Mr.Mister<ミスター・ミスター>(1987年)の作品

ロサンゼルスの音楽シーンでスタジオ・ミュージシャンとして活躍していたリチャード・ペイジ、スティーブ・ジョージが中心となりスティーブ・ファリス(g)とパット・マステロット(d)の二人を加えて結成されたバンドがMr.Misterです。実はこのバンドのボーカリスト・ベーシストのリチャード・ペイジ・・・TOTO、シカゴといった名だたるバンドから誘いを受けたが、自己の音楽に拘るが故、それを断ったと言う逸話を残しています。そして・・・それが功を奏したのか(?)1985年に発表された2ndアルバム「Welcome To The Real World (ウェルカム・トゥ・ザ・リアル・ワールド」が世界的ヒットになり一躍脚光を浴びるのでした(何しろ、このアルバムから3曲の全米№1ヒットが生まれたのですから!)。
しかし、それも束の間、今回紹介する1987年に発売された3rdアルバム「Go On...」が予想に反してセールスが振るわず、結果として解散となってしまうのです(勿論セールス云々だけの問題では無いのでしょうが・・・?)。

さて、この「Go On...」ですが、やはり前作と比較されてしまいますが・・・個人的な感じとしては、「ウェルカム・トゥ・ザ・リアル・ワールド」が煌びやかでキャッチャーな一面が上手く引出され、それは時代が必要としたアルバム・・・だとするならば、この 「ゴー・オン」と言うアルバムは前作ほどの華やかさは感じられないものの、インテリジェンスを感じさせる、「アーバン・テイストなサウンド」が満載です。3作品めにして新境地を切開いた作品であり、一聴しただけで確実に洗練の度合が高められているのが解るはずです。そして、あえて前作と対比させ違った一面を印象付ける事によって「Mr.Mister」というバンドをより明確にした作品だとも言えるでしょう。
また、演奏は勿論の事、アレンジも実に素晴らしく、凄腕のミュージシャンの集合体にも係わらず、テクニックをひけらかす事無く、あくまでも曲を活かす為だけに心血を注ぎ、時にロックで、時にポップで、時に東洋的で、時にソウルフルにと実に多彩な面を見せてくれています。改めてハイセンスなバンドだったと実感する次第です。

Mr.Misterのラスト・アルバムとなってしまったわけですが、バンドとしての個性を引き出す起爆剤となり、そして一歩前進しようという強い意志を感じる得る重要な作品だっただけに残念でなりません。「Go On...」(進み続ける)と言うアルバム・タイトルが実に空しく響きますね。

蛇足ですが、このアルバムのプロデュースはMr.Mister&Kevin Killenとクレジットされていますが、このケヴィン・キレンという方、ピーター・ガブリエルの名作「So」でエンジニアをしていた人物です。如何なる経緯でこのアルバムを彼達と共同プロデュースする事になったのか・・・興味深いところであります。