STEVE VAI<スティーヴ・ヴァイ>(2007年発表)の作品

今や説明不要、カリスマ・ギタリストとして君臨する彼が、前作から約2年という期間を経て、満を持し世に出されたこのアルバムは、何と全編に渡りオーケストラと競演しています。以前紹介しました「REAL ILLUSIONS」にもオーケストラと競演していますが、今回はアルバム全曲に渡ってオーケストラの壮大で威厳的なサウンドを響かせています。

このアルバムはCD2枚組ですが、Vol. 1は彼の代表曲をオーケストラヴァージョンとし、そして自身のギターとオーケストラとの壮大なイリュージョンを繰広げています。またVol. 2ではヴァイがオーケストラの為に書き下ろした楽曲をオーケストラが演奏し、非常に芸術性の高い作品として存在しています。私はクラシック音楽に精通していませんので、専門家が聴いたならどういう意見なのか興味深いものがありますね。しかし、少なからずとも私の様なクラシック音楽を余り良く知らない輩を驚かせ魅了させた事は事実です。

このアルバムを聴いて何より驚かされるのは、彼の超絶技巧のギター・プレイ以上に、スティーヴ・ヴァイのアレンジ能力の高さには目を見張るものがありますね。オーケストラのスコアーを彼自身が書いています(ライナーに彼自身の手書きのスコアーが収録されています)。彼は昔、採譜の仕事をしていましたが、その正確性には定評がありました。それが影響している事は確実だと思いますが、そんな要因も含めて、彼の音楽家としての礎とギタリストとしてのハイアヴィリティーを同時に実感できる素晴らしい作品が並びます。天賦の才能とは彼の為にある言葉かもしれませんね(笑)。
そんな彼が、尚且つ自己のサウンドを追求しながらも様々な音楽的要素が消化され自分たちのサウンドとしている事を否が応でも認識させられるアルバムです。スティーヴ・ヴァイと言うミュージシャンの格を上げたばかりか、新境地を切開いた彼にとっても重要な作品だと思います。
今後、スティーヴ・ヴァイに望むのは、是だけの作品を創れるだけの能力があるのですから、どうせならロック・フィールドからのアプローチではなく、彼がプレイヤーから一度離れ、作曲家・アレンジャーとして完全なるクラシック然とした純粋な作品を聴いてみたいですね。