたのでした。そして山下達郎さんの「RIDE ON TIME」で益々その魅力に引き付けられたのです。

それと特筆すべきは佐山さんの存在です。国立音楽大学作曲科出身でクラシックはもとより、当時JAZZフィールドでの活動が主だった彼が「プリズム」に合うのだろうか?と疑問を抱いたものの、このアルバムを聴いたとたん彼のファンになってしまいました。当時の「プリズム」といったサウンドカラーの中に、彼独自の世界を作ってること自体脅威的ですね。しかし、このアルバムを残して彼はプリズムを去ることになったのは至極残念でなりません。(PRISM JAMで再度共演していますが、このアルバムも後ほどレヴュー予定です)。

この二人と、和田さんと渡辺さんが融合して創り出される、ロックの熱さとJAZZの自由さとプログレッシブロックの難解さと、独特のグルーヴ感が渾然一体となったサウンドがアルバムの隅々に測り知れないエネルギーとなって存在しています。そのエネルギーには漲る生命力といった威厳的の様なものすら感じます。

和田さんのコメントの様に荒削りなところは有りますが、幅広い音楽性を高度な演奏で裏付けされ、そしてアルバムの端々から滲み出てくるメンバー全員が創り出すパワーが魅力的な、完成度が高いアルバムです。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1980年のヒット曲*** みちのくひとり旅、Yes-No、不思議なピーチパイ 、RIDE ON TIME

それじゃ。また。

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コメント

こんばんは、ご無沙汰です。
プリズム・・・懐かしいですね。
和田アキラは確かグレコのCMで伴奏無しのソロを弾いてましたっけ??
何故かそれが印象に残ってます。
青山純は僕も素晴らしいドラマーだと思います。
山下達郎はとてもドラマーにうるさい人らしいですが、彼が信頼できるドラマーであることがうなずけますね。
達郎のライブ盤なんかは青山純のドライブ感溢れるドラミングが聴けますね。

投稿: groove | 2006/06/09 00:50

grooveさんへ。コメント感謝致します。

私の方こそ御無沙汰しております。

>青山純は僕も素晴らしいドラマーだと思います。
御賛同有難う御座います。私も達郎さんのライブに行った時、青山さんのドラムばかり見ていました・・・邪道ですね(笑)
この作品は1980年発表ですが、彼の創り出すグルーヴ感は既にこの時完成されていたのですね。「ライド・オン・タイム」のアルバムも同時期ですし・・・結構忙しかった様ですね(笑)

>和田アキラは確かグレコのCMで伴奏無しのソロを弾いてましたっけ??
知りませんでした。情報感謝致します。

投稿: FUSION | 2006/06/09 15:36

このアルバムの存在を忘れかけていたところでした。CDを探したらこれだけ別の場所に置いてました。(^_^;
 聞いたら、2枚組ライブ盤までのアルバムよりプログレっぽいんじゃないかと思ったんですけど、さて?
佐山さんのSbatottoがここにあったことも忘れてましたが、「こんな曲だった?」と思ってしまいました。(^_^ゞ
今度、ソロ・アルバム・バージョンを聞いてみよう。

投稿: WESING | 2006/06/09 17:51

WESINGさんへ。コメント感謝致します。

>このアルバムの存在を忘れかけていたところでした。・・・
>佐山さんのSbatottoがここにあったことも忘れてましたが・・・

忘れないで下さいネ(笑)

仰る様に初期のプリズムサウンドの中では最もプログレ色が濃い作品だと思います。そこが好きな理由でもあるのですが・・・やはり青山さんと佐山さんの存在は大きいと思います。

リンクの資料有難う御座います。本当に参考になります。感謝致します。

投稿: FUSION | 2006/06/09 18:10

こんばんは。milkybarです。

「SURPRISE」私も大好きです。中でも一番好きなのがサンバフィールの「I'm Telling You」ですね。自分のテーマソングにしたいぐらい好きです(笑)

このCD結構入手困難ですよね?
ヤフオクで4000円以上でやっと手に入れました(汗)

同じPRISMの「永久機関」も探してますが、なかなか見つからないです。。。

投稿: milkybar | 2006/06/09 22:53

milkybarさんへ。コメント感謝致します。

貴殿も好きでしたか・・・嬉しい限りです。
このアルバムは私も大好きです。「I'm Telling You」の躍動感あるしなやかなサウンドは爽快ですね。

>ヤフオクで4000円以上でやっと手に入れました
え!そんなに高いんですか(驚)そうなると永久機関に至っては・・・怖いですね(笑)

投稿: FUSION | 2006/06/10 08:02

はじめまして。このような頁があるなんて、、、偶然お邪魔しました。
私は何を隠そう、SURPRISEの大ファンなので、書いていただいたこと全てに賛成です。よくぞいってくださった!という感じです。一番好きなのはUnforgettableですよやっぱり。しかし、I’M TELLING YOUも、あのトリッキーなGソロといい、KBとGのハモリといい、このアルバムのPRISM以外では出せないなんともいえない味を出してると思います。このアルバムを通しできいた回数は数百回ではきかないんじゃないかな。

ただ初期の二枚組みのLIVEも好きだったりするのですが、、、

投稿: KP | 2006/07/29 05:02

KPさんへ。コメント感謝致します。

はじめまして。お立ち寄り有難う御座います。
賛同下さいまして感謝するばかりです。涙が出るほど嬉しいです。
>このアルバムのPRISM以外では出せないなんともいえない味を出してると思います。
まさに仰るとおりですね。このアルバムはプリズムの歴史の中でも特に重要で、和田さん本人の「荒削りなところはあるけど内容は濃い」と言うコメントが全てです。

>初期の二枚組みのLIVEも好きだったりするのですが
そうですね。あのミュージシャンがプリズムサウンドをしかもライブで残された事が至極重要ですね。勿論私も大好きです。

本当に有り難いコメント感謝致します。これからも宜しくお付き合い下さい。

投稿: FUSION | 2006/07/29 11:51

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