« 検体番号58 <JVC SUPER SUMMER Vol 2(JVC スーパー・サマー Vol 2)> | トップページ | 検体番号60 <VIDA(ヴィーダ)> »

検体番号59 <MELODY BOOK(メロディー・ブック)>

59 今回解析するのは、「安藤まさひろ(あんどう まさひろ)」<MELODY BOOK(メロディー・ブック)>(1986年発表)です。

もうすぐ8月だと言うのに梅雨が明けません。梅雨前線が停滞しているとかで連日の雨・・・やはり気持ちが滅入りがちになります。
と言った訳で今回もチョッと明るくメロディアスなアルバムを紹介しますネ。

01. EYES OF THE DRAGON (OVERTURE)
02. HARLEQUIN
03. CHARLIE & IDOL
04. THE BOGI CLUB
05. ROMANCE
06. SMART BUNNY
07. ANOTHER NIGHT
08. SUSPICIOUS STORY
09. EYES OF THE DRAGON

試聴は・・・ここで 

安藤まさひろ(g) 笹路正徳(syn,key) Darek Lane Jackson(b except"HARLEQUIN","THE BOGI CLUB",and"ROMANCE") 青山純 (d except "ROMANCE") Cindy(vo on "HARLEQUIN") Carl Moore(vo on "HARLEQUIN") Eve(cho on "THE BOGI CLUB") 前田昌利グループ(strings on "ROMANCE")

<Llst of keyboards,synthesizers and equipments>
acoustic piano,rhodes plano,Yamaha DX-7, Prophet5、drum traks,Oberheim matrix-12,EmulatorⅡRoland jupjler8、sync bcxSBX-80,microcomposerMC-4
Synthesizers and equipmentc coordinator
Yoshiharu Abe/Strship

「安藤まさひろ」さん・・・そう、今更紹介の必要もありませんね。言わずと知れた「スクエア」のリーダー兼ギタリスト兼コンポーザーです。そんな彼が満を持して発表した初のソロ・アルバムが本作というわけです。
当時、私の周りのロック、ジャズ、無論フュージョンといった様々なスタイルを追求していたギタリスト仲間でも結構話題になった作品です。

01. EYES OF THE DRAGON (OVERTURE)
「OVERTURE」のサブタイトル如き、これから繰広げられる安藤ワールドの序章ですね。キャッチャーなメロディーを変拍子に乗せて自然に聴かせてしまうその構築術とセンスが光りますね。
このアルバムの最後に完成形(?)がありますので、後ほど解説します。

02. HARLEQUIN
ポップでファンキーなボーカルナンバーです。シンセ・ベースと青山さんのドラムが一体となりタイトでソリッドなグルーヴを作り出しています。
しかし、ギタリストのソロアルバムらしく、そのソロは流石ですね。ペンタトニックを主軸にミクソリディアンでメロディアスなソロを披露したと思ったところにコンディミスケールでチョッとアウトしたテンションを加えてテーマに戻る・・・この一連の流れにもしっかりとした起承転結と、彼独特のメロディー指向を感じる事が出来ます。

03. CHARLIE & IDOL
まろやかで張りのあるディストーションサウンドが奏でる、その温順でチョッとキュートなメロディーが素敵なナンバーです。中音域にクセのあるチョッとフェイズしたそのギター・サウンドがこのメロディーのセンシビリティーをより一層に高めています。
ソロのアプローチも実に面白く、オルタードスケールやオクターブ奏法など、ジャズ的な手法をふんだんに取入れスムーズに流れていくそのラインは彼の本質を表現したかの様な興味深いサウンドです。

04. THE BOGI CLUB
チョッと歌謡テクノっぽいポップで躍動感のあるナンバーです。Eveさんの不思議なコーラスがそれをより一層に面白いものにしています。スクエアでの「マジック」や「ロックーン」で使われた手法の延長線上にあるサウンドと私的には思えるのですが・・・如何でしょうか?
ダブリング効果を上手く使ったギターが奏でるメロディーは、この曲調にピッタリのサウンドですね。

05. ROMANCE
前田昌利グループが奏でるストリングスの響きが美しく、そして優しく魅了するクラシカルなナンバーです。サントラ的な手法で、それは宛も映画のワン・シーンが脳裏に浮かんでくるかのようですね。
安藤さんは正攻法でアコースティック・ギターを使い、そのギターサウンドを違和感無くこのストリングに溶け込ませています。決して弾き過ぎず、めだたず、そよ風の如く優しく靡くオブリガート的なフレーズが味わい深く響きます。
ROMANCE・・・この曲にピッタリの題名ですね。

06. SMART BUNNY
このアルバムにおいては作品の中でも結構異端とも言える楽曲です。ソリッドでラジカルなリズムに乗って流れる躍動感とキレ味鋭いギターサウンドは聴きごたえがありますね。
安藤さんのロック・スピリット溢れる自由奔放でダイナミックなギター・ソロは、多彩なアプローチで聴く者を飽きさせません。当時のスクエアで聴いた事があるフレーズがあちこちに散りばめられています。彼の手癖フレーズなのでしょうか(笑)。安藤さんらしさがよく表されたサウンドですね。

07. ANOTHER NIGHT
ウエストコースト的なアメリカン・ロックのスタイルに、安藤さんの持つポップスさをブレンドした乾いたサウンドが新鮮です。この明るさは彼の持ち味でもありますね。決してヘビーになり過ぎず、ライトなギターサウンドでの緩急を活かした歌う様なラインは爽快ですらあります。彼に与えられた空間を自由自在に操り創り出されたるサウンドは聴きごたえがありますね。

08. SUSPICIOUS STORY
ノスタルジックな雰囲気漂う切ないバラードですね。どこまでも悲しく、時に激しく、そして憂愁溢れるサウンドが心に響きます
安藤さんの魅力を余すところ無く発揮した泣きのギターと、彼特有のメロディアスなフレーズが重なり感情の起伏の激しさをダイレクトに表現した様なサウンドは、数あるロックインストの名曲に勝るとも劣らない作品です。
メロディーの持つ毅然とした美しさを損なう事の無い、その溢れる歌心が心に染み入るソロは絶品ですね。
また、幻想的なピアノ・ソロが虚空の世界へ引き込んでくれる、そんな不思議なサウンド・イリュージョンがリスナーを魅了します。
私としては、このアルバムの核心部ともいえる重要な楽曲と思えるのですが。

09. EYES OF THE DRAGON
何処かユーモラスで西洋の御伽話に出てくる一節の様な・・・聴く人によって様々なシーンをイメージさせる多義的作品です。しかし、その曲調とは裏腹に侮れない一曲です。
7/8拍子という変則的なリズムにのって流れるドリーミーで親しみやすいメロディーは、一聴しただけで耳に残ります。この構築術と、周到に構築されたアレンジは、メロディーを効果的に聴かせる為だけに存在するかのようでもありますね。
また、中盤のソロもリバース・リバーブや様々な空間系エフェクト処理をしてイマジネーションの豊かで新鮮なサウンドによって演出されています。終盤のデリケイトに残響処理された、しなやかなソロとの対比が面白いですね。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

「MELODY BOOK」と言うタイトルが表す様に、安藤さんのメロディー・メーカーとしての実力と手腕を十分に満喫できるアルバムです。

作品の隅々までにメロディーを如何に新鮮に聴かせるか為の安藤さんならではの美意識が感じられます。
この一枚で、彼のメロディーを大切にすると言った手法と、それを具現化したサウンドの魅力に引き込まれてしまいました。
後にセカンド・ソロとして発表された「MELODY GO ROUND」でも、そのコンセプトは変わらないのですが、それは彼自身のポリシーなのでしょうね。

ギター・プレイに言及すると、実に滑らかで美麗なソロを展開しています。楽曲を最大限に活かす、その素晴らしいトーンは秀逸ですね。基本的には「スクエア」でのサウンドも同様ですが、曲想にマッチしたそのサウンド・メイキング術も特筆すべき点です。

コアなギタリストはメロディー重視の作品を軽視する傾向にあるようですが、そんな邪念を捨てて一度このアルバムに耳を傾けてみて下さい。きっと新たな視界が開けるかもしれませんから。

また、このアルバムでの青山さんのドラムは興味深いですね。一聴すると打ち込みかと思わせるかのようなソリッドで正確なドラミングですが、それでいてどこまでもタイトでノリや躍動感といったドラマーとして必要なものを聴く事ができます。また、バラードでのツボを得た豪快ながらメロディーを殺す事の無いシンプルなドラミングも流石の一言です。下手をすると無機的になってしまいそうなこのアルバムのサウンドを、彼のフレキシブルなドラミングが上手く回避しています。(蛇足ですが青山さんは一時期スクエアのメンバーで「ロックーン」と言うアルバムを残して脱退したのですが、その時はショックでした。このアルバムで青山さんと安藤さんの共演は私にとって何よりのプレゼントでもありました)

最後に誤解を覚悟でコメントしますが、この作品は安藤さんのソロアルバムですが、笹路正徳さんの手腕が大きなウェイトを占めていると思われます。勿論、二人の力量は誰もが認めるところですが、それは宛も「エアー・プレイ」のデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンを彼達にオーバー・ラップしてしまいます。(特にギター・サウンドとハーモナイズド・プレイはグレイドンの影響大ですね。エア・プレイは勿論、リズム・ヘリテッジやマーク・ジョーダンでのギター・サウンドのテイストも、ほのかに感じます)

全体的にギターサウンドの線が細い点が気になります。しかし、様々なスタイルが渾然一体となり存在している彼のギター・スタイルはやはり魅力的です。安藤さんのギターから紡ぎ出される彼特有のエクスプレッションはギターを弾かない人をも虜にする歌う様な表現を明瞭に映し出した、そんな好盤です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆ 

***1986年のヒット曲*** BAN BAN BAN、CHA-CHA-CHA、My Revolution、さよならのオーシャン

それじゃ。また。 

|

« 検体番号58 <JVC SUPER SUMMER Vol 2(JVC スーパー・サマー Vol 2)> | トップページ | 検体番号60 <VIDA(ヴィーダ)> »

コメント

「なるほど」と思いながらアルバムを聴いています。
多少スクェアっぽさを残しながらも笹路さんアレンジによる色合いが出たアルバムですよね。
メロディーの良い曲ばかりだし、僕も「MELODY BOOK」だと思います。(笑)

好きなグループのリーダー又はメンバーのソロ・アルバムは、どうしても本体のグループより聴く回数が少なくなっています。
そんな中で、安藤さんのソロ・アルバムに関して、
次作よりはこちらの方がよく聴いているかな、という気がします。

投稿: WESING | 2006/07/23 21:02

WESINGさんへ。コメント感謝致します。

>多少スクェアっぽさを残しながらも笹路さんアレンジによる色合いが出たアルバムですよね。
このコメントが私のレヴューよりこのアルバムをよく表しているかもしれませんね(笑)。やはり、基本的にはスクエアの延長線上に位置するアルバムなのですよね・・・と言う事は、安藤さんが目指す音楽はスクエアで実現出来ているということなのでしょうね。その事を踏まえた上で笹路さんのアレンジが如何に重要なファクターなのかを感じさせてくれる作品ですね。

>「なるほど」と思いながらアルバムを聴いています。
このコメントは素直に嬉しく、また勇気付けられる言葉です。本当に有難う御座います。


投稿: FUSION | 2006/07/24 00:20

こんばんは。
EYES OF THE DRAGON (OVERTURE)
この不思議なリズムが、どうにも妙で印象深かったです。
安藤さん、髪の毛真っ白になっちゃったかな。

投稿: 河童アヒル | 2006/07/24 21:13

河童アヒルさんへ。コメント感謝致します。

今回のレヴュー・・・実は以前スクエアの「ヒューマン」ととり上げた時、河童アヒルさんが「EYES OF THE DRAGON 」の事をコメント頂いたのですが、それ以来いつかレヴューしようと思っていたのです。チョッと遅くなりましたが(汗)

>この不思議なリズムが、どうにも妙で印象深かったです。
仰るように、キャッチャーなメロディーとあの独特のリズムの融合は本当に印象深いですよね。

投稿: FUSION | 2006/07/24 21:52

おはようございます。
今体調が悪いので、このかわいいスキンと安藤さんのアルバム
紹介と視聴が出来るのがとても嬉しいです。
ありがとうございます^^

投稿: まりん | 2006/07/25 08:33

まりんさんへ。コメント感謝いたします。

今回紹介したアルバムのイメージにあわせて壁紙を換えてみました。
結構メルヘンチックな楽曲・・・楽しい楽曲が多いですからネ。

お体の調子が悪い様ですが、くれぐれも無理なさらないで下さい。

投稿: FUSION | 2006/07/25 14:50

こんばんは。このアルバムとても懐かしいです。先輩のバンドがコピーしていたのを思い出しました。本当にこちらのブログは私の好みのものが多くてうれしいです。

投稿: bonejive | 2006/07/27 23:10

bonejiveさんへ。コメント感謝致します。

どうしても取り上げるアルバムは懐かしい作品になってしまいす(笑)
若かりし頃に聴いた音楽を今になって聴き込んでレヴューするのは楽しいのですが・・・やはり懐古趣味から脱しないといけませんね(涙)

と言いつつ、まだまだ懐かしいアルバムをレヴュー予定していますので宜しくお付き合い下さい。
(新譜をあまり購入しないのが原因なのですが・・・)

投稿: FUSION | 2006/07/28 14:49

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 検体番号59 <MELODY BOOK(メロディー・ブック)>:

« 検体番号58 <JVC SUPER SUMMER Vol 2(JVC スーパー・サマー Vol 2)> | トップページ | 検体番号60 <VIDA(ヴィーダ)> »