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<DRIVIN'(ドライヴィン)> 検体番号84

84 今回解析するのは、「春畑道哉(はるはた みちや)」の<DRIVIN'(ドライヴィン)>(1987年発表)です。

夏を代表する日本のバンドと言えば?・・・私的には「TUBE(チューブ)」と言う名前が何故かしら浮かんでくるから不思議です(笑)。夏をテーマとした数々のヒット曲を持つ彼らのサウンドは今聴いても、そのキャッチャーで明るいサウンドが冴えています。
そんなバンド「TUBE」のギタリスト・春畑さんのソロ・デビュー作がこれです。

01.DRIVIN'
02.GOOD BYE MY SWEET HEART
03.TIME
04.THE SEASON IN THE SUN
05.NIGHT JEWELS
06.WALK ON

実はこのアルバム、彼達の季節とも言える夏じゃなくて、2月に発表されたのです。「TUBE」のバンド活動がオフの時期に作製されたのでしょうネ・・・多分(笑)

正直、何とも情けない事に「TUBE」のアルバムはベスト盤一枚とカセット・テープ数本しか所有していないので詳しく知らないのですが、・・・でも、春畑道哉さんのソロ・アルバムは全作所有していたりします(汗)・・・自称、隠れファンの私です(隠れなくてもいいんですけどネ)・・・

01.DRIVIN'
岡本郭男(d) 渡辺直樹(b) 島健(pf) 長岡長次郎(key) 土方隆行(second-g) 土岐英史(sax) 春畑道哉(aco-g, lead-g)

突き抜ける様な青い空と透き通る青い海、そして風を感じて海岸線をドライブ・・・そんな情景を聴く者全てに描かせる、清々しく開放感で一杯の明るくサウンドがリスナーを魅了します。ハイエンドの伸びたトレブリーでライトなオーバー・ドライブサウンドのギターが自由奔放とも言えるタイトルの如き疾走感を上手く演出しています。これから何かが始まる様な、そんなワクワク・ハラハラさせてくれる期待感が実に刺激的ですね。

02.GOOD BYE MY SWEET HEART
渡嘉敷祐一(d) 富倉安生(b) 笹路正徳(pf) 大谷哲範(key) 斉藤ノブ(per) Oda Strings(strings) 亜蘭知子, Pic., Eve(cho)  春畑道哉(lead-guitar)

鮮やかなコバルト・ブルーの海・・・そんな南国のリゾートを描いてしまうそのサウンドはやはり爽快ですね。トレブリーだがキンキンとした耳障りなところが無く実に爽やかなギター・サウンドが印象的ですね、また、ストリングスに絡むコーラスがこの曲をより夏らしく演出しています。後半に聴かれる高音域にピークが在って、チョッとヒステリックなディストーション・サウンドとアーミングを目一杯に効かせ、その曲調を無視したかの様なソロに男らしさを感じさせてくれますね(笑)。ただ、そのギター・サウンドが些かチープな点、少々残念です。

03.TIME
岡本郭男(d) 渡辺直樹(b) 和泉宏隆(pf) 島健(ele-piano) 土方隆行(side-g) 長岡長次郎(key) 土岐英史(sax)  春畑道哉(aco-g, lead-g)

軽い風にそよいで気持良さげな、そんな安らぎを感じますね。アコースティック・ギターによる穏やかなナンバーですが、時折聴こえるサスティーンを抑えたクリーンなエレクトリック・ギターとの対比によってサウンドが平坦になる事を上手く避けています。また、技巧的な比重を少なくし、歌心のあるフレーズに重心を置いたプレイはその後の春畑さんのサウンドにも少なからず影響を及ぼしたのでは?と思うのですが。また、この曲のアレンジも彼自身によるものですが、ピアノのサウンドを上手く生かした点が実に興味深いですね。(そう言えば、春畑さんも結構ピアノをプレイするとか)
しかし、土岐さんのSAXは流石ですね。彼がブロウしたとたん完全に自分の世界をこの楽曲に刻みこんでいます。土岐さんの奏でるSAXによってこの作品に深い情趣が加味されるのでした。

04.THE SEASON IN THE SUN
岡本郭男(d) 渡辺直樹(b) 和泉宏隆(pf) 島健(ele-piano) 土方隆行,増崎孝司(side-g) 長岡長次郎(key) 土岐英史(sax)  前田亘輝, 桑名晴子, 坪倉唯子(cho) 春畑道哉(aco-g, lead-g)

ご存知、春畑さんが所属するバンド「TUBE」を代表する名曲ですね。あまりにも有名で、しかもキャッチャーなメロディーが故か、原曲のラインを崩す事無くギターが歌います。正直、ここまで潔くノーギミックでメロディーを奏でられるとビックリですが、奇を衒って変にメロディーをフェイクしたりすると原曲の持つストレートなバイブレーションが希薄になり面白みの無い作品になってしまうのも事実です。ですから、多分、試行錯誤の末にこのアレンジの落着いたのでは?と思うのです。
印象的なサビのメロディーをハイトーンのエッジが際立ったオーバー・ドライブサウンドで力強く歌い、AメロとBメロはアコースティック・ギターを使い囁き語り掛ける様に優しくナイーブに奏でています。やはりこの手法も原曲のままで、モチーフはコーラスでも参加されている前田亘輝さんのボーカルだと言う事がハッキリとわかりますね。
また、メロディーとバックのサウンド対比が明瞭で、この手法によってこのメロディーの持つ類稀な存在感と高揚感が上手く際立っています。
しかし、有名でよく耳にする楽曲が故、この一曲が余りにも突出し過ぎて、何か違和感の様なものすら感じてしまうのも事実です。結果として、やはり完成された既存の曲をカバーすることが如何に難しいかを実感させられる作品でも有りますね。

05.NIGHT JEWELS
渡嘉敷祐一(d) 富倉安生(b) 笹路正徳(pf) 大谷哲範(key) 斉藤ノブ(per) Oda Strings(strings) 亜蘭知子, Pic., Eve(cho)  春畑道哉(lead-guitar) 

ウェット感一杯のバラードはやはりいつ聴いても思わず惹き込まれてしまいますね。心地良いそのメロディーが温もりの様に伝わってきます。ブライトで艶と伸びのあるトーンで奏でられた歌心溢れるギタープレイには、ただただ聴き惚れるばかりです。無駄なテクニックに逃げる事のないハートフルな演奏には好感が持てるノーブルとも言える作品ですね。
実に滑らかで美麗なソロを展開していまが、ここに彼の美的センスと、そして優しい一面を見せてくれているような気がします。

06.WALK ON
岡本郭男(d) 渡辺直樹(b) 和泉宏隆(pf) 島健(pf.org) 中島正雄(side-g) 土岐英史(sax)  春畑道哉(lead-g)

トラディショナルなブルースの伝統的スタイルを継承しつつも、ポップスさをブレンドしたサウンドが明るく響きます。小気味よいスウィング感が何とも楽しげで楽天的とも言える感じがリスナーにも伝わってきます。リスナーの心を安定させ、充実した時間を過せる一曲です。
また、ギター・プレイで特筆すべき点てして、後半のギターソロに垣間見えるスティーヴ・バイの様なエキセントリックでエモーショナルギターフレーズが「ギタリスト・春畑」の素顔なのかもしれませんね(笑)。ライトな中にもカラフルなギタースタイルとも言える、このユニークな視点でのアプローチが興味深い作品です。彼の音楽に対する自由さは魅力ですね。

☆☆☆ ここが私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

ミュージシャンがアルバムを創った時よく「このアルバムのコンセプトは・・・」などという言葉を耳にします。確かにアルバム(作品)を創る時、それは至極重要な事は確かです。しかし、その「コンセプト」に縛られてしまい、迷走してしまうのも事実かもしれません。

さて、今回紹介したこの「DRIVIN'(ドライヴィン)」なるアルバムのコンセプトは?と考えると、正直、それらしいキーワードは浮かんできません(笑)。しかし、これだけは確実に言えます。「ギタリスト・春畑道哉が自分自身のサウンドを楽しんでプレイし、それがリスナーに伝わってくる」と言うことです。ここでは少なくとも、作為的な「コンセプト」などと言う「枠」に囚われる必要など全く持って必要ないと思います。

この作品は、彼の初となる、しかも当時20歳の若者が創った「ギター・インストアルバム」です。多分、春畑さんは、このアルバムを創った時、当たり前の事でしょうが、本当に嬉しかったと思います。純粋なギター・キッズに戻り、思う存分にギターを弾く姿が浮かんできそうですネ。しかし、自己満足とは違った個人的な充実感を覚えます。それは言い替えれば、偽りの無い等身大の姿を映し出した作品と言えるのかもしれません。そして、重要な事は、その若さ溢れる溌剌としたギター・スタイルと、歌心溢れるギター・プレイがリスナーに上手く伝わって来ると言う事かもしれませんね。

また、バンドに所属するギタリストの作品(ソロアルバム)と言うと、ついつい弾き過ぎたり、技巧的でマニアックな面ばかり強調してしまいがちですが、このアルバムでは悪戯にテクニック指向に走る事の無いそのサウンドは聴いていて安心感をも感じます。
勿論、聴きやすさという点においては「TUBE」のファン層にターゲットを絞った営業的戦略が見え隠れするのも事実です。その為か、ギタリスト以外でも楽しめるアルバムになっているのもポイントの一つです。ギタリストが創るアルバムはギタリストだけがリスナーでは無く、そういった観点から見ても、むしろ、それ以外の人にもギターの魅力を充分に伝えられる作品でも有ります。

・・・<「TUBE」のギタリスト-春畑道哉->・・・それはリスナーに余計な先入観を植付けてしまう危険性もはらんでいます。しかし、このアルバムではそれが逆に上手く作用しているようですね。

また、聴きやすさを更に決定的にしているのが、バックを固める実力者揃いのミュージシャン軍団です。このこのミュージシャン達が創り出す鉄壁のバックと、春畑さんの奏でるメロディアスでエキセントリックなギターのサウンド対比が明瞭なのも、その聴きやすい要因の一つです。

正直、完成度といった点から見れば残念ながら充分満足のいく作品では無いかもしれません。それは多分、春畑さん本人が一番実感していた事かもしれませんね。
しかし、「TUBEのギタリスト」と言った固定概念を上手く利用しながらも、その束縛から逃れたかの如く自由奔放で生き生きとしたサウンドが刻み込まれたギター・インストアルバムですね。そして、最も重要な事は、あくまでもこれは未来へのワンステップに過ぎない「ギタリスト・春畑道哉」の記念すべき作品だと言う事です。

☆☆☆ 以上が私的FUSION(フュージョン) ☆☆☆

***1987年のヒット曲*** サマードリーム 、Dance With You 、最後のHoly Night 、Marionette~マリオネット~

それじゃ。また。

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コメント

ちょっとご無沙汰でしたネ。
恥ずかしながら、彼の関連作品は現在全く持ってません。
初期TUBEの数作は妹に強奪されたままだし。(涙)
クレジットを観てると、Spectrumの面子や、土方師匠、笹じいに紛れて、亜蘭知子女史を発見し、思わずウットリしてしまいました。(笑)
かなり気になるので探してみます。
ありがとうございました。

投稿: elmar35 | 2007/07/26 19:20

elmar35さんへ。コメント感謝致します。

こちらこそご無沙汰しております。
本当に素晴らしい面子がバックを固めています。当時の「TUBE」の勢いを実感させるミニアルバムですね(笑)。
正直、この作品は本文に有るように完成度としては今一つですが、同じギタリストとして彼の想いがひしひしと伝わってきます。「うんうん!その気持ち、わかる!わかる!」と言った感じです。クレジットの「リード・ギター」なる文字が何とも良いですね。
このアルバムを基に、その後に出すアルバム毎に春畑さんの目覚しい進歩を感じますが、やはりこのアルバムの「若さと熱さ」が気持ち良い作品です。フローティングされたフロイド・ローズの為かチョッとピッチが(汗)・・・勢いが一番大事(笑)な好盤です。

投稿: FUSION | 2007/07/26 19:41

お久しぶりです。
暑い日が続いておりますが、お元気ですか?
私は暑さに弱いので、気分だけでも涼しくなれる曲はないかな?と探しているんですが、
今のところまだ見つかっていません^^
TUBEの曲は好きだったので、このCDを聴くと気持ちよくなれそうですよね。

実は1年半くらい前にFUSIONさんにも誰の曲か解らなくて探していただいたことのあるミトさんが、やっと来月の初めに大阪に来られてライブがあるのです。
もう嬉しくて^^

投稿: よっこ | 2007/07/27 21:14

よっこさんへ。コメント感謝致します。

お久し振りです。お元気そうで何よりです。
暑くなって来ると爽快な音楽が聴きたくなりますよネ。そんな意味でも今回の作品はお奨めです。勿論「TUBE」も良いですよね。

ミトさんのライヴにいかれるのですネ。それは良かったですね。やはりお気に入りのミュージシャンのライブは心躍るものが有りますよね。

そうそう!涼しくなれる曲は・・・でお奨めがラルフ・マクドナルドの「Just the two of us」なるアルバムなど如何でしょうか。暑い夏の午後に聴きたいアルバムです。近いうちレヴーしたいと考えています。是非!

投稿: FUSION | 2007/07/27 22:06

こんにちは。
久しぶりに聴いてみました。
今の季節にピッタリですね♪
これだけギターを弾きまくってもらえると、こちらも嬉しくなります。
しかし若々しい!
いつまでもこうあって欲しいですね。

投稿: 河童アヒル | 2007/07/28 09:35

河童アヒルさんへ。コメント感謝致します。

以前、河童アヒルさんも春畑さんのアルバム「Color of life」を紹介されていましたネ。やはり彼の作品は爽快感と彼の風貌の様に(笑)若々しいサウンドが魅力ですね。

>しかし若々しい!いつまでもこうあって欲しいですね。

お互いに「フォエバー・ヤング」でいたいですネ(笑)

投稿: FUSION | 2007/07/28 18:54

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