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2006/08/30

検体番号65 <Lights On Broadway(ライツ・オン・ブロードウェイ)>

65 今回解析するのは、「Barry Finnerty(バリー・フィナティー)」の<Lights On Broadway(ライツ・オン・ブロードウェイ)>(1985年発表)です。

バリー・フィナティー・・・?この名前、日本では今ひとつ浸透していませんね(そんな事無い!・・・失礼しました)。
それでは・・・名盤「HEAVY METAL BE-BOP」でギターを弾いた人・・・これでどうですか?
・・・思い出しましたか?

01.Road Mode
02.Statistic
03.Lights On Broadway
04.Funk in A
05.You Got It
06.Got To Have You Love Tonight
07.Just The Other Day
08.Space Age Blus

私が彼に興味を持ったのは、勿論「HEAVY METAL BE-BOP」だったのですが、ジョー・サンプルの名盤「Rainbow Seeker」に参加していたと知りビックリ。
そして、クルセイダースの、これまた名盤「Street Life」を始め、幾つかのアルバムに参加。また、ブレッカー・ブラザースの「Straphangin」にも参加。
それから、菊地雅章さんのススト、日野皓正さんのダブル・レインボウ、中村照夫さんのアルバム、深町純さんのアルバム、・・・凄いですね。

極め付けは・・・やはり、マイルス・デイヴィスの「The Man With The Horn」と「SHOUT」に参加・・・もう平伏すしか御座いません。

・・・でも、最近はめっきり御無沙汰の様です。

そんな彼が1985年に発表した2ndソロアルバムがこれです。

01.Road Mode
Barry Finnerty(g,Syn,d-machines) Will Lee(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key)

暖かく丸みのあるトーンのギターサウンドが奏でる、何処か日本歌謡曲的な哀愁を微かに忍ばせたメロディーが印象的です。
正統派アプローチ的な楽曲ですが、コードプログレッションに則したその流れる様なギター・ソロは流石ですね。ただ、ギター・サウンドにバリエーションがあればもう少し表情豊かな作品になったと思えます・・・残念!

02.Statistic
Barry Finnerty(g,syn,d-machines,vo) Will Lee(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key)

バリー本人のボーカル・ナンバーです。奇妙なシンセ・サウンドに導かれ、そこにリズム・マシーンとヴィニーのドラムがシンクロして絡んできます。バリーのチョッとたどたどしいボーカルとシーケンシャルなバッキングがエキセントリックな景観を上手く構築しています。
しかし、ギター・ソロは一転してシャープでラジカルなフレーズを展開しています。このギャップが面白いですね。
ポップスとインテリジェンスとユーモアがシンクロした不思議な空間を提供してくれます。

03.Lights On Broadway
Barry Finnerty(g,syn,d-machines,vo) Will Lee(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key) Michael Brecker(sax) John Hammond(B3-org) RAM(cho)

バリーの優しく囁き掛ける様なボーカルが知らず知らずのうちにリスナーを引寄せる吸引力を持った作品です。決して上手くはないのですが、実に味のあるボーカリストですね。その声質を上手く活かしたスムーズに流れていくメロウなAOR的アプローチのサウンドが結構新鮮です。
また、ブルージーでしなやかに歌う起承転結のあるギター・ソロと、マイケルのノンダイアトニックコードを効果的に導入した野性的なSAXソロの対比が、単調になりがちなこの曲を上手くカバーしていますね。

04.Funk in A
Barry Finnerty(g,Syn,d-machines) Will Lee(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key)

曲名が示すようにkey AによるFunkyナンバーです。ギミック無しのストレートなジャムセッションが発展した様なサウンドが魅力的ですね。
この曲でバリーのギターは実に多彩なアプローチで、その天衣無縫のソロは素晴らしいの一言。また、フレーズごとに微妙な表情の変化を見せています。フレーズが生き生きしていますね。インプロビゼーションにおけるボキャブラリーの豊富さは筆舌に価します。
オーソドックスで懐古的サウンドを、独創的で否類型的なサウンドに変える術を持っている、やはり素晴らしいギタリストですね。

05.You Got It
Barry Finnerty(g,Syn,d-machines) Anthony Jackson(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key) Michael Brecker(sax)

アンソニー・ジャクソン御得意の、粒の揃った正確なフィンガリングから生み出される、細かい16分音符のフレーズが絶妙なグルーヴをこの曲に刻みこんでいます。それをバックに自由奔放に行き交う、実にエモーショナルでハイテンションの各々のソロは聴きごたえがあります。
ヴィニーのスリップ・ビートをさり気無く採り入れた短いソロが憎いですね(笑)
聴いた限りでは多分1発録りだと思います。ライブならではの緊張感と覇気が有る演奏は素晴らしいですね。「You Got It」と賛同していただけるはず(笑)

06.Got To Have You Love Tonight
Barry Finnerty(g,Syn,d-machines,vo)  Sybil Thomas(vo)

多分、ギター以外は打ち込み?によって作製されたと思われる作品です。正直、今になってみればそのサウンドはあまりにもチープ過ぎます。ボーカルもあまりに弱すぎます。意図するところは予測するに、当時ヒットしていたマイナー系のニューウェーブ・ポップなのかもしれませんが・・・?。
また、この楽曲の存在価値さえ疑います・・・失礼ながら、これがこの曲に対する私の率直な感想です。
ただ、ギター・ソロは、この曲調にしては新鮮なコン・ディミを上手く採り入れたテンション感溢れた刺激的なフレーズですね。これが唯一の救いです。

07.Just The Other Day
Barry Finnerty(g,Syn,d-machines) Anthony Jackson(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key)

微かなナチュラル・ディストーションが奏でる精緻かつ耽美なメロディーが心に響くミディアム・ナンバーです。テクニカルな中に光る、ピュアで繊細なフレーズ群は傑出したものと言えるでしょう。
そんなハイ・アビリティーなプレイと、歌心溢れるプレイを両立させた非常に興味深い作品ですね。

08.Space Age Blus
Barry Finnerty(g,syn,d-machines,vo) Will Lee(b) Vinnie Colaiuta(d) Mark Gray(key) Michael Brecker(sax) John Hammond(B3-org)

溢れるブルース・フィーリングが魅力的なバリーによるボーカルナンバーです。
トラディショナルとも言えるそのブルース・ライクなサウンドと確かなテクニックによって構築されたコンテンポラリーなサウンドが融合し、同時にセッション的な雰囲気を反映させ聴きごたえのある作品に仕上がっています。
ワウを効果的に使い、ボーカルとハモらせたフレーズが印象的な前半の小細工抜きのストレートなサウンドと、後半の誰にも真似できない独創的なソロ・・・この落差にこそ、ギタリストとしての彼に魅力を感じます。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

冒頭にも記しましたが、私がこのCDを手にした動機は「ヘビー・メタル・ビバップ」に参加したギタリストだからと言う単純な理由によるものです。無論、彼が参加した数多くの名盤呼ばれる作品群にも魅力を感じたのは言うまでもありません。

ですから、結論から言うと、正直「がっかりした」と言うのが本音でした。期待はずれだと思った理由は明快で「ヘビー・メタル・ビバップの面影を期待したから」です。当然、聴き込む事無く、お蔵入り状態となるのでした。

しかし、様々なギタリストのサウンドに触れた後、久し振りにこのアルバムを聴くと・・・様々な発見をするのでした。

確かに曲自体の完成度には未だに納得出来る物では決してありません。無理矢理バラエティー溢れるアルバムにしようとしたのか、彼の苦悩を表現しているかの様にも思えます。
以上の様な、このアルバムが持つマイナス要因とも言えるファクターによって彼に対する先入観が固定してしまわないか心配です。それ故、リスナーの評価が分かれるかもしれませんね。

しかし、純粋にギタリストとして「バリー・フィナティー」を見たとき、やはりそのポテンシャルの高さには驚くばかりです。
他に類を見ない独創性と言ったものをフレーズの隅々から窺い知る事が出来ます。また、細かいフレーズ一つ一つを聴いても、流麗で知的で精悍でアダルトで艶やかで・・・実に多彩な表情と歌心を感じます。

ただ・・・ギタリストとしてのステータスと、ソング・ライターとプロデューサーしてのスキルにギャップが生じ、それを各々が上手くカバーしきれていない点、非常に残念でなりません。

数々の名演を多くのアルバムに刻み込んできたバリーを語るとき、このアルバムの評価は決して好ましいものでは無いでしょう。先に述べた様、下手をすると彼の評価を低下させる危険性をも含んだアルバムです。
しかしながら、既に自我を確立した彼が挑戦しようとしたAOR的な手法に、彼独自のギタープレイを融合させたエキセントリックな表現手段は実に面白いですね。そんな様々な側面を垣間見る事の出来る資料価値の高いアルバムでもあります。

様々なスタイルが渾然一体となり存在し、独創的でありながら歌心溢れるギタリスト、バリー・フィナティーの機微に触れられると同時に、ユニークな視点でのアプローチが興味深い貴重な作品です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1985年のヒット曲*** 悲しみにさよなら、Romanticが止まらない、ふられ気分でRock'n Roll、ミ・アモーレ

それじゃ。また。

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コメント

こんばんわ。
・・渋すぎですね。(笑)
聴いたことないですが、すごい面子ですね。
彼のギターは個人的には玉一個外角低めの外(爆)って感じですが・・1stなんかはどんな感じでしょうかね?

投稿: elmar35 | 2006/09/01 00:53

elmar35さんへ。コメント感謝致します。

渋すぎですか(笑)
正直、このアルバムを好評する方は少ないと思います・・・が、彼の独創的なフレーズと、独特なアーチキュレーションは魅力です。

>彼のギターは個人的には玉一個外角低めの外(爆)って感じですが
このアルバムでは、たまに完全なるワイルドピッチだったりします(笑)。そこも魅力の一つでしょうか?

1stはLPからダビングしたカセットで所有ですが今回の作品よりはファンキー色が強い作品ですが・・・やはりチョッとコマーシャリズムな点、???です。「ニューヨーク・シティー」と言うアルバム名が・・・(涙)

投稿: FUSION | 2006/09/01 11:58

こんにちは。
ジョーサンプルの「虹の楽園」何百回聴いていることでしょう^^
バリー・フィナティー?
知らなかったので、今聴いています。
この音色そうなんですね。
どこかで繋がっているのを見つけると、嬉しくなります。

投稿: まりん | 2006/09/01 14:39

まりんさんへ。コメント感謝致します。

>ジョーサンプルの「虹の楽園」何百回聴いていることでしょう^^

そうでしたね。本当に素敵な作品ですよね。
私も今聴きながらコメントしていますが・・・「Rainbow Seeker」思ったよりバリーのギターは目立っていませんでしたね(汗)あやふやな記憶で不正確なレヴューになってしまいましたね。深く反省しております。

投稿: FUSION | 2006/09/01 17:56

こんばんは。
反省なんてしないでください(笑)
虹の楽園のアルバムの「道草」だったと思うのですが(マイ・フェバリットとして色んなきょくをダビングしたのをいつも聴いてるので、曲名は定かではないのです)割とギターがめだっています。
だから、雰囲気はわかります^^

投稿: まりん | 2006/09/01 23:13

バリー・フィナティーの名前を知ったのは'83年1月放送のFM番組「サウンド・マーケット」でライブが放送されたときです。

'82年11月9日から13日までのニューヨーク、セブンスアヴェニューサウスでのライブが2週間くらいかけてほぼ毎日放送されました。

それぞれ、バリー・フィナティー、ドク・パウエル、スピノザ&トロペイ、コーネル・デュプリ―、ジョー・クール・バンド(ジェフ・ミロノフ)のライブでした。

フュージョンの次代を担うミュージシャンのライブと紹介されたような気がします。

投稿: WESING | 2006/09/05 00:05

WESINGさんへ。コメント感謝致します。

>バリー・フィナティー、ドク・パウエル、スピノザ&トロペイ、コーネル・デュプリ―、ジョー・クール・バンド(ジェフ・ミロノフ)のライブでした。

今では信じられない充実したラインナップですね。それにライブというところがポイント高いですよね。
私的には特にスピノザ&トロペイは非常に興味があるところです。聴いてみたいです!!!
いつも情報有難う御座います。
やはりあの頃はいい時代だったのですね・・・とオヤジの独り言です(笑)

投稿: FUSION | 2006/09/05 10:09

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