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2007/06/30

<Masuo Live(マスオ ライブ)> 検体番号82

82 今回解析するのは、「増尾好秋(ますお よしあき)」の<Masuo Live(マスオ ライブ)>(1980年発表)です。

前回紹介しました「CROSSOVER IWAKI BAND '07」のライブで、友人のバンド「Champ」がこのアルバムに収録された「DEALING WITH LIFE」を完全コピーしていました。改めて名曲だと認識した次第です。という事で、今回はこの作品を衝動的に選択してしまいました。

01. DEALING WITH LIFE
02. GOOD MORNING
03. LOOK AWAY FROM ME
04. A THREESOME
05. I WILL FIND A PLACE
06. VIENTO FRESCO

増尾好秋(g) T. M. STEVENS(b) VICTOR BRUCE GODSEY(key) ROBBIE GONZALES(d) SHIRLEY(per,syn) 増尾元章(g on track2)

試聴は・・・こちらで

自宅へ帰る道すがらカーステレオでこのCDを大音量で聴きながらしみじみ思ったのです・・・「やはりライブはいいな」・・・と。

01. DEALING WITH LIFE
リスナーの心を煽る様な鋭角的なサウンドに思わず引き込まれます。そのダイナミックかつハイテンションなサウンドとプレイは聴くものを圧倒して止みません。疾走感といったものがが曲全体から迸っています。
イントロに聴かれるT・Mスティーブンスのベースから放たれるトレブリーさに加えてミッドレンジをブーストした強烈なチョッパー・サウンドが実に刺激的ですね。この音圧感には今聴いても衝撃をおぼえます。
また、中低域のネバリの在るサウンドで荒々しく筋肉質で力強い増尾さんのギターにはひたすら感嘆するばかりです。ワイルドで野性味溢れるプレイはやはりライブならではですね。まさに血沸き肉踊るといった表現がぴったりの曲です。
熱く襲いかかるようなスリリングともいえるサウンドを充分にご堪能下さい。
余談ですが、増尾好秋の奥さんでもあるSHIRLEYが奏でるウッド・ブロック(?)が実に良い味を醸し出していますね(笑)

02. GOOD MORNING
タイトルの如く爽やかな朝の・・・その自然の光が放つ輝きにも似た実に美しい作品です。
暖かく優しい感性が見え隠れする増尾さんならではの作品ですね。ここではライブらしく実に伸びやかに、そして情感に溢れた表現力でリスナーを魅了します。
スタジオ盤に収録された繊細でストイックな「GOOD MORNING」と比較すると、このアルバムでの演奏はスタジオ盤のそれに加えライブ特有のエモーショナルで有機的な感じが充分に醸し出されています。その力強い演奏が、このふくよかで優しいメロディーに生命力にも似た躍動感を注ぎ込んでいますね。
後半に聴かれる実弟・増尾元章さんとのインタープレイが実に素晴らしいですね。正直、そのプレイ自体は粗く、またサウンドも今にしてみれば多分に本人達も納得いくものでは無いのかもしれません。しかし、完成度と言った点だけでは決して語ることの出来ない、直感的なインスピレーションをそのまま表現したプレイは好感が持てます。ここにもライブならではの醍醐味を感じるのでした。

03. LOOK AWAY FROM ME
ヴィクター・ブルース・ゴッジーのエレピによるソロです。シンプルかつ物静かな旋律が美しく悠然と響き、それは宛も枯山水や水墨画と言った日本情緒の侘び寂びをも感じます。実に清楚で慎ましい美しさが魅力ですね。しかし、後半はその美しく構築された世界を自ら壊すかのように予定調和的を脱却した傍若無人とも言える旋律で徐々に埋め尽くされます。このサウンド・コントラストによって不思議な威厳が感じられる作品として存在しています。

04. A THREESOME
パワフルでスピード感抜群のナンバーです。増尾さんのロック・スピリットと高度な演奏技術を充分に堪能できる興味深い作品でもあります。どちらかと言うとJAZZスタイルを礎としたギタリストと言う印象が強いですが、この作品で聴かれるロック魂溢れる熱く襲いかかるようなサウンドも今更ながらに実に魅力的ですね。ロックギターの基本的とも言えるフレーズを巧みに使った、流れるようなプレイは爽快感をも感じます。
また、終盤に聴かれる増尾好秋さんとT・Mスティーブンス、そしてヴィクター・ブルース・ゴッジーによる強力な布陣で繰広げられるタイトルの如く、まさに「三つ巴」の火花散るインタープレイは強力です!!!三者三様の感情の起伏が鮮烈に、そしてダイナミックに印象付けられた楽曲です。このライブ感覚溢れたエキサイティングでパワフルにドライブするサウンドは感動的ですらあります。

05. I WILL FIND A PLACE
16ビートに乗ってハードなギターが奏でる熱いラテンフレーヴァー溢れるフレーズが実に新鮮です。スリリングな感触と繊細な叙情が同居し、ダイナミックな感情の起伏が鮮烈に印象付けられた楽曲は聴きごたえがありますね。
しかし、この曲では増尾さんのギターが暴れまくっています。感情の赴くまま弾き出したら止まらないその野性味溢れる情熱的ともいえる熱く襲いかかるようなサウンドが味わえます。その迫力とテンションにはリスナーの体力を消耗させるほどです。余談ですが、このフィードバックをも見方につけたノイジーでエキセントリックなギターサウンドとプレイに何処と無くサンタナを感じてしまうのは私だけでしょうか。
また、ドラムソロで見せるロビー・ゴンザレスの躍動感とキレ味鋭いリズムワークに圧倒させられます。

06. VIENTO FRESCO
無国籍風なサウンドとも表現したい前半部分のエフェクト処理されたT・Mスティーブンスが奏でるベース・ソロの重層的とも言えるサウンドには不思議な威厳が感じられます。そこから徐々に熱くラジカルでテクニカルなサウンドに移り変っていきます。このソロはベーシストとしT・Mスティーブンスのハイ・アビリーティーを遺憾無く魅せ付けてくれています。彼を語る上でも実に貴重な演奏と言えるのではないでしょうか。
一転して中盤から後半にかけて、メランコリックで叙情的なナンバーをメンバー全員がそれぞれの表現方法で演奏しています。旋律自体が持っている魅力を引き出した演奏能力には脱帽です。そして何より、ちょっともの悲しい旋律を情熱的で秀麗な増尾さんのギターサウンドがこの曲の持つ美しい情感をより一層に明瞭なものとしています。類まれな感情表現力と実に素晴らしいセンスとの持ち主だと改めて実感する次第です。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

まず、当時このアルバムを聴いた時の感想は「これが本当に日本人ギタリストが創ったアルバムなのだろうか?」と言う驚きでした。ご存知の様に、この作品はバックを固めるのは全員が外国人なのですが、増尾さんのギターから放たれる日本人離れしたスピリットを感じるには充分過ぎるほどのアルバムです。

正直なところ、今にして思えば今回紹介した、この「Masuo Live」はサウンド的に些かまとまりが無く、荒削りですが、その反面、ノーギミックで異様な程に生々しいライブ盤と言えるでしょう。作為的な加工を廃した事によって臨場感溢れるその熱い演奏を克明に堪能することができます。ライブ感覚溢れたエキサイティングなサウンドをダイレクトに感じられる事が最大魅力のだと思います。そういった意味でもライブならではの覇気が伝わってくる素晴らしいアルバムですね。また、是だけエキサイティングでパワー溢れる作品なのに、不思議とリスナーを疲れさせないその裏側には技量の確かさといったものを充分に実感させられます。ジャパニーズフュージョンの偉大さを再認識させられた作品の一つでもあります。まさにフュージョン最盛期のパワーを肌で感じられるライブ・アルバムの一つですね。

前作の「GOOD MORNING」はアルバム全体に美しい揺らめきを醸しだした優美で瑞々しい作品ですが、この「Masuo Live」というアルバムはそれと対峙するか如きに、増尾好秋さんの激しさと野性味溢れる力強さが痛い程に伝わってきます。

増尾好秋さん作品全てに共通して感じられる、美を的確に見極めるその審美眼とも言える能力にはいつも感服させられます。このアルバムでもその手腕は遺憾なく発揮されていますね。ただ、それがライブ・アルバムに必要不可欠なパワーと臨場感によって隠微されているのですが、何度も聴き返すうちに、その類稀な感性が鮮明に浮かび上がって来るのです。それは同時に増尾さんの音楽に対する集中力の高さをも実感する事になるのでした。そしてそれらが集束され、臨場感溢れ生命力漲る中にも美しさを感じさせる彼の創り出したライブ空間に無理矢理引きずり込まれてしま名作です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

追伸:このアルバムですが、実はCDでは相当にピッチが高いようです。耳コピーする際はお気をつけて下さい・・・との事でした。これは、先に紹介しましたバンド「Champ」のギタリストPさんと、キーボードのリタルさんより教えて頂きました。

***1980年発表*** 大都会 、唇よ 熱く君を語れ 、不思議なピーチパイ 、異邦人

それじゃ。また。

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コメント

お邪魔致します。
これはまた名盤の登場ですね!すっかりその存在さえも忘れていましたが・・・。読ませて頂いて鮮明に想い出しました。良く聴きました、本当に。増尾さんももちろんなんですが、なんと言っても衝撃だったのはT・Mスティーブンスさんのプレイ。ベーシストではないのに、想わずコピーをしてしまいました・・・。

投稿: ayuki | 2007/06/30 20:34

ayukiさんへ。コメント感謝致します。

>すっかりその存在さえも忘れていましたが・・・
そうですかやはりayukiさんも影響を受けたアルバムなのですネ
しかし、何故か増尾さんのアルバムの中でもあまり知られていない作品ですね。是だけの名盤なのに・・・。そう思うのは私だけでしょうか???

私も当時、知り合いからダビングして頂いたカセット・テープで大事に聴いていたのですが、CDで発売された時は本当に嬉しかったです。
http://www.rovingspirits.co.jp/

>ベーシストではないのに、想わずコピーをしてしまいました・・・。
わかりますよ(笑)是だけの熱い演奏ですからコピーしたくなるその気持ち。実は、私もだったりします(笑)
余談ですがT・Mスティーブンスはスティーブ・サラスの「バック・フロム・ザ・リヴィング」やスティーヴ・ヴァイの「VAI」でのプレイも超強力ですので是非!

投稿: FUSION | 2007/06/30 21:26

今朝この記事を読んで、「そうだ。CD-Rに焼かなきゃ。」と思って、さきほどこのレコードを聴きながらCD-Rに焼きました。

> 増尾さんのギターから放たれる日本人離れしたスピリットを感じる

洋楽系という感じがします。その点で、日本のフュージョンが好きな僕には今一つと感じるのかもしれません。
今一つというのは、好きな音楽を比較しての話で、悪いという意味ではありません。どういう表現を使っていいか分からなくて「今一つ」と書いてます。

それでこのアルバムもあまり聞いた覚えはないんですけど、聞いてみればわりと覚えているものですね。(笑)

> 何処と無くサンタナを感じてしまうのは私だけでしょうか。

フィードバック奏法というんですか?その辺りを言ってるのかなと思いました。

CD化されたのは近年だと思いますが、'90年前後ならCDを買っていたと思います。

投稿: WESING | 2007/07/01 18:25

WESINGさんへ。コメント感謝致します。

WESINGさんがこのアルバムを「今一つ」と表現した事は充分に理解できます。ライブ作品でもあり、メンバーそれぞれのインプロヴィゼーションの比重が高くなっている分、やはり純粋なリスナーとして見た場合、確かにそう表現されるのは当然だと思います。
また私も本文に記した様に「サウンド的に些かまとまりが無く、荒削りですが、その反面、ノーギミックで異様な程に生々しいライブ盤と言える」と感じました。しかし、増尾さんの当時発発表されたスタジオアルバムとこのライブを見た時、明らかにパワーを感じるのはこの「Masuo Live」だと個人的には感じました。そういった意味でもこのアルバムの存在感と増尾さんの「記録」と言った観点からも重要な作品だと感じたのです。

投稿: FUSION | 2007/07/01 19:24

こんばんは。
GOOD MORNING  よく聴きましたね~
日曜日の午前中に聴くのにピッタリという印象。
赤いSG2000もカッコよかった。
ライブ、行ってみたいですね~
日本でやらないかなあ。

投稿: 河童アヒル | 2007/07/05 23:33

河童アヒルさんへ。コメント感謝致します。

「GOOD MORNING」・・・素晴らしいアルバムですネ。そう言えば以前に河童アヒルさんのブログでも紹介されていましたね。やはり「名盤」の誉れ高き作品です。
>ライブ、行ってみたいですね~
同感です。是非一度はライヴを見てみたいミュージシャンですね。 

投稿: FUSION | 2007/07/06 19:00

このライブ、実は厚生年金に観にいきました。
DEALING WITH LIFEイントロTMスティーブンスのチョッパー(今はスラップ)ベースですが、奏法が普通のチョッパーではありません。ベースはプレシジョンベースのピックアップガードあり、更にベースを持つ位置も低いので、親指を弦にあてるチョッパーが出来ません。彼の手がまるでグローブのように大きく、普通のベースの弾き方で弦を強くはじくことでチョッパーに聞こえるように弾いていました。
一方、増尾さんは、終始客席に向けて笑顔。って、ポジション見てない!!
ライブはDEALING WITH LIFEから総立ちになっていいくらい最高でしたが、増尾さんが「ソフトアンドメロー」と思われていたらしく、TMのイントロで"びっくり"され、誰も立ち上がらないライブでした。Pit innでは盛り上がったらしいのですが。。。
ライブ終了後、増尾さんとシャーリーさんが、ふら~~っとステージに出てきて、お客さんと握手されながらお話しされていました。
とにかく、ものすごいライブでしたよ。

投稿: Sideworker | 2017/03/01 09:18

Sideworkerさんへ

コメント感謝致します。

このライブを実際にご覧になったのですか!!!羨ましい限りです。数あるジャパニーズFUSIONのライブアルバムでも、そのリアルさでは随一と思いますが、、、リアルタイムでの体感に勝るものはありませんネ。TMスティーブンスの件も興味深いですネ。また、増尾さんのライブも箱でなくホールではどんなパフォーマンスをしていたのか、、、サウンドバランスは、、、やっぱりライブはいいですネ

最後になりましたが閑古鳥が鳴く当ブログにコメント頂けたこと感謝致します。

投稿: FUSION | 2017/03/02 06:20

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