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<IMAGES(イメージ)> 検体番号81

81 今回解析するのは、「The CRUSADERS(ザ・クルセイダーズ)」の<IMAGES(イメージ)>(1978年発表)です。

前回、ラリー・カールトンのアルバムを紹介しましたが、そうなるとやはりカールトンと縁の深い「クルセイダーズ」に御登場頂こうとこのアルバムをチョイスしてみました・・・・が・・・しかし

01. FAIRY TALES
02. MARCELLA'S DREAM
03. BAYOU BOTTOMS
04. MERRY-GO-ROUND
05. COSMIC REIGN
06. COVERT ACTION
07. SNOWFLAKE

Wilton Felder (sax) Joe Sample (key) Stix Hooper (d)  Robert Popwell (b) Billy Rogers (g)
Supecial guest: Dean Parks(all selections) Paulinho DaCosta(all selections) Roland Bautista(on "FAIRY TALES,BAYOU BOTTOMS,COVERT ACTION")

もうお気付きですね。そうなんです、残念な事にラリー・カールトンはこの前作「FREE AS THE WIND(旋風に舞う)」を最後に脱退したのです。さて、クルセイダーズの 「CRUSADERS 1」から参加していたカールトンが抜けたことによって、彼達は如何なるサウンドを聴かせてくれるのでしょうか?勿論その事も気になりますが、しかし、このCDを聴く度、もっと重大な事項がこの作品から伝わって来るのでした。

01. FAIRY TALES
ザラついて粒が粗いサウンドが印象的なローランド・バウチスタのカッティングと、それとは対照的なディーン・パークスの明るくクリアーなトーンでのカッティングが絶妙に絡み合うライトで耳障りの良いファンキーなオープニング・ナンバーです。今までのクルセイダーズからは想像出来ない実に軽快でライトなサウンドにはチョッとビックリします。しかし、その愛らしい旋律をクルセイダーズならではのタイトなファンキーグルーヴがそれを包含し、バランス良く絡み合い実に聴きやすいサウンドに仕上がっています。
この曲の何処か楽しげで暖かく包み込んでくれる様なサウンドは、題名の「FAIRY TALES(お伽話)」が何より一番上手く表現しているかもしれませんね(笑)。

02. MARCELLA'S DREAM
微睡みからさめた時のあの気だるさにも似た感覚をジョーサンプルの奏でるローズ・ピアノが上手く表現しています。空間をゆっくりと流れるその精緻かつ耽美なサウンドによって虚空の世界へ引き込まれそうな感覚に陥ります。
決して強い主張を持った作品ではありませんが、メンバー各々のサウンドと戯れるような情感豊かな演奏によって奥行きの在る立体的なサウンドを刻みこんでいます。この作品に見られる繊細で流麗なサウンドメイキング術に、彼達の持つセンスの良さといったものを今更ながらにして窺い知る事が出来ます。

03. BAYOU BOTTOMS
スティックス・フーパーのドラムから放たれる粘度が高くグルーヴ感抜群の8ビート・・・是こそクルセイダーズの真骨頂とも言うべきサウンドです。ロバート・ポップウェルの地を這うようなベースとのコンビネーションはやはりこのバンドの大きな魅力の一つですね。そこに、ウィルトン・フェルダーのSAXがパワフルに歌います。彼達ならではのバイヴレーションを実感させてくれる 、そのソウルフルともいえるサウンドは聴惚れるばかりです。
しかし、やはりこの曲はウェイン・ヘンダーソンのトロンボーンを加えて是非にも聴いてみたい楽曲です。残念!!!

04. MERRY-GO-ROUND
前曲とは一変して16ビートの流れるようなサウンドに、リリカルで哀愁を忍ばせた旋律が合さり不思議なバランス感覚を持った作品に仕上がっています。
ジョー・サンプルのピアノから紡ぎ出される繊細で、きめ細かいサウンドでその描写されたフレーズ群は派手さは有りませんが自己を表現する為に彼だけが演奏出来る曲であると痛感させられる作品でも有ります。ジョー・サンプル自身の楽曲ですが、そのライトな手触りとも言えるサウンドはやは“りジョー・サンプルらしさ”が充分に表れていますね。もしかしたらこのアルバムより、彼のソロアルバム「Rainbow Seeker(虹の楽園)」に収録された方がよりマッチしたかもしれませんね(笑)。
また、今回から参加しているビリー・ロジャースの曲の流れに逆らわない知的で尖鋭的なギター・ソロが冴えています。

05. COSMIC REIGN
直訳すると「宇宙を支配する」という何とも凄いタイトルですね(笑)。このアルバムを最後に脱退するロバート・ポップウェルの作品です。宇宙をイメージさせる不思議なSEに導かれミッドレンジが豊かなロバートのチョッパーが少ずつこちらに迫ってきます。そのリスナーを挑発するかの如きアグレッシブなサウンドに思わず惹き込まれます。終盤に聴かれるベース・ソロも時に荒々しく、時に繊細にと実に多彩なフレーズを聴かせてくれます。彼自身の個性を強烈に感じます。
曲の展開が実に個性的で少々散漫とも言えるアレンジですが、それ故にこのアルバムにおいて独特の存在感といったものを演出しています。しかし、同時にそれらは熱いリズム隊によって力強くタイトまとめられ、彼らの手腕を遺憾なく発揮した作品でもあります。リズミックなプレイはやはり気持ちが良いですね。

06. COVERT ACTION
ノスタルジックな雰囲気漂うファンキーでブルージーとも表現出来るそのサウンドに初期のクルセイダーズ・サウンドを思い起こさせます。しかし、以前の彼達なら、この様な曲調だとアクが強く泥臭い(勿論、褒め言葉ですよ)演奏をしていたのですが、この曲にはそういったものが幾分か薄らいでいるようです。しかし、彼独特の個性が希薄になった感があるかといえばそんな事は無く、技量(ここで言う技量とはテクニックだけではありません)が有り懐が深い彼達特有のクルセイダーズサウンドを響かせています。本当に不思議なグループですね、彼達は!!。そんな彼達の余裕の成せる業なのでしょうか、ダーク過ぎず聴きやすく仕上がっています。
また、ビリー・ロジャースのブルース・フィーリング溢れる演奏に賛嘆を贈りたいですね。流石にラリー・カールトンの後任として迎えられたギタリストですね。シンプルな演奏の奥にある音楽的深みを感じさせる素晴らしいプレイを披露しています。

07. SNOWFLAKE
流麗でしなやかなながらも力強さを感じるリズム隊に乗って、ウィルトン・フェルダーのSAXから紡ぎ出された感情を抑えた穏やかなプレイが光りますね。そんなライトでナイーブなサウンドが柔らかく響いては実に心地良いですね。このプレイによって精悍で落ち着いた楽曲に仕立てられています。
そして、この曲でもやはりジョー・サンプル澱みの無い流麗なフレージングは冴えわたっていますね。この作品も「MERRY-GO-ROUND」同様にジョー・サンプルの作品ですが、この曲からも彼の美的センスを充分に感じ取れます。
また、ビリー・ロジャースのギターですが、一聴するとエリック・ゲイルが演奏しているのでは?と錯覚するほど彼のスタイルと近似しています。こんなところに彼のルーツ的な一面を窺い知れますね。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

先ず、この作品が世に出された時代背景を考慮したうえでこのアルバムを大まかに捉えてみましょう。

このアルバムが発表された1978年はクロス・オーバーサウンドと呼ばれた音楽がより大衆的なスタイルとも言えるフュージョンに変化しつつあった時代ではなかったかと思われます。そういった観点から考えても、このアルバム「IMAGES(イメージ)」のサウンドを聴くにつれて、その変貌には意図的なところも感じられます。そして、翌1979年に発表されたクルセイダーズ最大のベスト・セラーアルバム「Street Life(ストリート・ライフ)」のサウンドを聴くにつれて、彼達の目指す方向性が変わったことを実感したのです。それまで私は彼達のサウンドに対して、「ジャズとファンクそしてソウルが融合した先鋭的なサウンド」・・・そんなイメージをこの“クルセイダーズというバンド”に抱いていました。しかし、このアルバム以降は違ったイメージに変化していったのも確かです。それまでのクルセイダーズ・サウンド・・・例えば「CRUSADERS 1」や「サザン・コンフォート」など初期のアルバムと、この「IMAGES(イメージ)」、そして「Street Life(ストリート・ライフ)」を比較していただければ一目瞭然だと思います。

また、このアルバムからクルセイダーズの影の功労者でもあるプロデューサー、Stewart Levine(スチュアート・レビン)が彼達から離れる事となります。そして、「Produced by "Stix" Hooper, Wilton Felder & Joe Sample for Crusaders Productions, Inc.」としてオリジナル・メンバー3人によるセルフ・プロデュースとなるわけですが、ここでこのアルバムのサウンドに目を向けると、あくまでも私個人の見解なのですが、実質的にはジョー・サンプルの影響力が色濃くなっていたのでは?と感じるのです。それを裏付ける一要因として、同年に発表されたジョー・サンプルのヒット作、2ndソロアルバム「Rainbow Seeker(虹の楽園)」のサウンド構築術、そして参加メンバーを比較しても多くの共通点を見出す事が出来るのも事実です。

そんな、セルフ・プロデュースとなった事などを考えても、この「IMAGES(イメージ)」というアルバムにはボーカル・ナンバーこそ収録されてはいませんし、「Street Life(ストリート・ライフ)」のサウンドと比較し若干の迷いの様な部分も見受けられますが、それでもこの作品が「Street Life(ストリート・ライフ)」のプロトタイプとも言える作品に感じて仕方が無いのです。また、ストリングスの導入や多彩なゲスト陣を迎えて創られた前作、「FREE AS THE WIND(旋風に舞う)」と比較した場合、この「IMAGES(イメージ)」はゲスト陣が、極力最小限に抑えられた為か(それはマネージメントの問題も多分に有ろうかと思いますが)、実に「シンプルでライトがらもタイトにまとまった」という印象を受けます。また違った意味でクルセイダーズ・サウンドの純粋化を計り、尚且つ新しい道を模索していたかの様にさえ感じるのです。

しかし、その代償?は決して少なくは無く、このアルバムを最後にして卓越した名バイプレイヤー、ロバート・ポップウェルが脱退するのです。言葉が適切でないかもしれませんが、ウェイン・ヘンダーソン、ラリー・カールトン、ロバート・ポップウェルまでもが脱退し傷だらけになっても更に前進しなければクルセイダーズというバンドその存在自体がまさに「中世の十字軍」そのものですね。このバンド名が彼達の運命の様にさえ感じます。

さて、こう言った事を記していると何だか批判的に捉われがちですが、むしろ逆でメロディーの持つ美しさをクルセイダーズ特有の力強さと躍動感で上手く表現された、非常に伸び伸びとして聴き易い好盤と言えるでしょう。ただし、それ故に先に記した如く、クルセイダーズの魅力とも言うべきファンキーでソウルフルなスタイルが希薄になっている点においては特にコアなクルセイダーズ・ファンにおいては、このアルバムの評価が分かれるかもしれません。

しかし、あくまでも私的ではありますが、それまで培ってきたクルセイダーズ、彼達ならではのスタイルの終焉と同時に、クルセイダーズの新しい時代の幕開けを一枚のアルバムに刻み込んだ、実に貴重な作品だと思えて仕方が無いのです。アルバム・タイトルの「IMAGES(イメージ)」・・・その意味するところは何なのか・・・考えさせられますね。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1978年のヒット曲*** 宿無し 、サウスポー 、みずいろの雨 、迷い道

それじゃ。また。 

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